川崎と城ヶ崎

冬見

第1話

 はて、今日がいったい何日で何曜日だったか。それをすぐに思い出せないように、放課後の教室でぱたりと会ったそいつのことを、私はすぐに思い出せなかった。

「だれだっけ?」

 うかつ。失礼とも取れるというか、失礼な言葉はすでに発せられてしまった。

 私はスポーツバッグを片手に、向かい側のそいつは教科書と本を抱えていた。

 さらっとした黒髪をリボンでひとつに結えていて、つぶらな瞳が前髪からのぞいていた。

 苦手なタイプだ。と、私は反射的に思った。

 けど、それを表には出さずにしまう。

「えっと、そうじゃなくて———」

 と、言いあぐねていると、

「城ヶ崎凛子」

「え」

「同じクラスの城ヶ崎凛子だけど。聞かれたから、答えた」

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