第25話 教会建設と他種族との交流を考えるよね。
「生命の水筒とマジポテをマーカス商会に卸してくれるんだったら、こちらからも何か取引を申し出たいところだね。何か困っていることはないかい?」
マーカスが話題を変えてくれたよ。うーん、困ってることかあ。あ、これだったらいいんじゃないかな?
「実はオーラン村の家と教会を建てるために資材が必要なんだけどそれを取引できないかな?」
具体的には石材が足りないと言ったところ、石切場と契約しているというので持ってきてもらえることになったよ。
お金の話になるとマーカスの目がキランと光る。まず、通貨の基準を知らないからあわてて神様ノートをみたよ。
1. 鉄貨
•価値: 約1円
•使用例: 日常的な取引、小さな買い物(例:野菜や果物など)。
2. 銅貨
•価値: 約10円
•使用例: 小さな取引や軽い食事(例:パンやお茶など)。
3. 銀貨
•価値: 約100円
•使用例: 一般的な日常の買い物やサービス(例:衣類、食事など)。
4. 金貨
•価値: 約1,000円
•使用例: 高価な商品やサービス(例:家畜、宝飾品など)。
5. 大金貨
•価値: 約10,000円
•使用例: 非常に高価な取引(例:土地や大規模な建物の購入など)。
これがアナザークラウドでの通貨の基準らしいよ。わかりやすくていいな。
まず生命の水筒の販売価格の話に移る。マーカスは生命の水筒を高級商品として売り出していたため、金貨4枚で売っていたらしい。
「うーん、金貨4枚ですか。原価を考えるとめちゃくちゃ利益率がいいですね」
「そうだろう、あまり数がつくれないようだったらもっと高くしてもいいと思ってるんだ」
まあそれはしょうがないか。大量生産できるようになったら価格を下げるか。
ちなみに生命の水筒とマジポテの原価と製作費と販売価格と利益はこんな感じだ。
生命の水筒
•原価:
•
o素材費: 銅貨5枚(500)円程度
o(特殊な素材と魔法のエンチャントが必要)
o製作費: 銅貨2枚(200円)(職人の労力)
o合計: 約銅貨7枚(700円)
•売り上げ:
•
o販売価格:金貨4枚(4000円)
o利益: 金貨三枚と銀貨3枚(3300円)
マジポテ
•原価:
•
o素材費: 銅貨1枚(100円)
o(魔法ポテト、油、塩、ドライマッシュルーム)
o製作費: 鉄貨50枚(50円)(調理時間)
o合計: 銅貨1枚と鉄貨50枚(150円)
o
•売り上げ:
•
o販売価格: 銅貨5枚から6枚(500円~600円)
o利益: 銅貨3枚と鉄貨50枚から銅貨4枚と鉄貨50枚
o(約350円~450円)
とりあえずこんな感じで生命の水筒とマジポテは売ることにしたよ。ちなみに出た利益の割合について決めるときはちょっともめた。逆の意味で……
「マーカスさん、利益は折版にしましょう。5:5で」
「いや、それはもらいすぎだね。トオル君の受け取る金額は6割でいいよ。7割でもいいくらいさ」
さすがにそれではマーカスさんに利益がなくなる。僕はあわてて言う。
「マーカスさんにはこれからも魔物たちの楽園にきて行商を続けてほしいんです。そんな価格でやっていけますか?」
マーカスは難しい顔になる。すこし黙り込んでマーカスさんはようやく口を開いた。
「うーん、これは大きな商いになると思ってる。だからマーカス商会との独占販売にして欲しいんだよね。だから生産者側が得をしてほしいと思ってるのさ」
「それはうれしい提案ですけど、いずれ類似商品が出回るはずです。それを考えるとマーカスさんが得をして商会を大きくしてほしいんです。いずれはブランド展開をしてうちの商品だとわかるようにするつもりです。独占販売については受けるつもりですよ」
「そうだねえ、ならば利益の配分は4:6でいいかい?」
「いいですよ! これからもどんどん商品開発するつもりなのでよろしくお願いします」
僕とマーカスは笑顔で固く握手を交わしたよ。
「まったく君は欲がないねえ。そんなんじゃ、私以外の商人とやっていけないよ?」
「マーカスさんとは短い付き合いですが信用できると感じたので!」
僕はちょっと甘いのかもしれないが商いについては信用、信頼が一番大切だ。だからこんな提案をしたよ。この調子で契約書も交わしていこう。
あ、ガラルの意見聞いてなかった。急いで聞いてみると.……
「トオルに任せる。俺は難しい話は分からねえ」
すがすがしいほどに人任せだった。これでよく村長がやっていけたな! と呆れているとオーラン村で商品開発なんてしたことねえからなあ、との言葉が返ってきた。
「マーカスさんは、小麦の買い付け以外にこの村で買うものはあるんですか?」
「獣の干し肉と.……それくらいですかね.……」
よくそれでこの村に来てくれてたな! マーカスは底抜けのお人よしだと感じたよ。
こりゃあ、損はさせられないな。僕が頑張るしかないよ。
さあ、契約書の話に戻ろう。
契約書は、滞りなく内容が決まったよ。その内容は……
1. 契約の目的
「本契約は、オーラン村とマーカス商会の間で、商品(生命の水筒およびマジポテ)の製造・販売に関する取り決めを明確にするものである。」
2. 商品および役割
「オーラン村は、生命の水筒およびマジポテを製造し、マーカス商会に卸すことを約束する。マーカス商会はこれを購入し、適切な市場で販売することを約束する。」
3. 利益の配分
「販売価格に基づき、利益はオーラン村が40%、マーカス商会が60%を受け取るものとする。」
4. 独占販売権
「マーカス商会は、生命の水筒およびマジポテの独占販売権を有する。ただし、マーカス商会とオーラン村の協議の結果、双方が許可した場合、他商会への販売も可能とする。」
5. 品質管理および責任
「オーラン村は、商品が一定の品質基準を満たすことを保証し、マーカス商会が販売した商品に関する苦情や問題に対応するための支援を行う。」
6. 契約期間および更新
「本契約は、契約締結日から一年間有効であり、双方の合意により更新可能とする。」
7. 紛争解決
「契約に関連する紛争が発生した場合、双方は誠実に協議し、友好的に解決することを目指す。解決が困難な場合は、第三者の仲介を求める。」
8. その他の条項
「本契約に含まれていない事項については、双方の協議により取り決めるものとする。」
ちょっと硬い文章だけど、契約書ってこういうものだからね。これでお互いが血判を押して完成だ。
紙は中世ヨーロッパの舞台にふさわしい羊皮紙だったよ。二枚書いてお互いが保管することにしたんだ。羊皮紙を持った時にちょっとテンションが上がったのは内緒だよ。
「そうだ! ほかの魔物たちとの集まりとかないのかな? マジポテや他に有用な植物がないか探したいんだ」
「それなら明後日に魔物たちの月一の集まりがあるのじゃ! 妾も参加する故、トオルも参加せえ!」
それとな、とちょっと言いづらそうにマムが言う。魔物たちは腕っぷしを重要視する故に、トオルは侮られるかもしれんの.……と口ごもりながら教えてくれた。
確かに僕は子どものような見た目だが、ゴン太師匠に鍛えられてきたから大丈夫! と自信をもって言うとマムはちょっとびっくりした顔をしていたが、ちょっとだけ笑顔になってくれたよ。
『トオルは意外と頼もしそうなところがあるのう、聡いだけではなく腕っぷしも強いとなれば妾の伴侶になるかものう.……フフッ』
なぜか、にやにやした顔になるマムをしり目に会議は深まるのであった。
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