第26話 お報せが来ました。

【条件を満たしました。昇化先に 魅微毒蝶の幼体 が追加されます】


 クモから魔力を吸い尽して、糸の一部を齧り終えたところでお報せが来た。


 昇化可能ってこと? 予定より早くない?


【検索中──、結果を表示します。天羽様の保持可能な魔力量が限界に達すると昇化先が追加され、昇化の時期が多少前後する可能性があります】


 それって一般的な魔物もそうなの?


【検索中──、結果を表示します。はい、条件は魔力の上限とは限りませんが、一般的な魔物も凡そ同じです】


 予定日まで粘って魔力と毒を増やせたら、もっと上位の魔物になれる?


【鑑定中──、結果を表示します。現在の天羽様の魔力は既に上限値です、これ以上は増えません。毒については天羽様の胃の限界がありますので、あまり期待は出来ないと推測します】


 うーん、じゃあ、またちょっとだけ、無茶しても良い?


【……お聴きします】


 アンナさんから渋々、といった雰囲気が伝わって来るけど、やらかした前科があるから強くは出ないよ。

 クモの毒袋と毒腺を食べようと思ってるだけだよ。


【鑑定中──、結果を表示します。天羽様の限界と判断したら強制的に止めます。昇化先に影響が出た場合も即時中止していただきます。何も変わらなくても予定日が来たら昇化していただきます。よろしいですか】


 分かった、ボクからもお願いするね、また幻覚のアンナさんに浮気したら良くないだろうし。


【その際は今度こそ外見を覚えていただいて】


 参考にするなら浮気してくるけど。アンナさんに変わりはないし。


【………………相手が私といえど浮気は許しません】


 熟考の末、っていう気配がしたけど、追及しない方が良い?


【言わないで欲しいこと、って多いですね、悲しいことに】


 取り敢えずボクはアンナさん以外に浮気しないからね、本命もアンナさんだけだからね。


【愛しております、天羽様】


 ボクもアンナさん愛してる。


 返事とばかりに目の前にクモの毒腺らしき何かが出された、愛の籠った贈り物なのにとってもバイオレンス。


 でもアンナさんからの愛なので、ありがたくいただきます!


 …………。

 ……………………。

 にっっっっっっっっっっがい!! 薄ら察してたけど、にっっっっっっっっっっっっっっっがい!!!! ていうか普通にマッズい!!!!


 そりゃそうだよね、今のボクの食性とズレてる上に100%混じりけなしの毒物だもんね!! 死なないけど苦味耐性が仕事してないくらいマズい……!!


【鑑定中──、結果を表示します。苦味耐性がなければ、一口で気絶していたと思われます】


 仕事してた。ごめんね、苦味耐性。能力に謝ってどうする、って感じだけど、もう何でも良いから気を紛らわせたい。円周率でも暗唱しようかな、3.14159……、この後知らないや、あははハハハ。


【天羽様、今回はここまでです】


 ……はぁい。

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