この素晴らしき世界

寅次郎

第1話


藤崎亮44歳は2つの意味で迷っていた。




一つ目は人生だ。刑務所上がりが会社にばれてクビになり、妻にも逃げられ、悲しみの果てにいた。




近頃思う、死んだ方が楽なんじゃないかってこと。




二つ目はどうせ死ぬのなら最後女を抱いてから死にたいってこと。




今、俺は町を歩いてたら激安ソープ店を見つけたのだ。


















亮は財布の中身をチェックすると「よし」と小さく言ってソープの扉を開けた。




可愛らしい女の子が相手だった。しばらくやってもらっていたが、イカなかった。




亮は申し訳無い気持ちになり謝った。すると女の子に「まじめー」と笑われてしまった。
















まだ時間があったから亮は彼女と話すことにした。




自分の今の境遇、悲しみ、不安みたいなのを話した。




すると彼女が




「私お客さんみたいな人好きですよ」




「え?おれが?」






「私、本名、春っていうんですけど、私春嫌いで。なんか浮かれてる春より、静かな冬が好きなんです。お客さん冬です」






「俺、死のうとしてたんだぜ?」






「真冬ですね」




と屈託のない笑顔で言った。






「今日お客さんで最後なんで、私奢るんで良かったら焼肉いきません?」






「悪いよ」




「はい、じゃあ決まり!」












亮は外でタバコを吸っている。




なんんか彼女の明るさに助けられた1日だった。




人生直感に従うのも大事だな。




するとママチャリに乗った彼女が現れた。




「家この辺だから」




私服に着替えた彼女は良い意味で、どこにでもいる20代前半の女の子だ。






僕らは焼き肉屋に向かった。


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