4
「……ふぅん」
彼女も本を、おそらく僕と同じく活字の本を読むのが好きで共通の趣味を持っている。そういうことだろう。言葉足らずさを補って、推測をする僕に、彼女は「じゃあさ」と
「私よりも読書家の君を見込んで? ずっと前から聞いてみたかったことがあったの」
「何かな」
突然の真剣そうな質問の予感に少し身構えた僕に、彼女はやっぱり真面目そうに言った。
「――君は、小説を読むことで得られたものを、実際の人生に生かすことはできると思う?」
君の好きな本やジャンルはなんですか。今まで読んだ本の中で、五本の指に入る面白かった作品は。本は買って読むのかどうか。買っても読まない、いわゆる積読があるか。部屋は本で埋まっているのか。
彼女の質問は、そんな、一瞬のうちに頭の中で想定したものからは大きく外れていた。彼女の言葉の
「もしもーし? ねぇ、何とか答えてよ」
「…………それはとても、難しい質問だね」
僕はようやく口を開くことができた。
「はっきり言って、難題だ。君からは読書家に見えているらしい僕にとっても、深刻な問題だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます