どうかあなたがこの場所で、何も気にせず笑えるように

takemot

第0話 とある日のニュース番組

 とある日のニュース番組。


「いやー。まさか、現役の女子高生がプロ棋士になるなんてねー。将棋界の歴史に残る大事件ですよ、これは」


「今でも将棋界で活躍されている女性はいますが、皆さん『女流棋士じょりゅうきし』なんですよね?」


「その通りです。『女性のプロ棋士』と『女流棋士』では枠組みが異なります。基本的に、プロ棋士になるには奨励会しょうれいかいと呼ばれるプロ養成機関を突破しなければなりません。彼女は、女性で初めてそこを突破したんです。しかも高校生で。天才以外の言葉が見つかりませんよ」


「なるほど。彼女の今後の活躍に期待ですね」


「ええ。プロ棋士の世界は彼女以外全員が男性。プレッシャーももちろん大きいでしょうが、頑張って勝ち星を積み重ねていってほしいです」


 朝食のパンにかぶりつきながらテレビを眺めていた僕。この時はまだ想像もしていませんでした。来年、彼女と僕が特別な関係になるなんて。

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