自学生

第1話

私の家庭はお金は稼げているが、貧乏です。

私は母子家庭で、母の稼ぎを頼りに生きています。

私の母にはこれといった趣味はなく、仕事や色んなことで溜まったストレスを、外に遊びに行ってお酒を飲むことで発散しています。

私と母の仲はとても良く、たまに一緒にお買い物に行きます。

私の家庭が、稼げているのになぜ貧乏なのかと言うと、散財癖です。稼いでも家族で旅行に行ったり、母は飲みに行ったりしています。

私の母は飲みに行くと、帰ってくるのは次の日の昼です。

その日のご飯は自分で作ったり、用意されていたりする時もありますが、時々、何も無く、とても不満に感じます。

私は、何回もそんなことをされているので慣れているのですが、最近、納得いかない出来事みたいなものがあります。

母が、中学生である私から、お金を借りるという行為です。

私も最初は、利子付きで貸しているので、お小遣い稼ぎにもなるからいいかな、と思っていたのですが、借りる金額が増え、最近では1万円あたりになっています。

私はそこまでなら許せるのですが、最近許せないことがありました。

近くに、お店ができたので、母に行こうと持ちかけました。

「あの店オープンしたんだって」

「そういえばそうだったね。」

「行きたい」と言ったと同時に「1万貸して」と、

言われました。

私は残念というか、堕落したというか、そんな気分になりました。

私の母は悪びれる様子もなく言ったのです。

私は母を尊敬していました。

尊敬していた方が、悪びれる様子もなく、娘に「1万貸して」と言ったのです。

私は母に対して、なんて恥じらいもなく、尊厳もなく、申し訳ない心も持たない人なのかと思ってしまいました。

母ともう少し会話していると、連れていく代わりに、1万円を貸せ。ということらしいのです。

私は母に、「1万1000円で返すから、貸して。」

と言われました。

はっきり言って当たり前のことです。貸し借りなのですから。

それを貸す条件として付け加え、貸し借りをしているのにそれで十分だと思っているらしいのです。

お金を貸すことに対して、あまり抵抗は無いのですが、

悪びれる様子がない母を見て、母の尊厳が崩れ落ちました。

お金でなくとも、これは一緒なのでしょうか。