転生してイモムシ(♀)にされたボクが案内係さん□嫁に□るまで

ヒコサカ マヒト

プロローグ

第1話 転生しました。

 生き物が好きだ。


 イヌかネコか、と訊かれたら両方とも、と答えるし、爬虫類や魚も大好きだ。

 さすがにハダカデバネズミの外見を愛している、とは言い難いけど、生態はとても面白いと思う。


 飼いたい、というのではなく、眺めていたい、愛でていたい、在るがままでいて欲しい、そんな好意だった。


 だから雨が降る中で交差点に乗用車が突っ込んできて、イヌがその飼い主を庇ったのを見たら勝手に身体が動いた。


 イヌじゃなくて飼い主の方だったら、きっと見捨てられたのにな。


 イヌを突き飛ばして、代わりに自分がトラックに撥ねられて、吹っ飛ばされた先で更に壁だか電柱だか分からないけど、何かにぶつかる。


 衝撃の後、何も分からなくなった。





【生前の行いにより、転生が許可されました】


 ぼんやりだけど意識が戻った。真っ白い空間だから病室かとも思ったけど、何もないところに浮いているような感じがする。


【名前を設定して下さい】


 設定も何も、甘城 天羽だよ。外国だとアモウ アマギになる?


【性別を設定して下さい】


 だから設定するまでもなく男だけど?


【職業を設定して下さい】


 あー……、金融関係だったんだけど、生き物と触れ合える職に就けば良かったかなぁ、癒しが足りない……。


【畜産農家、運送業者、使役士、使役職ギルド職員の系統から選択が出来ます】


 畜産農家は無理、殺せない、却下。うーん、その中なら使役士? で。何するか分からないけど。


【転生特典の賽を振って下さい】


 いつの間にか右手には、正多面体に零から玖までの数字が旧漢字で書かれている賽子があった。

 それを適当に放れば、少し後にカラン、と乾いた音と共に伍、と書かれた面が上を向く。


【伍点を獲得しました。特典を選んでください】


 選べと言われても、と中空を眺めていれば、ズラリ、と何語か分からない言葉が書かれた一覧が表示された。


 あまりにも多い文字に驚いたところで、漸く意識がはっきりする。


 え、何、転生? 昨今に漫画とかラノベとかで流行っているヤツ? 転生特典? 5つ? このめちゃくちゃ数のある一覧から選べって? 読めないのに? 無茶を言わないで欲しい!


【希望する内容をお伺いします】


 え、えぇーと?


 まず今みたいに言葉が通じないと拙い、通訳とかそういうのは絶対に要る。

 よくあるインベントリとか虚空庫とか異次元庫とかそういうのは有った方が良いと思う、欲しい。

 敵を知り己を知らば何とやら、って偉人が言っていた、情報は大事だ。

 他によく見るのは何だろう、チートとかでよく見るのは限界突破とか、ステータスを弄るヤツとか?

 魔法があるなら使いたい!


 こんなところ?


【以下の内容で確定し、宜しければ転生を開始します】



甘城 天羽 (アモウ・アマギ)

 種族:転生者 (形態:人類)

 年齢:0歳 (享年:27歳)

 性別:男

 職業:使役士

 備考:

  転生得点 (伍点獲得)

   ・全言語通訳

   ・亜時空間庫

   ・無制限鑑定

   ・能力値改編

   ・魔法



 叶えてくれて有難いんだけど、厚遇が過ぎない? 良いの?


【転生を開始します】


 良いんだ……。

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