第2話:人間界へ行きたい小悪魔。

「あの、すいません・・・つかぬことをお伺いしますけど、ここどこでしょう?」


「あなた、どこから来たの?」

「この世界の人じゃないよね」


するとその女の子はまた僕を頭からつま先まで見た。


「ここはナイトメアタウン(悪夢の街)」ってところだよ」

「どこか違う世界から来たんでしょ?あなた」


「そうです・・・人間の世界から・・・」


「え?・・・うそ、今人間の世界って言った?」

「まじで?・・・おいで、おいで、お友達になろ?」


「なんですか?急に」


「私さ、一度でいいから人間の世界に行ってみたいって思ってたの」

「たまに、あんたみたいに人間界からやってくる人がいてさ、そう言う人が

持ってきた話がこの界隈にも広がってるんだよ」

「その人たちの話を聞いてるとさ、無性に人間界に行ってみたくて、みたくて」


「あ〜そうなんですか?」

「あ、僕、「七日田 週なのかだ しゅう 」って言います。


「・・・シュー?・・・・じゃ〜シューちゃんで」


「あ〜・・・会ったばかりで馴れ合いになるのがめちゃ早いんだね」

「それよりえ〜と君は?」


「名前は小悪魔シュリエル・・・サキュバスだよ」


「シュリエルちゃんね・・・え、君サキュバスなの?」


「そうだよ・・・人間の世界だと小悪魔って言うらしいから」


僕はサキュパスって悪魔の女の子をはじめてみた。

髪が紫色に頭に小さなツノらしきものがついてる以外は人間の女の子

とさして変わらなかった。

悪魔も人間も可愛い子は可愛いんだ。

そして可愛い子に共通して言えるのは、見た目エッチいってこと。


「君、人間の世界のこと知ってるの?」


「私は行ったことないけど、さっきも言ったけど人間界に行って帰って来た

人や悪魔がいるからね」

「だから人間界の情報はある程度耳には入ってくるの」


「それで人間の世界に行ってみたいって思ったの?」


「そうだね・・・それにシューちゃんのことも好きになっちゃたし・・・」


「好きにって・・・早いね〜サキュパスってそんななの?」

「だけど、シュリエルちゃん、君ひとりじゃないんだろ?」

「ご家族や兄弟は?・・・従兄弟とか姪とか甥とか?親戚の小うるさい

おばさんとか?」


「いないよ、私ひとりだよ・・・私生まれた時、私占い師の館の前に

捨てられてたんだって・・・」

「私は占い師のおじいさんに育てられたの」


「じゃ〜今は占い師のおじいさんと二人暮らしなの?」


「おじいさんはとっくに亡くなっちゃってる」

「だから私は、占い師のおじいちゃんが残してくれた館でひとりで暮らしてるの」

「だからね、いつここからいなくなっても誰も気にしないから」


「シューちゃんは・・・なにかの拍子でここに間違って来ちゃったんでしょ?」

「だから人間界に帰りたいよね」

「私は人間界に行きたいの・・・」

「だから私が人間界に帰してあげるから、よかったら私をシューちゃんの

世界で面倒みてくれない?」


「え?僕、帰ることできるの?」


「そんなの簡単だよ・・・」


「そうなんだ、よかった・・・でもそんなに簡単ならなんで今まで自分一人で

人間界に行かなかったの?」


「人間界のことはある程度の情報しか知らないからね、一度も行ったことないし」

「不安じゃない・・・はじめてのところなんて怖いでしょ?」

「ひとりで行ったってお友達もいないし知り合いもいないし右も左も分かんない

じゃん?」

「そんなの路頭に迷うだけだよ」


「うん、まあ今の僕と同じようになっちゃうね」


「そうだよ、シューちゃんは偶然、私って可愛い女に出会ったからいいけど・・・」

「だから〜シューちゃんと一緒のほうがいいの」


「分かった、帰る方法があるならシュリエルちゃんを連れて行くよ」


そんな訳で僕はナイトメアタウンってことろでサキュバスのシュリエルちゃんと

言う小悪魔と知り合いになった。


つづく。

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