05 傷だらけ(2)

「お姉さんは、呪物なんかじゃないです」

「それは、君の意見。

意見が同じだったら、

この世界はどんだけ平和なんでしょうね」

「意見が同じだからって、平和になるわけじゃないと思うんですけど」

「それは君の意見じゃない?」

「意見とか、関係なくて。」


私が否定すると、お姉さんは私を睨みつけた。


「君はまだ何も分かってないさ。

この現実の厳しさも」

「なにがあったんですか、ほんとに」

「私がそのことを話そうとしているのに、

君が話を遮るから話せないんじゃないか」

「それはすいませんね」


少し罪悪感が出てきた。


「話は戻すけど、私は毛嫌われてたんだ。

ある日、私を育ててくれると言ってくれた人がいたんだ。」

お姉さんは悲しそうに言った。

「そして、私はその人達についていったんだ。

最初の頃は良かった。一緒に遊園地に行ったり、

お寿司を食べさせてくれた。

だけど、私が13歳の時にあの人達は荷物をまとめて家を出ていった。」

「あの人達ってだれなんですか」

「女と男」

「産んでくれたわけじゃないし、酷い目に遭わされたし、その言い方は妥当ですね!」


私がニコニコしながら言うと、

お姉さんは少し驚いた。


「あんたサイコパス?」

「一応、サイコパス診断は全問正解です」

「誇れるものじゃないと思うんだけど…」

「死んで生まれ変わっても誇れますよ」

「重いな」




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