私の神様は貴方です
川島由嗣
私の神様は貴方です
「お嬢様・・・。お嬢様・・・。起きてください。」
「ん・・・。」
私を呼ぶ声が聞こえる。目を開けるとメイドのカレンが心配そうにこちらを見ていた。彼女を安心させるように笑いかける。
「おはよう。カレン。」
「おはようございます・・・。」
カレンにゆっくりと身体を起こしてもらう。窓から陽が射している。今日もいい天気だ。だがそれと反比例するかのように私の身体は昨日と変わらずボロボロだった。瘦せ細った身体。足は力を入れても全く動かない。胸の当たりで何かが自分を蝕んでいる感覚がある。
「お父様は・・・?」
「今日もお出かけになられております。」
「そう・・。」
可能であれば一緒に食事をとりたかったが無理らしい。お父様はこの国にある軍の最高責任者だ。お忙しいのだろう。ただでさえ私の事で心労をかけさせてしまっている。ちゃんと食事をとっていればいいのだが。
「さあ、お嬢様。着替えて食事にしましょう。」
カレンに着替えを手伝ってもらった後、朝食をとった。彼女がいなければ食事どころか着替えすら満足にできないこの身体が憎らしい。この状態になってから色々な医者や魔法使いに診てもらったが、誰も私の原因を特定できなかった。日が経つにつれ体調はどんどん悪くなり、身体も動かなくなっていった。自分の身体だから分かる。もって後数日だろう。3日後に私の18歳の誕生日があるが、その日を迎えられるかも怪しい。
「いつもありがとう。カレン。」
「とんでもございません。」
「それでなんだけど・・。食事の後にあそこに行きたいの。付き合ってもらっていい?」
「お嬢様・・・。ですが。」
「お願い。部屋にいても気が滅入ってしまうわ。最後まで続けさせて。」
「・・・承知いたしました。」
朝食の後、私はカレンに車椅子を押してもらい、町はずれの小さな教会に向かった。献金をしてから、礼拝堂に入る。礼拝堂には誰もいない。この教会は町はずれにあるため、人がいる事はほとんどなかった。しかし私はこの誰もいない雰囲気が好きだった。ステンドグラスから降り注ぐ光を全身で受けながら私は祈り始める。
どれくらい時間がたったのだろう。扉が開く音が聞こえたため、祈りを中断し振り返る。1人の男性が礼拝堂に入ってきた。
「なんだ・・。人がいたのか。」
「何者!!」
カレンが私を庇うように男と私の間に立つ。だが男は呆れたように肩をすくめる。
「何者と言われても・・・。ただの通りすがりだが。ここは立ち入り禁止だったか?」
「カレン。いいから下がって。」
カレンもさすがに過剰反応だと気づいたのだろう。彼を睨みつつも私の後ろに回ってくれた。彼の目をまっすぐに見つめて私は頭を下げる。
「私のお付きが大変失礼いたしました。改めてご挨拶をさせてください。私はシオンと申します。このものは私のお付きのカレン。ここは共同スペースですのでいていただいて構いません。ただ、私ももう少しだけ祈らせていただいてもよろしいでしょうか。」
「もちろんだ。ここが共同スペースであるのであれば、俺がとやかく言う理由はないよ。」
「ありがとうございます。」
彼も怒っているようではなさそうだった。その事に安堵しつつ、私は再び前を向いて祈りを再開した。
「お待たせいたしました。お先に失礼いたしますね。」
祈りが終わったので、カレンに合図を出す。彼女に車椅子を押してもらって教会の入口へ向かう。彼とすれ違うところで彼が口を開いた。
「なあ。よければ1つだけ質問させてくれないか?」
「?私でよければ構いませんよ。」
カレンにお願いして、車椅子を止めてもらう。カレンは不満げだったが、ここで会えたのも何かの縁だ。我慢してもらおう。
「ずいぶん熱心に祈っていたが、何をそんなに祈っていたんだ?」
「私が死んだ後、お母様の元にいけるようにと。後、残してしまうお父様の幸せを。」
お母様は5年前に事故で亡くなった。馬車で移動中に、突然馬車から飛び出して崖から落ちてしまった。崖下は流れが速い川で、あっという間に川に飲み込まれてしまった。
必死の捜索もやむなく、見つかったのは血まみれになったお母さまの洋服だけだった。お父様も必死に捜索を続けたが、成果はあがらず、皆から説得され泣く泣く諦めたのだった。あの時のお父様は見ていられなかった。これからは私がお父様を支えようと考えていたが、お母様の葬式の後、私が倒れて動けなくなってしまった。間もなくお父様の元から去ることになるだろう。1人になってしまうお父様が不憫でならない。だが、私には祈るしかできないのだ。
「まだ若いだろうにずいぶん悲観的だな。」
「私の身体を見ていただければ、なんとなくわかるかもしれませんが、満足に栄養も取れず自分で歩くこともままなりません。そして何かが自分を蝕んでいる感覚があります。おそらく・・・・もって後数日でしょう。」
「・・・・治そうとは思わないのか。」
「お父様が治せる方を世界中から探しましたが、5年近く経った今でも見つかっておりません。」
私が倒れてから、お父様は治療できる方を世界中で探し回っている。高名な医者だけではなく、ギルドに多額の報酬をつけて依頼を出しているが、いまだ見つかっていない。
「あんたは今の状況を嘆かないんだな。」
「まさか。最初は嘆きましたし怒りもしました。ですが、人生は思う通りにはいきません。今は残された時間を精一杯生きようと考えています。」
治療方法が分からないとわかった時は、部屋に籠って泣き続けた。今でも涙が止まらない日もある。辛くてカレンに当たりちらしたことも1度や2度ではない。それでも離れず傍にいてくれたカレンには感謝しかない。
彼は私の事をじっと見つめてきた。もういいのだろうか。カレンに車椅子を押してもらおうと合図をだそうとしたとき、彼が再び口を開いた。
「すまないがもう一個だけ聞いてもいいか?」
「?ええ。構いませんよ。」
「もし・・・1つだけ願いを叶えられるとしたら何を願う。身体を治す以外で。」
「貴様!!なんてことを!!」
「カレン。良いから。・・・・そうですね。」
今にも飛び掛かりそうなカレンを制止し、考えてみる。だが答えはあっさりと出た。
「もし叶うのであれば、もう一度だけでいいので自分の足で歩いて町を見て回りたいですね。色々なお店を見て、食事をしてみたい。最後には私のお気に入りの場所に行って、星をゆっくりと眺めたいですね。」
倒れてから5年近くたつが、その間一人では歩きまわることもできず、基本ベッドの上にいた。町の喧騒も今では雑音にしか聞こえない。お気に入りの場所に最後に行ったのはいつだっただろう。叶うのであればもう一度星を眺めに行きたい。
「ささやかな願いだな。世界中の人が皆、あんたみたいな事を願う人ばかりだったら世界はきっと平和だろうに。」
「そんなことはありませんよ。私の願いなんて人並です。」
私の回答に満足したのか彼は椅子から立ち上がった。礼拝堂を出ていくのかと思ったが、彼は私に近寄ってくる。カレンが再び威嚇しそうだったので、事前に手で制しておく。彼は私の前に立つと優しそうに笑った。
「教えてくれてありがとう。聞かせてくれたお礼をしたいのだが、受け取ってもらえないかな?」
「ただお話しをしただけですよ。お気になさらないでください。」
「世界はまだ捨てたものじゃないと思わせてくれただけで充分だ。それにお金とかじゃない。魔法という名の祝福を1つ贈るだけだ。俺の我儘でもあるから素直に受け取ってくれると嬉しい。」
「まあ。祝福なんて素敵ですね。それであなたが満足していただけるのであれば喜んで。」
「ありがとう。ならまずは連れが暴れないように抑えていてくれないか。」
振り向くと、カレンが今にも飛び掛かろうと身構えており、思わず苦笑してしまった。本当に私の事になると過剰といえるぐらいに反応する。そうしてしまったのは自分のせいなのだが。
「カレン。何があってもこの方に手を出さないでね。」
「お嬢様!!このようなやからを信じるのですか!?」
「ここであったのも何かの縁。それにこのような場所で祝福をしてくださるなんて素敵じゃない。お願い。私の我儘を聞いてちょうだい。」
「・・・・・・承知しました。」
カレンは不服そうだったが、私の思いをくみ取ってくれたのだろう。彼を威嚇しつつも私から一歩離れた。カレンが離れたのを確認して彼に向き合う。
「お待たせしました。」
「それじゃあ手を。」
彼が私の前で跪くと、私に向かって手を差し伸べてくる。私は迷うことなくその手を取った。
「・・・・・◆◆◆◆◆◆◆」
彼が何かを呟いた。意味は理解できなかったが、彼が呟いたと同時に彼と私の間で何かが光り輝く。暖かい光が私を包み込む。思わず見とれていたが、光はすぐに消えてしまった。
「綺麗・・・。」
「うん・・・。うまくいったな。」
「?何かはわかりませんが、ご満足いただけたなら何よりです。」
「ああ。満足した。身体はどうだ?足に力を入れてみろ。動かせるはずだ。」
「え・・・。」
言われて初めて気づく。自分を蝕んでいる感覚が消え去っていた。
「立ってみろ。ただしゆっくりとな。」
「!!」
言われてみて、恐る恐る足に力を入れてみる。すると今まで反応しなかった足が動いた。恐る恐る足を動かし車いすから降りる。身体は安定しないが何とか立つことができた。
「お嬢様!?」
カレンが悲鳴に似た叫び声をあげる。恐る恐るカレンの方を向き、ゆっくりと彼女に向かって歩き出す。たいした距離ではないが、一歩一歩着実に歩く。カレンが涙をこぼしているのが見える。気がついたら私も泣いていた。時間にしては1分も経っていないが、自分の足でカレンの元にたどり着き、二人で抱き合う。
「これは・・・いったい。貴方は神様ですか?」
「大袈裟だな。ちょっとした奇跡さ。治したわけじゃない。あくまで今日1日だけ。明日には元に戻る。」
「1日。」
「自分の足で町を見て回りたいんだろう?ただ無理はするなよ。筋肉は弱っているからな。多少魔法で補強はしたから歩けるが、走り回ったりしたら倒れるからな。」
彼の言葉が信じられなかった。だが実際に私は歩けている。奇跡としか言いようがない。
「なんてお礼をいえば・・・。」
「気にするな。あくまでお礼だ。最近荒んでいてな。あんたみたいな心の綺麗な人間がいたことが嬉しかった。それに繰り返すが治したわけじゃない。つかの間の奇跡を楽しんでくれ。」
「どうか何かお礼をさせてください。でないと私の気が済みません!!」
「本当に・・・。それならまた会うことがあれば、あんたのお気に入りの場所を教えてくれ。俺も星を眺めるのは好きなんだ。」
それだけ言い残し、彼は去っていった。そしてその場にはカレンと私だけが取り残された。
「お嬢様・・・。本当に・・・?」
「え・・・ええ。嘘みたいに身体が軽いわ。貴方の力を借りなくてもこうして歩けた。それにあなたをこうやって抱きしめることができる。」
「お嬢様!!!」
カレンが再び大粒の涙をこぼしながら私を強く抱きしめる。私もつられて涙が零れ落ちる。礼拝堂の中、2人で大声で泣き続けた。
涙が止まったところで、私は慌てて立ち上がる。時間はまだある。驚いているカレンに向かって手を差し伸べた。
「さあカレン。町へ行きましょう。」
「お嬢様!?旦那様に報告しなければ・・・。」
「あの方がおっしゃっていたじゃない。これは今日1日だけだと。変に期待をさせてはいけないわ。神様がくれたささやかな奇跡だと思わないと。この奇跡の時間は、私は貴方と過ごしたいの。」
「お嬢様・・・・!」
再び泣きそうになるカレンを宥めながら手を引く。カレンの手を引ける日が来るなんて思ってもみなかった。この時間を精一杯楽しもう。
それから私達は2人で町を見て回った。色々なお店を見て、食事も食べられそうだったのでレストランに入って食事もした。久々に食べたいものを食べられた食事は本当においしかった。
楽しい時間は無情にもあっという間に過ぎていく。気付いたら夕方になっていて、そろそろ帰らなければいけない時間になっていた。頃合いかと思っていると、すぐ近くに小さなアクセサリー店を見かけた。
「最後にこのお店に入ってもいい?」
「勿論です。」
二人でお店に入る。中を眺めて回っていた時に一つ気に入ったものを見つけた。それを迷わず購入して外に出る。
「ありがとう。じゃあ家に帰りましょうか。」
「はい。」
「その前にこれを貴方に。」
カレンに先ほど買ったものを手渡す。彼女は驚いた顔で固まっている。
「これを私に・・・?」
「ええ。カレン。今まで本当にありがとう。貴方には本当に助けられたわ。貴方がいなければ私は部屋でずっと塞ぎこんでいたと思う。私にとって本当の奇跡は貴方が傍にい続けてくれたことなの。こんなことしかできないのは心苦しいけれど・・・・。よければ受け取って・・・。」
「おじょうさまぁ・・・。」
カレンが再び涙を流し抱き着いてくる。カレンを抱きしめられる幸せを噛みしめながら、優しく彼女の頭をなでる
「もう・・・。カレンは泣き虫ね。」
「お嬢様のせいです・・・。」
「・・・そうかもしれないわね。ごめんなさい。」
本当は彼女を縛るようなものを送るかは少し迷った。だが、彼女は私がどんな状態でも傍にいてくれた。そのお礼をしたかった。後は彼女には私の事を覚えていてほしいという私の我儘だ。
「さあ。帰りましょう。」
私は笑顔でカレンに笑いかける。神様がくれた奇跡だ。迫りくる時間に怯えても仕方がない。可能な限り笑っていよう。
「お帰りなさいませ。お父様。」
夜。お父様が帰ってきた。急いでいたのか汗だくになっている。そして私の姿を見て固まった。情報が整理できていないのだろう。
「シオン!?お前!!治ったのか・・?」
「いいえ。残念ですが今日だけです。神様が1日だけ奇跡をくださいました。」
「とはいえ、今は何ともないのだな。どうやった!?治せる可能性があるのなら」
「お父様。」
お父様が興奮して話し出すのを遮る。ここで止めないとお父様との時間がとれなくなってしまう。
