第2話 ランニングウォッチ

【中丸アパート】

【日本、東京】

【2024年4月1日】

【22:00】


 私は20歳になった。


 仕事が終わってアパートに戻った。しかし、ドアの前に荷物が置いてある。


「ちょっと待った。ネットで注文したっけ?」


 私は心の中でそうつぶやくと、その小包を見つめた。小包のラベルには私の自宅の住所しか書かれていなかった。


「これはエイプリルフールのいたずらじゃないよね?」


 私はその小包を手に取り、アパートの中に入った。開けてみると、そこには腕時計の箱が入っていた。


「CASTIO GG-SHOCK?」


 すぐにランニングウォッチのモデルだと気づいた。そして、時計の箱を開けると、時計が出てきた。頑丈な黒のベゼル、黄緑色のバンド、MIPディスプレイが付いている。


「まあ、いいや。どうせタダだし」


 私は腕時計を左腕に着け始めた。ボタンをいくつか押してみると、画面にたくさんの情報が表示された。


「ランニングステータス?」


 メニューを選択すると、自分の統計情報が表示された。


【ランナーレベル:0】

【VO2MAXレベル:0】

【トレーニング状況:不明】


 私はビデオゲームが大好きなので、またランニングをすることに決めた。しかし、まずはランニング用品を購入する必要がある。



 ***


【中丸アパート】

【日本、東京】

【2025年4月13日】

【22:00】



 それから1年後、私は多くのトレーニングを行い、地元のレースに何度も出場した。私のステータスは上がった。



【ランナーレベル:70】

【VO2MAXレベル:50】

【トレーニング状況:生産的】

【持久力 : 75】

【閾値 : 70】

【スピード:71】

【スプリント:70】



 私はグレーのヘッドバンド、グレーのタンクトップ、グレーのショートパンツ、グレーのランニングシューズを着用している。


 アパートの外に出て、夜のランニングを始めた。


 走り始めて5kmほど走ったところで、女子高生が道路を横断しているのに気づいた。しかし、突然、トラックが彼女に向かって走ってくるのが見えた。


 トラックは減速しない。


「おい、危ない!」


 彼女はヘッドフォンをしていたので、私の声は聞こえなかった。


 私はすぐに駆け寄って、トラックにぶつかりそうになっている彼女を突き飛ばした。そして、彼女の代わりに自分がぶつかることにした。


 トラックに轢かれる前に、私は自分の人生と交わした約束を思い出していた。


「空想上の幼なじみ。約束を果たせなくてごめんね」


 その瞬間、ビジョンが浮かび、ぼんやりとした影のような少女が現れた。


「あなたは誰?」

「死んじゃダメ。約束は果たせてない」


 ぼんやりとした影の少女は心配そうに言った。


「ごめん」


「死なせな」


「え?」


 私は現実に戻り、ランニングウォッチの画面が青く光り始めた。そこには新しいテキストが表示されていた。


【マジックランナー起動】


 思わず口走ってしまった。


「変身! マジックランナー!」


 私のランニングウォッチは、私の周りに黒いオーラを放った。黒いオーラの後、私の服装全体が黒くなった。また、私はフード付きの黒いショートマントを羽織っている。


 腕が自然に上がった。その間、ランニングウォッチには文字が表示されている。


【呪文:シールド】


 青い円が現れ、トラックとぶつかった。ぶつかった後、トラックは止まり、煙を噴き出した。


 私は運転手のところへ行き、脈を確認した。意識がない。


「ああ、運転手は眠っていたんだ」


 女子高生は私のほうに歩いてきて、お辞儀をした。


「助けてくれてありがとう」


「どういたしまして」


「どうやって助かったの?」


「わからない」


 突然、私の頭上に小さな青いポータルが現れた。そこから骨伝導ヘッドセットが現れ、私はすぐにそれを手にした。


 私のランニングウォッチにまた新しいテキストが表示された。


【ヘッドセットを装着してください】


 新しい骨伝導ヘッドセットを装着すると、女性の声が聞こえた。


「聞こえますか?」


「ええと…はい」


「こんばんは!魔法のランナー旅団へようこそ!私は新しく任命されたコーディネーターです」


「コーディネーター?」


「はい。私たちはマジックランナーを指導します」


「魔法のランナー旅団とは何ですか?」


「直接説明します」


「どうやって?」


「まずは、清掃チームを派遣します」


 すると、黒いフード付きマントに赤い十字架のついた服を着たチームがこちらに向かって走ってくるのが見えた。


 彼らが駆けつけてくると、彼らは女子高生とトラック運転手を手当てした。その間、別のメンバーが私に近づいてきた。


 その男の顔はフードで覆われており、青い目が光っていた。


「新米、魔法のランナー旅団へようこそ」


「ありがとうございます」


 突然、地面に青いポータルが現れた。


「ポータルの中に入ってください」


「わかった。女子高生とトラック運転手はどうする?」


「心配ない。彼らには我々で対処する」


 私はうなずき、ポータルに足を踏み入れた。

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