第014話 ショッピング メタバース内
今日はショッピングに付いて行くことになった。
夏物の服をショッピングに行きたいとセイラとアリーシャが言い始め、それにエリーが乗っかってきて土曜日に行こうということになった。
女子達3人だけ行くのかと思っていたのだが、なぜか俺にも付いてきてほしい、ナンパ避けに来てと言う。
そう言われれば行かないわけにもいかないだろう。
これだけの美少女が3人集まるのだから、ナンパ野郎もいっぱい食いついてきそうだ。
ただ、女子3人に男1人というのも恥ずかしいし、更に妬まれるのも嫌だからトキオを呼ばせてもらう。
さて、当日になったわけだけど、セイラの準備で時間がかかる。
朝食はホットケーキにサラダ、ヨーグルトだ。メープルシロップたっぷりのホットケーキはセイラの喜ぶ朝食の1つだ。みんなでショッピングに出かけるから気分を上げたいということで、わがまま姫のご要望だった。
まあ、いいけどな。大した手間じゃないし。
朝食の後もいつもの朝のフルコース。
歯磨き、洗顔、肌の手入れをして、着る服の選択に入る。
ショッピングはメタバース内でするから、気温は関係ないから好きな服装が出来る。
だから、メタバースへのダイブ中の服装は設定しておいたコーデでもいいのだが、セイラは毎回リアルできちんと着替えてからダイブする。
今日は涼しげで清楚なお嬢様風に薄い水色のフレアスリーブのロングワンピース。涼しげだし露出も少ない。
胸の部分は十分見えないようになっているけど、盛り上がりだけはどうにもならない。それに引き寄せられないといいが。
髪型はシンプルにポニーテール、化粧はいつも通り薄くナチュラルに。
濃く化粧をするほうがセイラには合わないと思う。プロがするなら違うかもしれないけど。
後はポーチを肩にかけ、終了だ。
そのまま崩れない内にシート型PCに座らせ、メタバースにダイブさせる。
全身スキャンするから少し時間が掛かるが、終われば待ち合わせ場所のショッピングモールの入口にいるだろう。
後はこちらも準備して、ファッションデータは既に登録済みの春向けのコーデパターンを選び設定し、メタバースにダイブした。
「遅ーい。ヤマト、こっちこっち」
「そんなに遅くなってないはずだけど?」
「女子を待たせる時点で遅いんですよ、ヤマト」
「エリー、セイラの面倒を見てからこっちの準備をしてるんだ。待たせないで来ることは不可能だ」
「あらあら、仕方ないですわね」
そうだよ、セイラの面倒を見てからダイブするんだから。
それがなければ女子を待たせるようなことはしないよ。
そうじゃなくてもセイラみたいなのを放って置くと何をするか、何を起こすか分からない。なるべくならそばにいないとヤバいと思ってるんだから。
更にアリーシャも増えたんだから、もっと危ないんだよ。
学校ならともかく、こういうショッピングモールだとナンパ野郎が寄ってくる確率がかなり高くなるだろうが。
逆に俺が先にダイブすると、セイラが家でだらけてていつまでもダイブして来ないこともあるから先にダイブさせてるんだ。
本当に面倒だ。
「それじゃあ中に入ろうよ、みんな」
「ん、入ろう」
「お疲れ、ヤマト」
と、いう事でトキオも含めて、ショッピングモールに入っていく。
トキオは俺とそれほど変わらないジーンズに薄手のパーカーといった感じだけど、アリーシャとエリーは流石に全然違う感じだった。
アリーシャはとにかく露出が多い。昔ながらの海外の元気な少女のイメージのタンクトップにジーンズ地の短パンと動きやすい格好だ。その分、胸の谷間と太ももが目の毒だ。
エリーは大人っぽい感じの格好だ。黒の七分丈のタイトなスキニーパンツに白のニット+袖を折ったグレーのジャケットと、手足の先しか露出していない。ただ、エリーも胸の膨らみが目の毒だけどな。
それに加えてセイラもいるわけで、3人並ぶと非常に目立つ。
その後ろを俺とトキオが付いていくわけで、男2人に対する周囲からの目が厳しい。
男からはあからさまに妬みのこもった視線と怨嗟の声が聞こえる。
女性からはこちらには目もくれず、セイラ達3人の方をアイドルやタレントを見るような目で見ていた。それにくっついている俺達にはゴミやダニを見るような目を向けてくる。
針のむしろである。
今日彼女とデートだと言っていたダグが羨ましい限りだ。
仕方がないからその辺は頭を空っぽにして付いていく。
大昔なら荷物持ちとしての役割もあったんだろうけど、メタバースで買い物する以上荷物は存在せず、後でドローンが配達に来る。
ほんとに余計な男を寄せない為にいるだけだ。
たまにメタバース内でも無理やり迫ってくる奴もいるんだけど、これは即通報で強制退場させられるから楽だ。
セイラ達3人は次々といろんなお店に入っていく。
俺はトキオとお店の前にあるベンチに座って話をすることにした。
