第11話 試験

朝から、久しぶりに

バスに乗り、今日は、ふたりで、

運転免許の試験を受けに、来ている。


「結構、人凄いね。」


試験会場には、沢山の人達。

あたしらの、歳くらいが、

それでも、一番多い。


りさと、二人で、珈琲を、

飲みながら、ベンチに座り、

二人で、教習の本を、

さっと読んで、最後の、おさらい。


「うん。多分大丈夫。」


「そうだね。落ちる気が

まるでしない。」


バイトをしながら、時間を、

作って通った、教習所。

結構、時間に追われたが、

それは、ある意味充実してて

あたしも、りさも、

集中出来たと思う。

運転に関しては、あたしより

りさの方が、センスあると

言うか、良く教官に、

褒められていた。


試験を受けて、出てきた第一声は、


「完璧。」


「あたしもだよ。」


あたし達は、試験を受け。


余裕な表情で、結果をまった。


自分の番号が、表示されて、

りさと、二人で、


「だよな。」


「だよね。」


そう言い合って、ほっとして、笑った。



運転免許を取得して、


「はじめての、資格だね。」


「そうだね。」


そう言い合って、免許を、

じっと見つめる。。。


「りさ、海行こうか。」


「へ。いつ?」


「今からだよ。」


「駅前の、レンタカー、

借りていこうぜ。」


「じゃあ、行きは、あたし、

かえりは、りさの運転。」


「わかったよ。いいよ、

で、何処の海行くんだ?」


「そうだねぇ。そんなに、

時間もないから、江の島

あたりにすっか。」


車を借りに、レンタカー

屋さんに向かう途中、

しおりからの、メール。

「今日、何処か遊びに、

行きませんか。」


りさに、携帯を、向けて、

見せる。


「凄いタイミングだな。」


「そうだねぇ。」


「じゃあ、誘うか。」


「そうだね。後で、

どうせ、拗ねられるなら、

誘っていこう。」


じゃ、メールするよ。

「今から、海を見に行く

けど、来るか?」


ブルブルと、速攻で返信。

「行きたい!」


「横浜の西口で、

まちあわせしよう。」

っと。


あたし達は、最寄駅の、

横浜駅で、待ち合わせを

して、三人で、江の島に、

行くことになった。。。


「おまたせー。」

しおりが、足早に、近付いて来る。


あたしも、りさも、

免許を、しおりに、見せる。


「あ、免許。ひょっとして、

ドライブですか?」


「そうだよ。りさと、

海いこうぜ。って、言って

たら、しおりから、

メール来たんだよ。」


「うー。メールしなかったら

のけ者だったのかぁ。」


「結果オーライじゃん。」


「しおり、いい感してるよ。」


「今度からは、ちゃんと、

最初から、誘って下さい。」


「しかたねぇだろ。

只の、思いつきなんだから。」


「ふふっ、思いつきじゃ、

しょうがないです。」


「まぁ、でも、あたし、

海って、行った事ないって

前に、あけみに、言ってたから、

だろ。」


「まぁな。免許とったら、

海行こうって、ずっと、

思ってたけど、それは、

夏に、行こうと思ってた。

でもさ、見に行くだけでも、

いいかなって、急に、おもったんだ。」


「なるほど。確かに、

海を眺めるのも、

いいかもしれないです。」


「だろ。」


「あたしは、写真でしか、

見たことないから、

楽しみだよ。ありがと。あけみ。。」


早速、西口で、車を借りて、

ゆっくりと、走り出す。

スマホのナビは、

思ったより、分かりやすく、

道を間違えることなく、

順調に、道を進んだ。


「あけみさん、初めて

なのに、運転上手。」


「こら、こっちは、

ぱつぱつで、余裕ないから、

あんまり、話しかけんな。」


「はーい。」


助手席の、りさは、

スマホのナビで、

あたしに、案内をしてくれてる。

チラリと、バックミラーを、

見ると、窓の外を眺める、

しおり。その顔は、

遠足に行く、子供のように、

楽しそうだった。


「ちょっと、

喉かわいたから、

コンビニ寄って行くか。」


江の島の手前10キロ位の

場所まで、来ると、

わりと、田舎な風景に、

出た。コンビニの、

駐車場も、わりと広く、

そこに、寄ることにした。


「横浜にも、こんな所あるんだね。」


「この辺は、森が、多いね。」


「そうだね。静かそうで、

良い所だね。」


コンビニに入ると、


「大丈夫?疲れてない?」


りさが、あたしに、

気を使って聞いてきた。


「ん。思ったよりは、

平気。ただ、手汗結構、

かいてる。」


「あ、ほんとだ。」


「だろ。」


「教官無しの、路上だもんな。」


