第6章:新たな地平線

 真理とサラの研究は、人類に新たな視点をもたらし続けていた。彼女たちの理論は、科学と宗教の境界を曖昧にし、両者の融合を促進していった。多くの宗教指導者たちが、量子意識仮説を自らの教義に取り入れ始めたのだ。


「私たちの仮説が、宗教間の対話を促進しているなんて」


 真理は、世界宗教者会議の様子をニュースで見ながら感慨深げに呟いた。

 サラは真理の肩に手を置き、優しく微笑んだ。


「そう、でもこれはまだ始まりに過ぎないわ」


 二人の関係も、研究と共に深まっていった。互いの存在が、もう一人にとってかけがえのないものになっていた。

 ある日、二人は研究所の屋上で星空を見上げていた。


「ねえ、真理」


 サラが静かに言った。


「私たちが見た……そして聞いた、あの『声』……あれは本当に神だったのかしら?」


 真理は深く息を吐いた。


「正直なところ、分からないわ。でも、それが何であれ、私たちに大切なことを教えてくれたことは確かよ」


「そうね」


 サラは頷いた。


「全てはつながっている。私たち一人一人が、この広大な宇宙の一部なんだって」


 その時、突然、空に奇妙な光が現れた。それは、オーロラのようでいて、どこか人工的な印象を受けるものだった。


「まさか……」


 二人は顔を見合わせた。この現象が、彼女たちの研究と何か関係があるのではないかという直感が走った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る