人間爆弾
天川裕司
人間爆弾
タイトル:人間爆弾
私は大正の生まれ。でも令和になった今でも生きている。
私の娘は遠の昔に亡くなった。
私がまだ娘だった頃、不思議な存在に出会った。
今から思えば、あれは人間だったのか何か特別な存在だったのか。よくわからない。
とにかくその存在に出会い、
私の体にあるものが埋め込まれたのだ。
そのものを自分から飲んだのだが、彼女のあの時の目は不思議だった。
謎の女「これを飲めば、あなたの夢は叶うでしょう。信じるか否かはあなた次第。信じれば、少なくともあなたの夢は叶う」
そう言って冷静に見つめてきたその目。
あの目はあまりに冷たく、初めて見る安らぎを宿していた。
私が飲んだそれは液体だったが形があった。
うまく説明できない。
夢の中で見たような飲み物で、ワインに似て、
ビールにも似て、コーヒーにも似て、コーラにも似て。
喉越しなめらかで、口に入れたらツルッと入ってしまった。
そのあと私は笑い、飲んだその時の記憶が薄れ
普通に水を飲んだ感覚に戻っていった。
それから私は結婚し、娘を1人儲けた。
娘はどんどん成長し、夫もどんどん老いてゆき、
私だけが取り残される。
夫は幸いながらも私の本性を見ることなく、
某月某日、事故に遭って亡くなった。
まだ夫も私も50代半ばだった時。
そして娘も老いて病床に着いた時、
あの時の言葉が未だに忘れられない。
娘のシワだらけの手がシワひとつ無い
きれいな私の手を取り、病床の内から…
娘「…お母さん…お母さんはいったい…何ものですか…?」
それを聞いて涙を流した自分を覚えている。
娘はそのまま息を引き取った。
そしてつい最近になり、あの女が私の心に現れたのだ。
そしてこう言った。
謎の女「あの時あなたが飲んだ飲み物の名前、まだ教えてなかったわね。『人間爆弾』そう覚えるといいわ」
「人間爆弾」
この言葉の意味がどういうものなのか
未だよくわからないけど、
何かただならぬものだった事は
この私の人生が既に証明している。
そして私は今日も、若い娘に紛れ、今の時代を生きて居るのだ。
この私の噂はいちど新聞にも流れたことがあり、
漫画にもなったり、特別な実写ドラマにもなったり、
まぁ知る人は知っているはず。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=fU8HRCwVPnc
人間爆弾 天川裕司 @tenkawayuji
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