「でも、なるべく、乗らないと、

上手く、なれないよな。」


「じゃあ、週一で、ドライブ行くか。」


近くで、飲み物を

選びながら、しおりが、


「私も、ちゃんと、

誘ってくださいよ。」

って。


「わかってるよ。」


「それならいいんです。」


レジを済ませて、

また、車をゆっくりと、走らせる。


だんだんと、

磯の香りがする。

正面に、うっすら、青く、

地平線の様な景色。

もう少し、近付いて、

それが、海だって、わかった。


「どう?りさ、海だよ。」


「わぁ。広いね。見渡す限り、海。

船も見える。」


しおりは、特に何も言わず、

私達を、見ていた。


江の島の駐車場に、何回も、

切り返して、やっと、車を停めて。


「ふぅ。」と、息を吐く。


駐車場の、側には、

お店があって、貝とか、

魚が、食べれる見たいだ。


「なんか、食ってくか。」


「うん。いい匂い。」


「確かに、腹減った。

って言うか、この匂いで、

食べてかないなんて、

拷問だよ。あけみ。」


「そうだねぇ。あ、

はまぐりとか、焼いてるよ。

あたし、あれ食べたい。」


「いいね。じゃ、最初は、

はまぐりで。」


「私もたべる。」


三人で、焼きたての蛤で、

舌鼓をうって、


「うん、美味しい。」


「確かに。」


「外で食べるのって、美味しいです。」


「本当だね。こう言う、

所で食べるから、別格。」


店の中に入ると、


「生しらす?名物なの?

あたし、これ食べてみよう

かなぁ。」


「じゃ、みんなで、食べてみようよ。」


「うん。私も生しらすって、

食べたことない。」


生しらすの定食を、三人で、食べて、


「面白い食感だね。旨いよ。」


りさも、しおりも、

満足して、美味しいって、言ってた。


食事の後、三人で、少し、

海を眺めてると、りさが、

あたしに、よりかかった。


「あけみ、ありがと。」


「これで、海を見せて、

あげられたね。」


「うん。海って、広いね。」


「まぁな。」


「なんか、二人って、

恋人同士みたいです。

私の入る隙間が、無い世界に、

入らないで下さい。」


しおりが、少し、むくれて言う。


その顔が、可愛くて、

あたしも、りさも、

「プッ。」と、吹き出した。


「あたしらに、そんな、

趣味はねぇよ。」


「それより、灯台、登ってかねぇか?」


「上りたいです。」


灯台を見上げて、りさが、

「結構、高いぞあそこ。」


「まぁ、食後の運動だよ。」


「じゃあ、行くかぁ。」


三人で、ゆっくりと、

昇る階段。結構、距離も、

あって、本当、いい運動。


途中、途中、色々見ながら、

あたし達は、階段を昇る。


「結構、立派なもんだね。」


「この、灯台って、鉄で、

出来てんだな。」


「なんか、昔は、

コンクリートだった、らしいですよ。」


「そうなんだ。じゃ、

建て直したんだね。」


灯台を昇って、展望台。


海が良く見える。

遠くまで。

三人で、ぼーっと眺めて、


しおりが、

「また、来たいな。」

と呟く。


「また、来ような。」

そう言って、しおりの、

頭を撫でる。


隣で、りさが、

「あたしも、また来たい。」


と言うと、あたしの、肩に

おでこをくっつけた。


「じゃあ、また、三人で、

また来ような。」

そう言って、微笑んだ。


帰りの道は、ゆっくりと

下り。今日の事は、三人のいい思い出。


駐車場に戻ると車を出す。。


運転席には、りさ。

あたしは、助手席。

うしろには。。。

疲れたのか、静かだと、

思ったら、寝てしまった、しおり。


「寝ちゃったね。」


「まぁ、階段結構、

きつかったもんな。」


「そりゃ、疲れるか。」


夕方の方が、道路が混んで、

横浜駅に戻れたのは、

夜の7時過ぎ。


「お疲れ。りさ。」


「やっぱり、ちょっと、

馴れてないから、疲れるね。」


「しおり、着いたよ。もう、起きな。」


軽く揺すって、しおりを、起こす。。


「あ、ごめんなさい。

寝ちゃいました。」


ぱっと、起きて、席から降りる。


今日、しおりは、どうすんだ?


「泊まってって、良いですか?」


「いいけどよ、お母さんに、

連絡入れとけよ。」


「うん。」


「じゃあ、今日は、

少し寒いから、鍋でも、すっか。」


「いいねぇ。」


「私、いっぱい野菜食べたい。」


今日の締めは、鍋。

三人で、鍋を囲んで、

今日も、楽しく、1日を終えた。。。































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