「私の最後のお願いです。一緒にお食事をして、たくさんお話をさせてください。可能性ではなく、今の私を見てください。後悔はしたくないのです。」
「!!・・・・わかった。」
私の言葉にお父様も少し冷静になったのか、静かに頷いた。そこから今までの時間をとり戻すかのように2人で一緒に食事をしながら、たくさん話をした。本当に楽しい時間だった。
お父様との話が終わった後。カレンに我儘をいい、再び外に出た。私のお気に入りの場所で星を眺める。
ここは町から少し離れた場所で周りに建物がない。そのため星を眺めるには絶好の場所で、私のお気に入りの場所だ。寝転がると満天の星が見えるのだ。地面に寝転がって星を眺める。
「お嬢様。汚れてしまいます。」
「今日ぐらいいいじゃない。ほら・・・カレンも。横になって一緒に星を眺めましょう。」
「・・・・承知しました。」
カレンはため息をつきつつも、隣に寝そべってくれた。2人で星を眺める。
「・・・いい夜ね。今日が終わってしまうのがもったいない。」
「お嬢様・・。」
「嘆かないで。神様が私のお願いを聞いてくれたのよ。喜びこそすれ悲しむのは失礼でしょう。」
あと何日生きられるかわからない。ただこの思い出を支えに最後まで生きようと心に誓った。しばらくの間二人で星を眺めた後、手をつないで家に帰った。帰った後は、二人で一緒にお風呂に入った。小さい頃は姉妹のようによく一緒に入っていたなと思い出す。仲良く話しながら部屋に戻る。
「・・・・お休みなさいませ。お嬢様。」
そう言って、カレンが部屋を出ていく。彼女の顔から涙がこぼれていた気がしたが、見ないふりをした。
「さてと・・。寝る前にやれることをやっておかないと。」
私はベッドに向かわず、机に向かい紙とペンをとった。
翌日。いつも通りの朝が来る。何かの間違いで奇跡が続くのではないかと思ったが、そんなことはなかった。いつも通り足は動かない。何かが私の身体を蝕んでいる。
心配そうにこちらを見ているカレンに向かって首を振ると、彼女は辛そうに顔を伏せた。
「そんな顔しない。昨日はあくまで神様がくれた奇跡。囚われないようにしましょう。」
その日はベッドで横になって窓から外を眺めていた。出かけることはしなかった。体調が悪いのもあるが、出かけるとどうしても素敵な思い出が蘇ってしまう。思い出を汚したくなかった。
お父様も私の部屋に来たが、私が元に戻っているのを知って泣き崩れていた。だが、昨日お話をした際にお願いしたことを聞いてくれ、外出はせずに家にいて時間の取れる限り私の傍にいてくれた。私としてはそれだけで満足だった。あいている時間は使用人に色々指示を飛ばしており、カレンも含め皆が忙しく動き回っていたが。
そして誕生日当日、朝起きた時に直感した。今日が最後だと。
「カレン・・・。ごめんなさい。今日が最後みたい。」
「お嬢様!?」
カレンが慌てて私の元に駆け寄る。だが、もう身体に力が入らない。昨日とは違い指一本も動かせない。
その時、別の使用人が部屋に飛び込んできた。慌てた様子でカレンの元に近寄り、カレンに何かを囁いた。それを聞いた彼女ははじけたように顔をあげると、「お嬢様を頼む!!」と叫んで部屋を出て行った。最後はカレンと一緒にいたかったが残念だ。
あれからどれほど時間がたったのだろうか。呼吸がうまくできず、目を開けているのも辛い。色々な人が入れ替わり立ち代わりで来ていたようだが、よくわからなかった。
そんな時、勢いよく部屋の扉が開く音が聞こえた。力を振り絞り扉の方を見る。カレンがいた。最後に彼女に会えてよかったと思ったが、その後ろの人物を見て驚く。
「あな・・たは。かみ・・・さま。」
「久しぶり・・というのもおかしいかな。正直もう一度会うとは思わなかった。」
「どう・・して。」
「そこのメイドさんがな。俺を見つけて、引っ張ってきたんだ。」
そう言ってカレンを指差す。だが頼んでも素直に付いてくるようには思えなかった。相当カレンが頑張ってくれたのだろう。でもちょうどよかった。
「嬉しい・・・です。私も貴方に・・・お会い・・・したかった。」
「なんでだ?助けるなんて一言も言ってないぞ。」
「机の上に・・・あなた宛て・・・の手紙が・・・あります。」
必死に言葉を紡ぐ。声がかすれてうまく喋れないが伝えなければ。彼は机の前に行き手紙を開封する。
「これは・・・。場所か?」
「私が・・・星を・・・眺めるときの・・・お気に入りの・・・場所です。」
「!!」
「お約束・・でしたから。それに・・・私に奇跡をくれた・・・貴方に・・・知って・・おいて・・欲しかった。」
