ハイエルフの旅は終わらない
@Qula
プロローグ
「私はこの里を出る」
そう少女は言った。
その少女の母は今にも失神しそうに、父は気難しそうな顔をしていた。
「出て行くって言っても、イリスあなたまだ173歳よ」
母は出ていくのを遠回しに止めた。里を出ると言った少女の名前はイリス、そしてハイエルフだ。ハイエルフには珍しく小柄でしかも耳が強く尖っていないハーフエルフとエルフの中間くらいだ。髪は肩にかかるほどの長さで銀髪である。胸は、、、まあ将来に来たいということで。服装は、エルフの民族衣装などではなく普通の村娘のような服装だ。
そんな少女の、イリスの意思は変わらなかった。
「でも私は世界を見たい。」
ハイエルフの里は山奥の森に囲まれており、閉鎖的な里だ。世界を見るならあまりにも狭すぎる。そんな理由もあってか両親を再度説得した。父親は考える素振りを見せたが母親の意見は変わらないようだった。
「せめてあと200年後でいいんじゃない?」
ここまで母親が止めるのにも理由があった。イリスの年齢は173歳、人間から見れば十分に年を取っているが、ハイエルフからしたら全く年を取っていない。ハイエルフの寿命は正確にはわかっていない。理由は単純で、まだ寿命で死んだハイエルフがいないからだ。一番歳を取っているハイエルフは6000歳前後なそうだ。またハイエルフの成長は200歳再前後で止まり、そこから老いる。まだハイエルフで老いたものはいないが、エルフは死ぬ間際に一気に老いるそうなのでハイエルフもそうなのではないかと考えられてる程度。
とにかく、死とは無縁の種族なのだ。
「まぁイリスは昔から周りよりも好奇心が強かったからな。いつかそう言うとは思ったが、、、思ったより早かったな。だがイリス、お前の実力ではこの森を抜けられ、、、いや何でもない」
イリスがこの森を抜けるのを止められない理由はイリスの単純な実力にもあった。イリスは周りよりある好奇心と才能のお陰でほかのハイエルフやエルフよりも魔法や剣、槍、弓などの類を極めていた。そのため森を抜けることが不可能な実力ではないのだ。それが両親を困らせた。普通この里を出ていくと言った子供には、「お前の実力じゃこの森を抜けられない」などと言い渋々納得させて残らせることだったのだが、イリスは勝手に家を出て森の中でキャンプするや森の木全部に鳥小屋を付けるなどの奇行を行い続けるせいで簡単に森を抜けられることを証明されてしまったのだ。少しの沈黙の後父親は、言った。
「200年に、一度は顔を見せると約束できるか?」
「うん!約束できる」
「ちょっとあなた!?でもイリスはまだ子供よ!!」
ハイエルフは200歳辺りでとりあえず成人となる。成人の年齢が曖昧なのはここまで年齢を数えないエルフもいるからだ。
「少し予想より予定が早まっただけだ。もともと350辺りで出ていくと言うんじゃないかという話にはなっていた。」
そうイリスの奇行の連発にいつかこの里を出るとか言いそうなどと両親に思われていたのだ。父親の話を聞き母親は止めたい気持ちでいっぱいだけど、止めたところで先送りになるだけだと思った。
「はぁ父親譲りなのかしら、、、とりあえず200年たったら戻ってくるって約束できる?」
「うん!!」
「あらこの子だんだん返事雑になってないかしら」
「キノセイダヨ」
これで、両親どちらとも説得できたため世界を見て回る旅ができるとイリスは思った。準備は事前にしてあるのでその荷物を回収して出ようとした時父親に止められた。
「これを持っていきなさい」
父親はイリスに、1つの弓と銅でできたペンダントのようなものそして数枚の貨幣を渡した。
「お父さんこれは?」
「この弓は、俺の母さんが昔に使ってたものだ。小柄なお前でも使えるだろう。このペンダントのようなものは、俺が昔ここらの国を回ったときに身分証代わりにしたものだ何も持ってないよりはマシだろう。そして、こっちの貨幣はここらの国で使われているやつだ。昔ここらの国にちょくちょく行く時期があってな。そん時のものだ。この銀色のやつは、銀貨だこっちの銅貨10枚分の価値がある。銅貨1枚で安いパン一個買えるくらいだ。まあ無駄遣いしなければすぐには無くならんだろう。」
どうやらここから出てもすぐには困らないようにしてくれているらしい。
「ありがとう!お父さん。」
そう言ってイリスはペンダントと貨幣をバックの中のポーチに入れた。弓は背中にかけている。ちなみにバックにはお気に入りの魔導書や、キャンプ用のマジックアイテムそして衣類なんかが入っている。
「行ってきます。」
そう言ってイリスは家を出た。そしてイリスには、秘密がある。前世はこことは違う地球というものがある世界の大学生そして、前々世は、この世界の王宮魔術師だったということだ。
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