第5話 サクラ、和菓子を作ります
(えーっと、荷物荷物はどこだっけ。)
私は転移したときに持っていた荷物を取りに、ギルドに戻ってきていた。
あった!
荷物の中には和菓子の材料となる白インゲン豆(白あんの材料)、小豆、葛粉、黒蜜、食用色素赤が入っている。
砂糖も買っていればよかったのだが、家に買いだめしていたためここには無い…
(買っとけばよかったな〜)
ギルドの職員に仕事が見つかったことと、今までのお礼を言ってフェルシモに向かった。
今ある材料で作れるのは簡単な練り切りかくずきりのどちらかだ。
(あんこを食べ慣れていない人にはくずきりのほうがいいかな…)
「タリアさん、荷物取ってきました!」
「二階の突き当りの部屋がさくらの部屋だよ。」
「ありがとうございます!」
その日のパンが全て売れたあとタリアさんに家を案内してもらった。
パン屋フェルシモは大通りを一つそれた道沿いにあるお店で、
一階がパンを売るカウンターと厨房、二階が生活スペースになっている。
「二階の左奥が物置、こっちが私達の部屋さ。子供らの部屋がここ。トイレが右手の扉を開けたところさ。」
どうやらこの世界のトイレはボットン式で下の方にスライムが住んでいるらしい。
「二階はこんな感じになってるよ。」
そうしているとドタドタと足音がしてネイアスくんが階段を駆け上がって来た。
「サクラ〜、早くお菓子作ってよ。」
「こら、ネイアス」
「大丈夫ですよ。ネイアスくんも楽しみにしてくれているみたいなので作ってもいいですか?」
「お願いしてもいいかい?」
私の前を上機嫌に歩いていくネイアスくんに連れられて私達は厨房へと向かった。
「なあなあサクラ、どんなお菓子を作るんだ?」
「それは作ってからのお楽しみだよ。」
「え〜、教えてくれてもいいじゃんか
ケチ。」
ネイアスくんを驚かせるために何を作るかは秘密にしておくことにした。
「その粉を使うのか?」
「そうだよ〜。」
荷物から葛粉と黒蜜を出して準備をする。
まず鍋でお湯をわかしておく、葛粉と水を混ぜ粉の塊をほぐしていく。
粉の塊が全てなくなると、鍋に型となる四角い容器を入れさっき作った葛粉の水を入れる。
このとき粉が容器の底に溜まらないよう少しかき混ぜるのがポイントだ。
半透明に固まってきたら容器を沈めお湯に全体をつける。
透明になったら取り出し、今度は水につけて冷やす。
あとは細く切って黒蜜をかけたら完成だ!
「すげぇ〜!固まった!?」
「くずきりのいいところは簡単に作れるところなんだよ。」
ネイアスくんにタリアさんとリードさんを呼んでもらいみんなで食べてもらう。
「サクラ、もう出来たのかい?」
「この透明なのはなんだ?」
「私の故郷のくずきりというお菓子です。この黒蜜をかけていただくと美味しいですよ。」
みんな食べる前にしげしげとくずきりを見ている。
「ここには、ビスケットやタルトみたいなお菓子はあるけどこんなお菓子は見たことがないね。」
「早く食べようぜ!」
みんなでお皿にくずきりを入れ、お箸の代わりにフォークで食べることにした。
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