竜の姿になれない出来損ないの竜人、昼も夜も無双する。
岡村豊蔵『恋愛魔法学院』3巻制作中!
プロローグ
「よくも我が眷属たちを……だが貴様もここで終わりだ。本当の絶望と言うモノを教えてやろう!」
古城の広間。玉座に座るドレス姿の女。腰まで伸びた血のように赤い髪。金色の瞳。透明感のある白い肌。そして唇から覗く鋭い牙。
嗜虐的な笑みを浮かべる絶世の美人は、始祖ヴァンバイアのエリザベート・ブラッドスキュア。
またの名を『
エリザベートは玉座から立ち上がると。自分の血を凝縮して剣の形にする。
始祖ヴァンバイアは体内に膨大な魔力を秘めているから。始祖ヴァンバイアが血で造る剣は、聖剣に匹敵する威力を持つと言われている。
エリザベートが一気に加速して。音速を超える速度で襲い掛かる。
俺が躱すと、血の剣が放つ魔力が地面を抉って。一瞬前まで俺がいた場所に、巨大なクレーターができる。
「ほう。今の攻撃を躱すとは……だが、いつまで持つか。見モノだな!」
エリザベートは続けざまに攻撃を放つ。飛び散る斬撃だけで大地を抉る激しい攻撃の連続だ。
俺が剣で受けると。エリザベートはさらに加速する。
「これも受けるか……貴様の力は人間風情にしておくには惜しいな。我が眷属となれば、永遠の命を与えてやるぞ」
「そんなものは欲しくないね」
「そうか……ならばここで死ね!」
エリザベートの攻撃が、さらに激しさを増す。それでも俺は剣で受け続ける。
だけど、ここに来て。エリザベートも、ようやく
「貴様……先程から、一歩も動いていないではないか。それに私の攻撃を完璧に防いでいるだと……どういうことだ?」
膨大な魔力を放つ血の剣を受け止めているのに。俺は服すら無傷だ。
「一歩もってのは語弊があるけど。下手に動き回ると、おまえは余計なモノまで壊すからな。だけどおまえの実力はもう解ったし。ここからは俺のターンだ」
俺が放った剣を、エリザベートは血の剣で受ける。俺の攻撃くらいは、余裕で止められると思っていたみたいだけど。
俺が
「ば、馬鹿な……こんなことは、あり得ぬ……」
「単純な話だよ。俺の方が強いってことだ。まあ、おまえは始祖ヴァンバイアなんだから。こんな攻撃じゃ死なないだろう?」
始祖ヴァンパイアの圧倒的な回復力で、一瞬で身体を再生すると。エリザベートから放漫さが消える。
「良いだろう……貴様と私のどちらが本当の強者か、確かめてやる!」
エリザベートは執拗に攻撃を繰り返す。だけど何度やっても同じことだ。
エリザベートの攻撃は、俺には一切効かずに。俺の剣はエリザベートの血の剣と身体を容易く切り裂く。
エリザベートは何度も再生を繰り返すうちに、さすが魔力が尽きて来たようで。再生速度が遅くなる。こいつの魔力も無尽蔵って訳じゃないみたいだな。
「貴様が強いことは解った。侮ったことは詫びよう。だがな……『
それでもエリザベートは逃げるつもりも、諦めるつもりもないようで。これが始祖級ヴァンパイアのプライドって奴か。
俺が次の一撃を入れると。エリザベートは何とか再生するけど。血の剣を作ることもできずに、もうほとんど動けない状態だった。
「このエリザベートを、ここまで追い詰めるとは……貴様は誇って良いぞ。さあ、一思いに殺せ……」
俺はエリザベートを抱え上げると。強引に唇を奪う。
「な……貴様は何をするのだ?」
エリザベートが唖然する。戸惑う金色の瞳に俺が映る。
「誇り高き『
俺はエリザベートを抱き締めて、もう一度唇を重ねると。
「嫌なら嫌って言えよ。おまえが拒絶しても、俺はおまえを殺すつもりはないからな」
エリザベートの背中に指を這わせて、ゆっくりと服を脱がせる。
「き、貴様は何を考えて……わ、私はヴァンパイアだぞ……」
「だから何だよ? エリザベートが良い女だってことに、変わりはないだろう」
俺はエリザベートを押し倒す。
「一応、言っておくけど。俺は人間じゃなくて、
俺はグレイ。竜人とは竜の姿になることで、強大な力を得る人外の種族で。
「ば、馬鹿なことを言うな……わ、私はそんなことを考えて……あっ……」
エリザベートの声が可愛い。配下の眷属たちを殲滅したから。ここには、もう誰も邪魔する奴はいない。
出来損ないと言われた俺が、戦い続ける理由。それは最強を目指すとか、他の奴を見返したいとかじゃなくて――
エリザベートのような
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