天の川を渡れば

藤泉都理




「今日は七夕だってのに。神様は願いを叶えてくれねえらしい」


 いや、笹に短冊を飾っていないから、聞き届けてはくれないのか。


 カラカラに乾いた笑い声を落としては、視界の端で点滅する腕時計の文字盤に意識を向ける。


 いや、もう、七夕も終わった。

 ますます、願い成就は困難を極める、という事だ。




「次は、サンタにでも、頼んでみるか」




 真横になっていた顔を真正面に動かし、夜空を瞳に映す。

 天の川を、その瞳に、映した。











(2024.7.7)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る