ファイアーフライズ‐白い施設。七人の少年少女

JB

一日目(1)

ぼくたちは不気味なほど白い光に包まれていた。


そう、ぼくたちはそのような白い部屋に会していた。最後に到着したのはぼくのようだった。


一同。そこにいた七人はうつむき、そして黙りこくっていた。


七人はいずれも若く、最年少で六つか七つ。

最年長であっても十八くらいだろうか。


それはぼくの年齢だ。


だからではないが、沈黙のなかでぼくは最初に口を開いた。

「はじめまして」


ぼくの言葉に反応して頭をあげたのは、ぼくの正面にいた、このなかで一番背の高い少年だ。


ぼさぼさとした髪、しわくちゃのワイシャツ。しかし不思議な清潔感があるのは、青渕の眼鏡のグラスの奥の綺麗な青い瞳の効果か。


彼はぼくの目をじっとみつめる。

「くつくっ……、七人。これで全員のようだね」

挨拶を返すわけでもなく、不気味な笑いを交えて彼は話しはじめた。想像以上におしゃべりなようだ。


「どうだい、自己紹介でも?」

髪を掻きながら、他の六人に目を配っている。


「名前だけなら」

彼の提案にいち早く反応したのは長い金髪の女性だ。白いワンピースで首元に小さな十字架のネックレスを付けている。


名前「だけ」。その言葉は、それ以外の事情を聞かれることを拒んでいるという意思表示でもある。


そのことはぼくたちの暗黙の了解でもあって、ここには事情を聞こうとする者も、自ら話そうとする者も一人もいない。そのはずだ。


ただ、短い間共に過ごすというだけだ。


青縁眼鏡の彼が調子よく言う。

「まあとりあえずは、いいね」


そこで最初に声をあげたぼくが続くことにした。

「ぼくはエドです。よろしくお願いします」


「俺はサイクと呼んでくれ」

青眼鏡の男性―サイクは私の顔をじっと見つめながら常にある笑みとともに言う。


「私はマリアです」

金髪の女性が続いた。


それから残りの七人がそれぞれ自分の名前を告げていく。


「ボ、ボク。ヘイ」

小太りでしどろもどろに話す男、ヘイ。


「キティ…後ろにいるのは弟のジヤンです」

怯えた少年と彼を守るように前に出ている少女。姉弟にみえるジヤンとキティ。最年少はこの二人だ。


「サブだ」

短髪で細い目をしている、十人の中では一番ガタイがよいサブ。格闘技経験がありそうで、寡黙な雰囲気だ。ぼくは不自然に彼がじろじろとこちらを見ていることに気付き、時たま目があった。


彼は何かを知っている。直感的にそう感じた。


「これで全員みたいだな。じゃあこのホワイトルームで……仲良くしようじゃないか。」

サイクはその笑みを決して隠そうともせず、続ける。


「最後の七日間ってやつをね」


全員は知っていた。この施設から二度と出ることはないことを。


待ち構えていたかのように、ぼくたちがいた部屋の奥側にあった扉が開く。


一人ひとり、ぼくたちは扉の向こうへ歩を進めた。

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