「なぁ、いつも思うんだけど、俺はここにいる必要があるのか?」
「ないんじゃない?」
「だよな?ならE.G.G.で遊んでた方がいいんだけど」
「あれだけの美少女3人と一緒にいるのに。他の奴等ならすげぇ喜ぶぞ?」
「セイラで見慣れてるからな、エリーやアリーシャくらいは特別にどうとも思わんが」
「お前、死んで来い!」
そんな事言われてもな。セイラとの付き合いも10年ほど。
あんなに大きくなるまで見てきたんだから。そりゃあ美少女とやらに慣れちまうだろ。
「世の中の大半の男を敵に回してるぞ!」
「別にいいけど。俺はスタイルなんか気にしないし、付き合って楽しい子の方がいい」
「贅沢なことを言いやがるな。いずれ刺されてもしらんからな。メタバースじゃ無理だけどよ」
トキオと話し込んでたら、店の中からアリーシャが呼ぶ声が聞こえた。
なんだろうな?、とトキオと話して店に入っていく。
「アリーシャ、なんだ?」
「セイラのこの服、どう思う?」
「可愛い感じでいいんじゃないか?ボトムスもそういう感じにしないとな」
「じゃあ、選んでよ。セイラ、いいよね」
「うん、いつも通りだけど選んで」
「分かった分かった」
今、セイラが着てるのはフリルが多くパフスリーブのピンク系のブラウス。
ボトムスもフリフリのフリル分多めのピンクのミニスカートかな。
フリル付きの白のニーハイソックスに、やっぱりピンクのレザー系のハイヒールで合わせるのがいいかな?
最後に白にピンクのヘッドドレスを着ければ、ライトなロリータ風になるか。
古いロボットアニメに似たようなのがあったから、トップスに合わせられるかと思ったんだけど。
「こんなのでどう?」
「ヤマト、いいね。セイラ嬢の脚がこんなにスラッと見れるなんて、いいね」
「トキオ、そんなエロい目でセイラを見るな」
「えーー」
だから普段こんな格好させたくないんだよ。
今回は店の中だからさせたけどさ。
「セイラさん、可愛いですよ。いいですね、いつもクールな感じより皆さんに受けると思うんですけど」
「それだと余計に変な虫が来るからダメなんだよ。真っ当な人ならいいけどさ。ちゃんとセイラを分ってくれる奴じゃないと」
「お父さんですか?ヤマトは」
お父さんではなく兄貴だ。そんな感じ。
下手な奴にセイラはやらん。
「セイラ、ロリータっぽいのいいね。私もそんなの着たいな。
ヤマト、私のも選んで!」
「じゃあ、黒で揃えようか」
ということで、アリーシャ向けに黒や濃いグレー系でフリルの多いフリフリなブラウスやミニスカートなど揃えてセレクトしてみた。
髪が金髪なので黒の方が映えるからいいと思うんだけどな。
これで2人並んで白黒のロリータ風でいい感じに。
アリーシャも喜んでるから良かったよ。
その上、お店のスタッフが出てきて、コーデサンプルとして2人の3D映像を表示させて欲しいと言ってきた。
2人は了承していたけど、俺の方にも尋ねてきた。素人コーデなんだか別に許可を取らなくてもと思ったんだけどね。
2人が許可してるのに、俺が反対するのは悪いから許可した。
他にもいろいろな服を見てたけど、結局2人は俺の選んだコーデ一式購入していた。いくらか割引してもらっていたようだ。
ショッピングに貢献できたのならいいか。
その後はしばらくベンチで話をして解散となった。
リアルで会えるなら、食事やお茶をしていけるんだけどな。
メタバースは遠距離でも会ってショッピングはできるけど、食べたり飲んだりが出来ないので遊ぶにはちょっと物足りない。
いつかメタバースでも食事が出来るといいな。
次の日……
ピンポーンピンポーン
誰だよ、ってどうせセイラとアリーシャだろ?
玄関を開けるとやっぱり2人がいた。それはまぁいい。
2人は昨日買った白黒のロリータ風コーデを着込んで来ていた。
「ヤマト、見て見て」
「ヤマト、どう?エッチっぽい?」
「セイラ、そう思うんだったら着るのをやめろ。そんな服着て一緒に出歩かないからな」
「せっかく買ったのに」
「私の方はどう?色っぽい?」
2人共そういうつもりで買ったのか?
エロいとか色っぽいとかそういう風にコーデを選んだつもりはないんだが。
確かにミニスカートでニーハイソックスはそういう感じだけど、それは邪な目で見るからだ。ちゃんと可愛いんだぞ。
その後は、結局うちで俺に散々見せびらかせつつ、俺を挑発するようなポーズを2人で取って遊んでいた。
セイラはアリーシャのいう通りに、胸を強調するようなポーズや太ももをもっと露わにするような事を恥ずかしそうにしていた。
恥ずかしいならやめなさいって。
性格の違いがあると思うけど、根っこはあまり変わらないのかね。
まぁ、2人楽しそうにしてるからその挑発は甘んじて受けよう、役得ということで。
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