第7話 おかしな女子会
「処でファウナ、お前その様子だとこの
「え……そ、そうなんですかファウナ様」
ファウナ達3人が避難した洞窟の話に触れるオルティスタ。何故か少々バツの悪そうな顔をしている。
その問いを聞いたラディアンヌですら驚いてしまった。
「へっ? 何の
何しろ
2人の
両腕を組んで思わず
「──そうか、この洞窟はな。有事の際は避難する様、
「え……き、聞いてすらいないよ…」
曇った顔で、さも伝え辛そうな声を
暗い2人の間を交互に見るラディアンヌ。自分とオルティスタ、同じ従者が伝え聞いたことを実の娘が聞いていない。
たかが場所……ただの言い忘れに過ぎぬのかも知れない。ただそれにしたって正直気持ち悪い話である。
オルティスタがさらに物思いに独りふけゆく。フォレスタ邸が爆散した時、明らかにその原因を作ったのは御館様夫婦の遺体に
流石にその仕掛けと経緯までは、年長のオルティスタとて聞いてはいない。
──御館様、何かファウナに
それに直結しそうな理由……。あのゴタゴタの最中でも肌身離さずファウナが持ち歩いていた魔導書と、恐らくそれで引き出されたあの謎の力に違いない。
だけどこうも不思議な現実を見せつけては、いよいよ見過ごす訳にゆかなくなった。
「は、話を変えようか。その魔導書、お
実の処、だいぶ後ろめたい思いを抱えながら
しかし本当はファウナの両親の
「あ、あの力。魔導書を書いてた当時から
これにはファウナが苦笑を浮かべ、
「──ンッ、勿論イメージしながら書いてはいたよ。それにいつか実現したいと夢見てた。だけど自信なんてまるでなかった」
正直な思いを語り、笑顔で舌を出すファウナである。
──イメージ……それに
オルティスタ、本来なら頭を捻る作業が得意ではない。自分は身体と剣を
そんな
「ぷっ!」
「アハハッ! もう駄目、我慢出来ないぃぃ!!」
先に軽く吹いたラディアンヌを皮切りに、続いてファウナが腹を抱えて青いブーツを履いた脚をジタバタさせる。
「なんだなんだ、人が真面目に考えてる時に何と失礼なっ!」
目と
「だってさぁ、そんな探偵みたいに難しい顔する貴女を見るの初めてだしぃ~。ね、ねぇラディアンヌ」
「……ず、
構わず笑い飛ばすファウナ。
しかしもう駄目、我慢の限界。引き笑いで涙すら浮かべる。下手に我慢を止めないから、腹筋が悲鳴を上げた。
「クソッ、面白くない……」
心の声をそのまま表へ出したオルティスタである。せっかく無い知恵を
だけども妹分達の
家を失い、家族と言うべき存在すら
そんなどうしようもない絶望の後だからこそ、
3つの笑い声が小さい洞窟の中で反響を繰り返す。それを聞いて笑いの繰り返しがまたもや続く。
そして笑い疲れた3人の娘等は、行き倒れるかの如く、
三者三様、適当にゴロリと横になって眠る。こんな洞窟でなければ、如何にも楽し気な女子会の夕べであったに違いない。
夜が明けるまで
大量に血を抜かれた姉貴分2人は勿論、初めて自分の書いた魔法を大いに振るった妹君ですら、全く夢を見ずに、深い眠りの底へ
翌朝。
森は何も知らない様に、小鳥の
「ふぅ……」
「ず、随分寝てしまいましたね……」
日の出の時刻はとうに過ぎ去っていた。それにも関わらず、未だ寝足りないといった目を
気が付けばファウナだけは、とっくに起きていたらしい。その証拠に昨晩食い散らかした缶詰などが全て綺麗に片付けられ、その上ファウナ当人が、そのまま旅立てる
「ふぁ、ファウナ様ぁ?
未だ生
「何を言っているの? もう私達の家はないのよ。これも運命……こうなったら愛しのあの人を求めて
昨夜の騒動が明けたばかりだというのに、この
やれやれと肩を
「愛しの……それは13年前、ファウナ様をお救いしたという例の
「昨日の今日だぞ、それにフォレスタ家は森を守護するのが役目じゃないのか?」
未だ声だけは寝ぼけているラディアンヌ。けれど「愛しのあの人」を即座に変換出来たのは確かだ。
呆れ果てた態度のオルティスタが語るのも、もっともな話である。家なんて小屋でも建ててしまえばどうとでもなる。
「そうよ! この森を守るためでもあるわっ! 昨日みたいな連中が攻め込んで来る前に此方から討ってでるっ!」
右拳を振り上げて力説するファウナである。既に旅装の詰まったリュックを背負っている。
「そ、それにあの御方なら、きっと力強い味方になってくれるに違い……ない…わ」
お次は声のトーンが小さく、とても恥ずかし気な感じで
──そっちが本音か……。
顔を見合わせるオルティスタとラディアンヌである。ファウナ・デル・フォレスタと言えば、最初に来るのが魔導書で、次に来るのは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます