俺の前世は弱虫だった恋愛ストーリー MR.CHILDRENの歌に乗せて

竹内昴

第1話 アトミックハート

俺の名前は、桜井優一朗という。すこぶる順調な生活として、気軽な大学生活を送っている。実質的な不安要素など、こっれっぽちも感じない、気ままな生活である。あれもこれもかゆいところに手が届くではないが、基本的に弱虫な所以外に、自分に不快を思い起こす点は一つもないのである。機会があれば一度聞いてみたかったMR.CHILDRENのアルバム「アトミック・ハート」を手に入れたのである。季節は春である。時間とともに桜は散ってしまうのだ。急がなければ、あてどもない人生のライフバランスは崩れ去ってしまうような気がする。かたときも自分が思うような人生観で生きていけるかなんて、恰好が気にならなけりゃいいもんだと、中年おやじくさい感覚に囚われてしまう。だから、気取って恋するのか?なんて疑問は一色単な、色彩感覚のような代り映えの無い、自分の歎願のように思えて、違いないイメージの中の自分は一体どうなんだい?と問いかけたくなる。

「Tell me what do you want

Oh what do you think baby

僕を揺さぶってくれよ

What do you want

一体どうして欲しいんだ

今夜も Oh baby baby please yeah

MR.CHILDRENのラブコネクションのワンフレーズが頭の中をよぎる。恋はいつも求愛のサインでありながら、人をこよなく愛する原動力である。人のような人のようで、実際、中身なんて百人十色の世界で、本物の恋に出会う確立は身分も詐称もない、当人同士の感じあい方であって、自分の思うがままの恋愛なんてあってもいいのかと、ちょっぴり甘く切なく思う心地よさでありながら、自分に意味なんてあるんだろうかと、苦しみいそしむ我が身の愛おしさの中で、狂いそうなほどもがき苦しむものである。

「いつの日も この胸に流れてる メロディー

軽やかに 緩やかに 心を伝うよ

陽のあたる坂道を昇る その前に

また何処かで 会えるといいな イノセント ワールド」

自身の葛藤において、いきさつのあるなしで

男女の出会いはあるのだろうか?だって、実際、行き交う道すがらに、実に様々な異性と

すれ違っている。そのどの人においても、均等に愛されず、迷える子羊なのか?幸福への

徐長のサインとして、目が合った瞬間にすべてを察する事は、できない。でもですら、期待の胸の高鳴りは、どうしても人を抑えることはできない。しかるべく処置として、やせ我慢に似た、息苦しい言い訳に終始している、

自分の簡単な言葉に飽き飽きして、MR.CHILDRENを聞いている。

「冷たい風に吹かれて たたずむマテリアルワールド

立ち止まる cross road さまよう winding road

傷つけずには愛せない」

おこがましい傷の中身は、愛しい彼女への願いの何たるかが、今一歩、はがゆいほど、自分が理解出来てないことである。いかにして、

自分は弱虫というレッテルを自分のレベルにしてしまうのか?という疑問は、きっと、自分自身の脈打つ簡単なフレーズが激震となって、揺り動かし、自分の中身がそっくり、彼女のなんかに入り込む瞬間の恐れだ。その瞬間のいで立ちにさえ、不自然に気を配い、嫌われないように踏ん張っているさまの、その様の失笑感に悩む自分であった。

もうちょっと もうちょっと

頑張ってみるから

ねえもっと ねえもっと

いい事があるかな

今日は雨降りでも いつの日にか」

昨日のことなんだが、自分にとってはとても珍しいことが起こった。自分のことで手一杯になっていることの、最善策として、買い物にいかなくちゃならない、スーパーマーケットで、彼女を見たのだった。とても、綺麗な人だった。年齢のほどは、自分より若干、年上のような感じさえした。その人は、ちょうど、フルーツのコーナーに立ち止まり、ゆっくりと品定めをしていた。ふとした、瞬間に

ひしと目が合ったのだった。その瞳に吸い込まれそうになった。本当に綺麗な瞳だった。

時間が立つのを忘れ、ボーとしてしまった。

彼女は軽い会釈をしたのだった。完璧に心打たれた瞬間だった。どうしよう・・・。どうしたらいいんだろう・・・。自分を完全に忘れて、彼女に魅せられた僕の、本望は一体なん何だろうかと?思考を探っても、どこのどの脳みそを探ろうとも、自分のなかに、しっくりとくる言葉はなかった。多分、あの時を思えば、あの日から、感情の一部でもいいから、見せてしまいたい、好きという感じ始またったんだろう。

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