女子会《パジャマパーティ》3

「いませんよ、いい人なんて。それに、カイト様には、今は恋人がいますし」

「え!?」

「まぁ」

「へー!」


まさかの情報に私は目を大きく見開いた。寝耳に水、とはまさにこのことか。知らなかった。


「そうなの?ついこの間まで、モテない〜って嘆いてたじゃない」

「それが、熱烈なカイト様のファンがもうアプローチかけていまして、お試しでもいいから、と今付き合っているんですよ。チョロいですよね。まぁ、その惚気というか彼女の熱量というかを最近聞かれるんです。全く」


アシュリーは気だるげに相変わらずの毒舌を挟みながら言う。でも、アシュリーは『カイトを好きじゃなかったのか?』という問いは否定していない。ただ、それをわざわざ突き詰めることもないだろう。そんなことしたって、アシュリーを傷付けるだけだ。それに、最後に飲み込んだ言葉はきっと『こっちの気も知らないで』だろう。リーリエもソフィアもそこまでアシュリーと関わりがないから気づいていない。一瞬だけ、悲しげに歪んだ顔を。

取り敢えず、口では言えないのでココアをあげる。


「…ありがとうございます」


デレた。


「そっかぁ?じゃあ、まず手っ取り早くリアンとアナベルをくっつけたいね!」

「この話の流れでどうしてそうなるの?」

「なんで告白しないの」

「無視するな…なんか今更すぎて、タイミングが、ないのよ」

「ふーん」

「普通にリアン様に言えばいいんじゃないですか?」

「恥ずかしいじゃない」

「今更何を恥じらっているんですか。あんな溺愛されて、膝に乗せられているのに」

「だってぇ」




こんな感じのやりとりが延々と続き、第一回女子会パジャマパーティは空が明るくなるまで続いたのだった。

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