第3話 出会い

2年4組に着いた。座席順を確認し、座席に手提げカバンをかけて座らず周りを見る。クラスは35人か。周りは2人~5人くらいで固まって話している人もいれば、僕みたいに他の友達とはぐれたのだろうか。1人でいる人も何人かいる。

そうしているうちに、新しい担任の先生がやってきた。見たことの無い先生だ。


「はいじゃあ席に着いてくださいー」


みんなが自席に戻る。



「全員揃ったかな...?」



先生が全員揃っているか確認をして、



「おはようございます、これからこの2年4組を受け持つことになりました、藤原ふじわら 恋町れんちょうです。教師1年目ですが頑張るので、何か出来ることがあれば聞いてください!」


「それではとりあえず今日出す書類、黄色い紙とマル秘って書いてる紙、2つ出してください」



下の名前が独特だなと思いつつ、書類を出しに行く。全員が書類を出し席に着いてから先生が、



「それじゃあ時間が余っているから、自己紹介でもしましょうか!」



先生がそう言った。みんな嫌なのかなと思いながら周りを見渡すと、みんな緊張しているのか、表情は一切崩すことなく顔も動いていなかった。まあしょうがないよね、初日だし。自分も多分そうなってるし。



自己紹介が始まる。最初の人が名前と趣味と一言を言ったので、それにみんな続けた。



「10番の織田おだ 朱里あかりです。趣味は音楽を聴くこと、好きなグループはNewSkinniesです。よろしくお願いします。」



パチパチパチパチ

10番の織田さんの自己紹介が終わると、11番の人が前に出てきた。前に立つと全体が少しザワついた。みんな同じ考えだと思う。めっちゃイケメン...!明らかにみんなよりも背が高く、キレイすぎる瞳の色は緑。あの色なんて言うんだっけ、ひすい色?そう思っているうちに彼は優しい声で、



「11番の川名かわな れんです。中学校のときに母国のイギリスから日本へ来て、この4月からこの学校に転校してきました。色々と分からないことが多いのでぜひ教えてください、よろしくお願いします」



パチパチパチパチパチパチパチパチパチ


拍手が長かった気がする。川名くんの自己紹介が終わって周りを見ると、女子たちがキラキラした目で川名くんのことを見ていた。まあそうだよな、男子の僕でさえも惚れてしまいそうだったもん。



その後何事もなく自己紹介が続き、僕の番が回ってきた。



「21番の戸崎とざき あおです。趣味は特にありませんが、友達と遊ぶことが好きなので友達になっていただけると嬉しいです、よろしくお願いします。」



はあーーーーっ...!なんも考えてなかったから適当に言ったけど後悔している。あんな露骨に友達欲しいって言ってよかったのか?みんな引いてないか?と顔を熱くしながら自分の席に戻った。


そのせいで何人かの自己紹介は頭に入らなかった。気づけば27番の人の自己紹介が終わっていた。

28番の人が前に出る。川名くんの時と同じように周りがザワついている。なぜだ、頭を冷やしながら目をこすって前を向くと、そこにはナチュラルブラウンの超まっすぐなロングの髪、鼻は細く高く、輪郭も超綺麗な人がいた。



「28番の穂高ほだか かなえです。趣味は音楽を聴くこととピアノを弾くことです。これから1年間よろしくお願いします。」



え?超可愛すぎない?学校一の美少女って名前だけは噂に聞いてたけど、反則級じゃん。僕は胸の鼓動が速くなるのを感じた。今まで感じたことの無い思いが脳内を駆け巡りパニックになる。




あとの自己紹介は耳に入らなかった。そう、僕は彼女に一目惚れしてしまったのだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る