あの場所はカレンしか知らない。星を眺めるのには最高の場所だと自負している。だから彼にも知っておいてほしかった。本当は一緒に眺めたかったが残念だ。
ゆっくりと目を閉じる。これで心残りはなくなった。カレンの叫び声が微かに聞こえるがもう回答する気力もない。周りが暗くなっていく。そんな時、何故か彼の声がはっきりと聞こえた。
「時間がないから手短に言うぞ。生きたいか?」
「・・・・え?」
「目を閉じたままでいい。周りの目なんか今は全て捨てろ。恥も外聞も全て捨て答えろ。お前は生きたいか?」
彼の言葉が胸に突き刺さる。本当に?言ってもいいの?私の本音を言ってもいいの?だが彼の言葉は私の心の壁を破壊した。死を実感しているのもあるのだろう。もう本音が隠せなかった。
「いやだよぉ・・・。死にたくないよぉ・・・・・。また・・・星をながめたいよぉ・・・。」
「わかった。」
彼の声が聞こえた直後、礼拝堂で見たのと暖かい光が私を包みこんだ。もう身体も動かないはずなのに何故かはっきりと感じとれた。私の中で何かが書き換えられていく。
「もういいぞ。目を開けられるだろう。」
「・・・・え。」
光が収まった後、彼の声が先ほどよりはっきりと聞こえた。言われてみると、今までと違い身体の感覚がある。それだけではなく、嘘みたいに身体が軽くなっている。恐る恐る目をあけてみると、目の前に彼いて、私を見て優しげに笑っていた。
「今まで、よく頑張ったな。もう・・・お前は自由だ。」
「・・・・自由?」
「といっても、お前に巣食っていたものを排除して体力を少し回復させただけだ。全快とは程遠い。だから無理はしないでゆっくり治せよ。」
「・・・・私の・・・神様。」
ポロリとそうつぶやくと彼は「大袈裟だな。」と言って笑っていた。
「お嬢様!!」
我慢の限界だったのだろう。カレンが彼を押しのけて私の胸に飛び込んでくる。慌ててそれを受け止める。
「カレン。」
「お嬢様!!もう大丈夫なんですよね!?私を置いきませんよね?」
「そうみたい・・・。まだ私と一緒にいてくれる?」
「勿論です!!」
カレンは泣きながらうなずく。その言葉が嬉しくて私も彼女を抱きしめた。
それから屋敷内は大騒ぎだった。お父様も私を見て大号泣してしまい、扱いに困ってしまった。お父様やカレンを宥め、皆がある程度落ち着いたところで、彼が口を開いた。
「さて。落ち着いたところでお代の話をしようか。」
「お代。」
「別に俺は慈善事業であんたを助けたんじゃない。あんたのメイドが私にできることなら何でもする。私のすべてを貴方に捧げるからついてきてほしいと言ったからついてきたんだ。治すかどうかはその時に決めるので構わないし、助けなくても条件は変えないということでな。本当は最初に話すべきだったんだが、時間がなかったからな。」
「カレン・・・。」
カレンは私のために自分を差し出したのか。自分がどんな扱いをうけても構わない覚悟で。思わずカレンを見ると、彼女は私を見て微笑んでいた。
「お嬢様の元気な姿を再び見ることができました。私はそれだけで満足です。お伝えした通り、私を好きなようにしていただいて構いません。」
「余計な話をする気もないし、変な茶番を見たくもないからさっさと話そう。俺はお金が欲しいわけではない。かといってあんたを奴隷にしたいわけでもない。」
「そ・・・そうなんですか?」
カレンは驚いていたが、私はそれを聞いて納得した。彼はお金に困っているようには見えなかったし、カレンを従わせて満足感をおぼえるような人間には見えなかった。
「では私は何をすれば?」
「簡単だ。俺が使用した分の魔力をもらう。」
魔力。それは魔法を使うに必要な重要な要素だ。扱える量は人によって異なる。私を治すのにどれくらいの魔力を使用したのかはわからないが、カレンが所有している魔力で足りるのだろうか。思わずカレンと彼を交互に見つめる。
「承知しました。どのようにお渡しすればよいのでしょうか。」
「俺は魔力を抽出することができる。だから俺が直接魔力を抽出する形にしようと思っている。」
「承知しました。私の魔力を全て持っていてください。」
カレンは彼の前に出て手を差し出したが、彼はゆっくりと首を振った。
「悪いがあんたが今持っている魔力量では全く足らない。だから一度に抽出するのではなく、定期的に魔力をもらうことになるだろう。」
魔力は使い切っても生きている限り、少しずつ回復する。保持している量以上の魔力を使用しようとすると生命力で補うことになるが。彼の言葉でカレンの命を削るまで無理矢理奪うつもりがないことが分かって安堵する。
「承知しました。」
「後は、いらない魔道具があればそれをもらえればそれからも魔力を抽出できる。だから」
「待て。人から魔力を抽出できるのであれば、私からも抽出できるのだろう。私からも持って行ってくれ。」
「旦那様。」
お父様が前に出る。彼は一瞬驚いていたがすぐに頷いた。
「正直助かる。彼女の魔力量では全く足らなかったからな。遠慮なくいただこう。」
「私からも!!私からもとってください!!」
私も思わず叫んだが、彼は苦笑して首を振った。
「馬鹿を言うな。あんたはまず自分が健康になれ。皆の思いを無駄にするな。」
「そうです。お嬢様はご自身の事を第一に考えてください。」
そう言われて私は黙るしかなかった。確かに体力は会話できるぐらいまで回復したが、魔力は全く感じられない。
「それに忘れてそうだから言うがな。あんたは魔法によって呪いをかけられていたんだ。病気なんかじゃない。また狙われる可能性がある。」
「「「!!」」」
その言葉に彼以外の全員が固まる。確かに何かが巣くっている感覚はあったがそれは呪いだったのか。
「だが・・・どうして娘が。」
「あんたは実力もあり、それなりの地位にもいるだろう?恨みを買ったな。」
「私のせいで・・・。娘が・・。」
「加えて言うならあんたの妻も呪いだろうな。」
「!!」
「来る途中にそこのメイドに少し話を聞いたが、いきなり馬車から飛び出して崖から落ちたんだろ?精神を病んだ状態で馬車の中で一気に追い詰められたんじゃないか?推測でしかないが。」
言われてみれば亡くなる前のお母さまの様子はおかしかった。常に周りを見ていて何かに怯えていた。それを聞いてお父様の手が震えている。
「他人事だが、もう軍なんて辞めればいいんじゃないか?金もあるだろうし、娘を危険にさらしてまで忠義を尽くす必要があるのか?」
「ないな。私にとっては娘が全てだ。すぐに職を辞する旨を伝えよう。」
「お父様・・・・・。」
お父様は私の元に来て優しく私を抱きしめた。
「すまなかった。私の事にお前を巻き込んでしまった。私にとってはお前が幸せになることが一番だ。妻にももっと話を聞いてやればよかった。」
「いいのです。これからはたくさんお話ししましょう。お母様の分まで・・・。」
お父様の目から涙があふれだす。本当に良かった。これからは家族二人の時間をたくさんとっていこう。
「辛いだろうが、ちょっと確認したいことがあるんだ。あんたの妻が亡くなった時の状況をくわしく教えてくれないか。」
「ああ。それは構わないが・・・。」
意味が分からなかったが、言われるがまま、お母様が亡くなった時の状況、その後の捜索時の状況をお父様は全て話した。話を聞いた後、彼は満足したように頷く。
「ふむ・・。実験としては完璧な状況だ。ならもう一つ取引の話をしよう。といっても詳細な話は出来ないから信用取引となるが。」
「いったいどのようなお話でしょうか。」
実験という不穏な言葉が聞こえた気がするが、そこは追及せずにおく。彼は私達に不利になることは決して言わないだろうという確信があった。
「あんたら。分の悪い賭けに乗る気はないか?」
「乗ります。」
「即答するなよ・・・。俺が言うのもなんだが・・・・もう少し悩まないか?」
彼が呆れてため息をつく。だが私にとっては断る理由などどこにもなかった。
「私の神様は貴方ですから。神様のお願いを断るわけありません。それに。」
「それに?」
「貴方は悪い人ではないですから。私達を悪いようにはしないでしょう。」
「言い切るのか。」
「はい。」
私は彼に向かって満面の笑みで答える。教会で奇跡をくれた時、そして私を治してくれた時。どちらも彼の瞳は優しげだった。悪人にあの眼は出来ない。
「娘の見る目を信じよう。」
「私は元々お嬢様が助かるのであれば貴方に全てを捧げるつもりでした。お嬢様が言うのであれば私は反対するつもりはありません。お嬢様に危害を加えるのであれば全力で抗いますが。」
お父様もカレンも私の言葉を聞いて承諾してくれた。彼は呆れていた。
「お前ら揃いも揃って。・・・・まあいい。それなら話は早い。これからすることを説明するから話を聞いてくれ。」
そして彼が話しだす。彼が話した内容はとんでもない内容だった。
◇◇◇◇◇◇◇
私が治ってから一週間が経過した。私達は国王陛下に謁見しに王城へ来ている。お父様が正式に職を辞する旨を連絡したところ、相当慌てたのか即座に城に来るようにと呼び出された。用事があるためすぐには無理だと断り、謁見は一週間後となった。
「面をあげよ。」
「はっ。」
国王の言葉で伏せていた顔をあげる。今の国王は政治や軍事にも精通し有能な人物として有名だ。だがその表情はどこか複雑そうだった。
