第7話 ダンジョンの話だよね。


追記:ミリアとリリィがごっちゃになってた!!本当に申し訳ありません。









 セスはかた焼き黒パンに、今日は猪肉のステーキと乾しキノコから出汁をとったスープを作ってくれた。もちろんびっくりフルーツもある。


 猪の肉は血抜きをあんまりしてないのか、獣くささと固さが残る味だった。だがセスが厚意で出してくれた物を残すわけにはいかない。気合いで食べた。ガラルとリリィはスープが気に入ったのか、うまいうまいと言いながら食べていたよ。


「へー干し肉は食べるが、乾しキノコからこんなスープができるとはおもわなかったぜ。」


「僕のせ、いや国では、海藻を干したものを戻してスープにすると良いスープになったんだ。出汁を取るって言うんだよ。」


「へー、だしを取るか、海藻って海の雑草でしょ?あれをスープにするのは聞いたことないな〜」


「セスからも言わせてもらいますが、海藻は海の方でも食べられていないのではないでしょうか。ただこれまで邪魔者だった海藻が食べられるとなれば食に幅がでていいと思いますぞ。」


 乾しキノコから出汁を取ったスープは僕が提案したものだ。他にも山菜とかあればよかったがそれはなかった。海藻とかも食べられていないんだな。卵とかもないのかな? 鶏とかいれば卵スープにもできるし、色々できるよなぁ。


 後は海は魔物達の楽園の近くにはないらしい。近ければ、海産物をとりに行って楽しめたのにな。地球にいた頃は地元は海無し県、働いていたところも海無し県と海とは縁遠い生活をしていたのだ。海に行ったことがないわけではないけどね。僕は記憶の彼方にある、潮風の香りに思いを馳せた。


「トオル君、なんか物寂しい顔をしてるねぇ。故郷のことを思い出しちゃった?」


「昔、海に行った時のことを思い出してね。」


「そうなんだぁ、僕ちゃん海に行ったことないんだよねぇ,トオル君、いつか一緒に海に行く?」


「行きたい!! リリィと!!」


「トオルは知らないかもしれないが、海はダンジョンの中にあるぞ? リリィも忘れてないか?」


 ガラルがいい雰囲気になってるトオルとリリィの空気を壊そうとしてくる。リリィがキッとガラルを睨むとガラルは気まずそうに顔を背ける。でもダンジョンの中に海?それは色々と重要な情報だ。ダンジョン産の魔物の知性とか気になるし。


「リリィ、ダンジョンの海でも、本物の海でも、何回も行けばいいじゃないか。それよりもガラル。ダンジョンの海で海産物は取れるのか? ダンジョンに出てくる魔物は知性があるのか?」


「トオルくぅーん〜〜〜〜!!」


「リリィ、こいつそれよりもって言ってるぞ…… 質問に答えると、海産物は取れるが、魔物達の襲撃がひっきりなしに来るから、現実的ではないんだ。魔物に基本的には知性はないぞ。


だが、何事にも例外があって知性がある魔物もいる。そう言う魔物は『ネームド』と言われていて、交渉が可能な魔物だな。


だがダンジョンマスターの意思に基づいて動いていると言われていてな。その魔物が要求するものがないと交渉をしてくれないんだ。」


「トオル君???? それよりもってどういうこと?? お姉ちゃんの話はついで? ってこと??」


「リリィ、その話よりも今はダンジョンの話がきにn……」


「へー、トオル君、ベッドの上でピロートークしないタイプだね。お姉ちゃん怒っちゃったよ。今晩、オ・シ・オ・キが必要だね。」


 で,出た!! 世の中に伝わる108のオシオキ術。今回もくすぐりをされてしまうのか!? でもあの後、狼達に襲われたから、若干トラウマなんだよなぁ、くすぐり。


「大丈夫だよぉ、トオル君。くすぐりは嫌そうだからやめてあげる。でもオ・シ・オ・キはや・め・な・い。」


 ナチュラルに心を読まれてる!? そんなスキル、ステータス欄になかったよ!? って思ったけど、ただ表情から読まれてるだけらしい。そんなに顔に出やすいのかな。事務職時代もポーカーフェイス出来てたのか。不安になってきた。


 オシオキは受けることで納得してもらい、ダンジョンの話に戻ることに。ダンジョンで襲われること頻度が減れば、海産物は取れそうだし、『ネームド』の魔物が要求するものはそんなに難しいのか? と聞いてみる。



「うーん。まず海産物は食べれるんだが、それを食用にしてるのはダンジョンの魔物だから守ろうとして攻撃してくるんだ。学者が調べてた限りでは、そんな結論だって冒険者の知り合いから聞いたな。


『ネームド』の魔物が要求してくるのは、有名処では伝説に出てくる素材(例えばエリクサー)や武器(デュランダル)だな。


だが、中にはショウユ? やミソ? と言うものを要求してくるんだ。あと作り方も。ニホン?  と言う国で作られる素材らしくてアナザークラウドでは手に入らないものなんだ。」


 ふむふむ。海産物が食用なのは嬉しいな。ダンジョンの魔物に別の食用となる食べ物を渡せれば、譲ってもらえるかもしれないな。


 伝説の素材はまだ作れそうにないが、エリクサーは素材が集まれば錬成できるかも? 武器も作れるものはあるかも。


 醤油や味噌だと!? こちらは大豆に似た食材さえあれば、錬菌術で作れるはずだ。作り方は調べないといけないがミリアにお願いすれば神様ノート経由で行けるか? 


