第54話 広範囲殲滅魔法
「じゃあ、攻撃魔法であの魔導具をぶち壊せばいいのね?」
そういうのが得意な私がそう確認を取る。
「……遠距離攻撃魔法で、あんな遠くの杖を破壊すると?」
なぜか呆れ顔のミアだった。あれくらいなら結構簡単にできそうじゃない?
「魔導師団所属の魔導師でも、難しいでしょうね」
なんだか魔導師団の実力に詳しそうなミアだった。実家が実家だから魔導師団とも共同訓練をしたことがある、とか?
しかし、あの程度の距離の杖を狙い撃ちできないとは、ちょっと魔導師団は練度が低すぎじゃない? 大丈夫? いざどこかの国と戦争になったら攻撃魔法の打ち合いになるのよ?
「いざとなったらお姉様に丸投げしてしまえばいいのでは?」
まさかの国防丸投げ宣言であった。武の名門・アイルセル公爵家の一員としてそれでいいの?
攻撃魔法で杖を破壊すればいい。
そんな私からの提案を受けて、フレイルは難しそうな顔をしていた。いやフレイルは腕輪だから顔なんてないけど、なんとなくそんな顔をしているだろうなと分かったのだ。
≪一種の状態異常ですから、杖を破壊したところですぐに正気になるとは限らないでしょう。さすがに王都に到達するまでには自然解消するでしょうが、少なくともあの二人とのバトル中は洗脳状態のままかと≫
ふ~ん、となると、一度気絶させるとかしてリセットさせた方がいいと。
じゃあ、一旦気絶させましょうか。あの程度の軍勢なら何とかなるし。
「いえ『あの程度』って。少なくとも千人は軽く超えていますわよ? しかも獣人の戦士階級ともなれば人間より身体能力が高く、頑丈で――」
え~っと、範囲は広く、でも殺傷能力は低いとなると……アレでいいか。
ミッツ様に念話を繋ぎ、警告する。
「あー、あー、ミッツ様。これから攻撃魔法で支援しますので、結界魔法を張ってください。ガースさんの分も」
なにやら念話の向こう側から声にならない叫び声が聞こえた気がするけれど……きっと獣人たちに囲まれて震えているのでしょう。すぐに助けてあげないとね。
右手を天高く掲げ、呪文詠唱。
「――
「ちょっとお姉様それは確か広範囲殲滅魔法――」
「――
閃光が、世界を支配した。
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