「元気そうで何よりだ。」
「ご迷惑をおかけしました。娘も元気になり、私の憂いもなくなりましたゆえ。体調も万全な状態に戻しております。」
お父様がそういうと、国王は満足げに頷いていた。そして私に視線を向ける。
「そちがそなたの娘か。病床に伏せていたと聞いていたが、治ったようで何よりだ。」
「はい。おかげさまで完治いたしました。」
「それは重畳。だが何故それで職を辞する選択となる?正直お主は国防の要の一人であり、おいそれとやめられては困る。まさか他国に渡るなどとは言うまいな?」
国王の言葉に周りに緊張が走る。場合によってはこの場で取り押さえるつもりなのかもしれない。もっとも今のお父様であれば、一人で全員を全滅させ、堂々とここを出ていけるだろう。逆に言えばそれほどの実力を持った者が、他国に渡るとなった場合脅威でしかないという気持ちはわかる。
「ご心配には及びません。他国に属するつもりはございませんので。ですが、私は職を辞する気持ちに変わりはございません。」
「・・・・それはそなたの後ろにいるフードを被ったものの入れ知恵か?」
実は謁見する私達の後ろに仮面をつけフードを被っている人がいた。本来国王の前で顔を隠すなど前代未聞なのだが、国王陛下に挨拶をする際に、そのものを一人連れて行っていいのであれば挨拶すると伝えており、特別に許可を得ていた。
「いいえ。私にきっかけをくれた人間ではありますが。・・もうはずしていいぞ。」
仮面をつけたものが、フードを外して仮面をはずす。顔が露わになった時、周りに衝撃が走り、国王も思わず立ち上がった。
「そなたは・・・。」
「ご無沙汰しております。国王陛下。夫が世話になっております。」
そう。フードを被っていたのは私のお母様だった。
「死者の・・蘇生だと!?」
「いいえ。死者は蘇りません。とあるものが妻を助け、今まで匿っておりました。」
お父様はそう言ったが、本当は違う。お母様は確かに5年前に亡くなった。ただ彼によると、死者を蘇生することは出来ないが、実は死んでいなかったと過去を書き換えることは魔法で可能とのことらしい。
今回は母が崖から落ちて川から流されたことで、死体が見つからず目撃証言もなかったまま死亡扱いにされたことが幸いしたらしい。お母様の事件に関わった実行犯等を物理的に排除し、現時点で認識を書き換える数を限りなく減らすことで実現可能な範囲にしたようだ。
正直意味が分からなかった。ただお母様が生きている。私にとってはそれで十分だった。
「そうか・・・。そなたは知らなかったのか?」
「知っていたのであれば私はたいそうな役者ですな。私が愛妻家であることはご存じのはず。間違っても妻と離れる選択肢などございませぬ。狙われているのが分かれば私は全てを薙ぎ払って防いでいたはずです。」
「事情を聞いてなおさら解せぬ。妻と娘元気になったのであればもう憂いはないだろう。」
「だからこそです。」
お父様は力強い目で国王を見つめる。その目は怒りに満ちていた。
「陛下。私の妻と娘は呪いをかけられておりました。」
「呪い?世界中の医者や魔法使い等ものに掛け合い、診てもらったが原因はわからなかったと聞いているが。」
「はい。呪いが見つからなかったのは強力な魔法で隠されていたためです。」
私達には強力な呪いをかけられ、その上でその呪いを隠す魔法がかけられていた。普通の魔法使いでは見つけられないほどの強力なものだ。治療の魔法使いは治療に特化しているため、隠されているものを見つけるのは難しい。両方の魔法を扱える人間は貴重なのだ。
「しかも、その呪いをかけたものは我が国の者でした。解呪が可能な者が見つからなかったのは、裏でそのものが手をまわし、妨害されていたためでした。」
「!!そのものとは。」
「そやつは私自身でけじめをつけましたのでお気になさらず。ただ言葉を選ばずお伝えするのであれば、嫌気がさしたのです。権力争い、金、僻みや嫉妬。そんなものに興味はありません。私は妻と娘が元気でいてくれるだけでよいのです。今回改めて痛感しました。」
「・・・・。」
「ですので、私は職を辞し、残りの時間は全て家族に使います。家族でゆっくりと世界を見て回るなどはするかもしれませんが、他国に属するつもりはないと断言させていただきます。」
「・・・決意は変わらないのか。」
「はい。例え世界を敵に回すとしてもこの決意を変えるつもりはありません。」
「そうか・・・。」
国王もお父様の決意を理解したのか、諦めたようため息をつき椅子に座り込んだ。結局、何があろうと他国には属さないという事。家族を最優先にして構わないが、必要な時には手伝ってもらう旨等を記した魔法契約を交わすという話となった。それはこれから詰めていくことになった。