 というかダンジョンマスターは地球から来た転生者や転移者の可能性が高いな!! もちろん全員ではないが。


「トオルのその様子だと、ショウユやミソに当てがあるんだな? それがあればダンジョンで儲けが出せそうだ。だが肝心のダンジョンの数がここら辺にはなくてなあ。都合よく未発見のダンジョンが魔物達の楽園で見つかれば別なんだがなあ。」


 そんなに都合よく見つかる訳ないだろ!! ってこの時は思ったが、トオルの稽古が始まって程なくしてから魔物達の楽園に未登録のダンジョンが見つかることになる。これも運Bの成せる技なのだろうか。トオルはミリアに聞いてみたくなるのであった。


 食事の最後に建築中にガラルに◯されそうになった時の話に移る。その時にリリィが言っていた、師匠と弟子の関係とは何なのか、聞いてみることにした。


「ウフフ、僕ちゃんが教えてあげる。師匠が弟子を取って、特別な魔法やスキルを教える場合にする制度でね、師匠は契約を以て弟子を縛るの。特別な許可がない時以外はその魔法やスキルを他人に教えることができなくなるの。」


 なるほど、地球で言う特許制度だな。それをもっと範囲を狭くしたものという感じなのだろうか。それをすれば技術の漏洩を心配することはなくなるみたいだ。


 師匠や弟子が漏洩をしようとした場合、全身に雷が落ちたような痛みが走り、最悪の場合死に至るそうだ。口を割らせようとした奴もその痛みが走って、しぬこともあるそうだ。神罰と呼ばれているらしいな。


 でもそこまでして、錬金術の漏洩を防ぎたいのは、ゴブリン族のみんなに手に職をつけさせるって狙いもあるのかな。ハガ◯ン式錬金術が身につけば、建築現場や武器の製造でも役立つかもしれない。他の国でも重宝されるようになるだろうな。


 後は自意識過剰かもしれないが、リリィが僕にオーラン村にいてほしいのかもしれない。なんでそう思ったのかは僕にもわからないけど。でもオーラン村はいい拠点になるだろうな、とこの時の僕は考えていたよ。


 食事も終わり、この世界での最初の風呂を楽しむことに。セスが魔法を使えるとのことなので、水魔法と火魔法で風呂を沸かしてもらった。最初は風呂とは何か?とガラルとリリィとセスに聞かれたが、水浴びより体が綺麗になるものだ、と説明した。


 一番風呂は、この屋敷と風呂を作った功労者ということで譲ってもらった。脱衣場も狭いけど作ってある。だが何かがおかしい。スペースはあるはずなのに、そっちの方に行けない時がある。しかもすっぽんぽんになってからはキャッ、オオキイとかホウホウコレガーとか誰かの声が聞こえる。


 うーん、何かがおかしいと思いながらも、風呂場に入り、木の桶で体を流す。やっぱり誰かの気配を感じるな!! 水をもう一回だけ掬い、気配のする空間に水をかける!! するとイヤァッと声が聞こえて、真っ裸のリリィが空間から姿を現した。


 え?? なんでリリィ!? っていうかどうやって透明になってたの?? ミリィの美しいのに豊満な体が目に映る。ミリィは男と間違われてもおかしくない短い黒髪だ。そして目はゴブリン族の中でも大きい。赤い目が艶めかしい光を放っている。


 人族と変わりないくらいだ。鼻はすこし低いがそこまで違和感は覚えない。口元は形が良くて、顎はシュッとしていて小顔だ。あれ、僕はなんでリリィの目をこんなにも見つめているのだろう。しかも下半身に血が集まってきたような……


「ふふふ、トオル君のきみ君は元気だねぇ、でもだめだよ。今日はオ・シ・オ・キがあるんだから……!!」


 僕はなぜリリィが姿を消すことができたのか、何故こんなにミリィの赤い目は艶めかしいのか気になったがどうでも良くなった。リリィの次の一言で記憶がなくなって、朝になったら、寝室で寝ていたからだ。


『さあ、僕ちゃんにア・マ・エ・テ??』


 僕の記憶はここで無くなっていたよ。












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次話はリリィ目線の閑話になる予定です。結構エロエロな話になるかもしれないので苦手な方は飛ばして読まれることをお勧めします。好きな方は、フォローや高評価してくれると嬉しいな、チラッチラッ。



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