第3話 『3』

『3』



 地上に出るとホットした俺。

 絶対に出れないと思ったからか、安心した。

 けどもいったんはサリオスらを探しておこう。

 なぜなら、俺が生きているとは知らないけども、近くにいて発見されたら、意味はない。

 その場で死ぬ。

 観察してみて、サリオスの姿はなかった。

 もう国に帰り、冒険者ギルドに向っている頃か。

 魔物を倒すと魔石がある。 魔石は魔物を識別出来て、ギルドの職員が、鑑定し魔物を判断する。

 回収した魔石に応じて報酬を支払うのがギルドの役割だ。

 冒険者ギルドは、鑑定したら驚くのは予想できる。

 魔王竜ゲオルギウスは最難関の魔物だ。

 誰でも倒せる魔物ではない。

 三人で報酬を山分けして、パーティーメンバーの俺は死んだと報告するのだろう。

 問題はサリオスらと同じ町や国に帰るのは避けることだ。

 出会ってしまったら終了となる。

 来た国とは違う国を目指そう。

 それが俺の生き残る道と言える。

 だが甘かった!

 そう思った時に目の前に魔物がいたから。



◇スライム


レベル2

体力 5

魔力 0


スキル

逃げ去り



 スライムだった!

 弱小魔物として有名な魔物だ。

 けども今の俺はヒールを使い果たして、魔力、体力とも限界に達している。

 弱小魔物といえど倒せるのは困難だよな。

 スライムは勇敢にも攻撃をして来ると、俺は防御した。

 防御してもダメージはあった。

 もう限界に来ていた。

 そこで覚えたばかりの魔王竜ヒールを使うと決断。

 これしか俺にはなかった。


「魔王竜ヒール!」


 魔王竜ヒールをした。

 俺の体にヒールした時と同じ光に包まれる。

 そして体力は回復したようだった。

 なんだこれは、全くヒールと一緒だぞ!

 普通のヒールじゃないか!

 騙されたか俺は。

 魔王を信じた俺。

 勇者に裏切られたばかりで、今度は魔王にも騙されたとは、情けない俺。

 このままスライムにも負けて死ぬのかと思うと残念だった。

 しかし変化があった。






トレイル

冒険者

レベル3


◇スキル

ゲオルギウスの加護



◇魔法

魔王竜ヒール




体力を9回復しました。

経験値を9獲得しました。

レベルが1上がりました。






 ええっ、なにがあった!

 いきなりレベルが上がったぞ。

 まだスライムには攻撃をしていない状態でだ。

 少し考えてみると、ダメージを受けて、9体力が減少した。

 そして経験値が9とあった。

 推測できるのは、俺が受けたダメージで減った体力の分、経験値が獲得されると。

 俺のレベルは2から3に上がっているのは確かだ。

 これが魔王竜ヒールの能力らしい。

 ヒールして回復したら、経験値アップするのだ。

 俺は決してゲオルギウスに騙されていなかった。

 むしろ、強力な力かもしれない。

 スライムに勝つにはこれしかない。


 夢中で剣を振った。

 普段は剣を使うことはなく、ヒール魔法が主な仕事。

 剣を持っていても使った経験はゼロに近かった。

 スライムに剣が落ちた。

 スライムは粉砕された。

 勝てた!

 俺が魔物に勝った!

 信じられないが、回復職種の俺が魔物に勝てたらしい。

 サリオスに勇者パーティーを追放されて、俺はどん底であるが、強くなれる気がした。

 回復職種でも強くなれると。

 


 スライムを倒した後は、町に行こう。

 先ずはフォークテイル国を目指すとした。

 そこは来た国とは違う国でもあるし、何よりも近いと思う。

 ここから一番近いのはいい。

 町があればラッキーだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る