◇◇◇◇◇◇◇
「ふう。準備はこれでいいかしら。」
私は荷物をまとめながら独り呟く。
王様に謁見してから一カ月が経過した。私は彼のサポートもあり、あっという間に回復した。今では魔法も使えるようになり、普通に生活ができるレベルまで回復している。
「お嬢様、私の方も準備が完了いたしました。」
「カレン。ありがとう。でも本当にいいの?私についてきて。」
「何度も話し合ったではありませんか。私はお嬢様についていきます。」
「そうね・・。ありがとう。」
これからのことについてカレンや両親とたくさん話し合った。私の考えに最初は皆が反対したが、私の意思が固いことを知ると最後には皆が応援してくれた。
「おい。何をしている。」
気がつくと彼が部屋の入り口に立っていた。呆れた顔でこちらを見ている。
「あ、もう出発されますか?」
「ああ。そろそろ出発するから挨拶しに来たが、なんでお前も準備しているんだ?まさかついてくるなんて言わないよな?」
「勿論そのつもりですが。」
私は満面の笑みで答える。彼はそれを聞いて頭を抱えた。
「いや。満面の笑みでそんなこと言われてもな。受け入れられると思っているのか?」
「申し訳ありませんが、もう決めたことですので。貴方もご存じの通り、魔力も回復しました。カレンもついてきてくれますし、2人ならば自分の身は自分で守れます。」
「いや、あんたもついてくる気か。どういう気の変わりようだ。」
彼は恨みがましい目でカレンを見つめる。だがカレンも平然としていた。
「勘違いなさらぬように。私は貴方が嫌いです。ですがお嬢様のご希望ですので。それに・・・この一カ月、貴方がお嬢様を世話している姿を見ていたら。信用するしかありません。」
私達が再び襲われる危険性があるとのことで、彼は私が元気になるまで家に滞在してくれていた。その間、自分の力で治せと叱咤しつつも、決して見放さず付きっきりでリハビリを手伝ってくれた。
「わかっているだろう。ただの旅じゃないんだぞ?」
「ええ。それらを含めて両親も納得していただいています。」
「あの2人も認めているのか!?」
「ええ。」
彼の理解の限界を超えたのだろう。頭を抱え込んで座り込んでしまった。まあ、普通はそうだろう。
彼の目的は壮大なものだった。正直非現実だと笑う人もいるだろう。だが彼も一人では視野が狭くなるのは自覚しているようで、より現実的なものにするために客観的な意見が欲しいとのことで旅の目的を教えてくれたのだった。
「後、もうひとつ理由がありまして・・・。」
「・・・・・なんだ。」
「両親の仲が良すぎまして・・・。」
「あ~・・・。」
彼も納得したように頷く。両親は今までの時間を取り戻すかのように常に一緒にいた。お父様が軍の仕事をしなくなったのも大きいだろう。2人はいつも楽しそうに笑っている。それはいいことなのだが、夜は両親の部屋に近寄らない事が暗黙の了解になってしまった。あの様子では弟か妹ができるのも時間の問題だろう。
「なので2人きりにさせてあげたいという思いもあります。両親も今までやりたいことができなかった分、好きなことをしなさいと言ってくださいました。」
「だからって。」
「それにどんな時でも独りぼっちは寂しいじゃないですか。目的は大事ですが過程も楽しみましょう?美味しいものを一緒に食べたり、色々な場所で星を眺めましょう?」
この方は本当に優しい。それだけではない。一緒にいて気づいたが、子供っぽいところもある。些細なことでむきになったり、はしゃいだり。2人で私のお気に入りの場所で星を眺めていた時、彼がはしゃいでいた時は微笑ましかったものだ。言ったら拗ねるので言わないが。
「・・・・わかったよ。それにどうせ断ってもついてくる気だろう?」
「勿論。万が一急にいなくなったとしても必ず探し出して見つけますので。」
「はあ・・・。どうしてこうなった。」
ぼやく彼を見て私は声をあげて笑った。だが座り込んでいる彼の表情も心なしか嬉しそうに見えた。
これからの旅は大変な旅になるだろう。だが私の神様だ。心配はしていない。それよりも旅の間にカレンと協力してもらって、彼をこちらに振り向かせなければ。
私は笑顔で彼にささやく。
全てを終わらせて2人でまた星を眺めましょう。
そこで見る星はきっと美しいでしょうから。
私の神様は貴方です 川島由嗣 @KawashimaYushi
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