第36話「夏祭り② 宣戦布告」
俺は彩華との待ち合わせ場所に着いた。まだ彩華は来ていないようだった。よかった〜、こういうときは先に来といて「待った?」「全然待ってないよ」っていうやりとりが鉄則だからね。うんうん
(彩華)「修くん、修くん、おーい修くん」
(修)「は、はい」
(彩華)「どうしたの?何か考え事?」
(修)「いや、べつに何でもないよ。ただちょっとぼーっとしてただけ」
(彩華)「そっか、でこの格好どう?」
今日は彩華は浴衣だった。まったく期待していなかった。ほ、本当に期待してなかった………というのは嘘でもしかしたら浴衣なのではないかと期待していた自分がいる。ありがとう神様ありがとう彩華
(修)「す、凄く似合っていると思います」
(彩華)「ありがとう。それにしても顔真っ赤だね〜、見惚れちゃってますか?」
(修)「そ、そんなこと全然あるし」
(彩華)「ふ、ふ〜んそんなことあるんだ」
彩華は嬉しそうにしてモジモジしていた。うん、かわいい
(彩華)「よし、行こっか。電車来ちゃうから」
(修)「そうだね」
俺たちは電車に乗って隣町に向かった。電車の中は花火大会があるということでいつもよりも人が多い。いつもなら当たり前のように座れるが今日は座れるどころかギュウギュウ詰めだ。
(修)「凄い人だね」
(彩華)「だね、みんな考える事は一緒だね。それにカップルらしき人も多いね」
(修)「そうだな。この花火大会の花火めっちゃ綺麗だよな」
(彩華)「そう、めっちゃ綺麗」
(修)「花火大会のあるある1つ言っていい?」
(彩華)「ほいほい、なにさ?」
(修)「花火を頑張って撮るけど後から見返したこと1回もない」
(彩華)「うわ〜、あるあるだ。私も何回もやった」
(修)「俺も何回もある」
(彩華)「ところで修くん」
(修)「なに?」
(彩華)「私たちをコソコソつけてる人たちがいるみたいだけど気づいてる?」
(修)「もちろん気づいてるさ。だって家を出たときからつけてきてるからな」
(彩華)「そうだったんだ」
そう言って彩華は苦笑いをした。
(彩華)「てかさ奈津美ちゃんとかからは誘われなかったわけ?」
(修)「誘われたけど一番最初に誘ってくれたのは彩華だったからね」
(彩華)「へぇ~、とか言って本当は1番一緒に来たかったのが私ってことじゃないの?」
(修)「さて、どうでしょうね?」
(彩華)「なによその含みのある言い方は」
(修)「どうでも良いいだろ」
(彩華)「どうでも良くない。だって今日私は修くんの1番になりに来たから。これは宣戦布告だからね」
そう言って彩華はニコッと笑った。いつも通りのただの笑顔ではない。でもその裏に何があるのか俺には分からない。
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