第6話 続・家作りだよね。
追記:ミリアとリリィがごっちゃになってた!!本当に申し訳ありません。
これでは星もフォローも貰えるはずがない……
魔力切れで、昨日の昼頃、意識を失った俺だったが、翌日には家作りを再開していた。起きた時に何故かリリィが一緒のベッドに寝ていて興奮したのは内緒だ。ほっぺにキスをしたが、バレていないだろう。
ちなみに昨日の夜にたべたのは、おなじみのかた焼き黒パンに鹿肉のステーキといつもの果実だった。ちなみに見た目は赤い果実だが、食べるまで味がわからないらしく、今回はオレンジの味がした。びっくりフルーツと呼ばれているらしいな。
鹿肉のステーキはセスの厚意によって出してくれたものらしい。昨日の家づくりを遠くから見ていたらしく、魔力切れになるまで、魔法(セスはまだ錬金術だと信じていない)を使うのは、命取りになりますよ! と注意してきたが、一応僕のことを認めてくれたらしい。
セスが説教したりするのは認めた相手だけだよ、とリリィが教えてくれた。セスは、それを聞き逃さず、居候が体調を崩していてはただの穀潰しなだけです!とプリプリ怒っていたが、老執事のツンデレに需要はあるのだろうか……?まあ冗談はさておきいい人だと思ったよ。僕のことを心配してくれているのは本当らしい。
「トオル様、新しい屋敷の間取りで相談がありまして。台所はやめて、調理場を作っていただけないでしょうか?」
様付けされちゃったよ!!なんか執事っぽいな。それはさておき、台所はもちろん作る予定だが、それではダメだのだろうか?話を聞くと屋敷の主人に料理をしているところを見られるのは嫌だ、とのことだった。確かになとなったので調理場を別の部屋に作り、台所をリビングと一緒に作るのはやめたよ。
さて部屋の間取りも決まったところで、新しい屋敷の建設現場に移動して作業を始める。昨日,魔力切れになった反省を生かして、ゴブリン族の皆さんにも手伝ってもらうことにした。魔力切れになる要因には、疲労からくるものもあるらしい。
昨日の雑草の分解とか基礎作りとかスコップ作って掘って貰えばよかったしな。パフォーマンスのためとはいえやりすぎたよな。反省、反省。
昨日は忘れていたが建設現場に足場は付き物だ。丈夫なヒノキキを加工して、足場を作って農作業をしている村人以外のみんなで組んでいく。ガラルとリリィも楽しそうに手伝っていた。
今日の作業は煙突作りからだ。石材を『分解』して『再構築』する。現在は魔物達の楽園は春らしいが、冬になれば当然寒くなる。暖炉を作ってあげた方がいいだろと思い、作ることにした。
とりあえず場所を決めて石材を煙突の形に整形する。四角い塔みたいになったな。下に暖炉も作る。神様ノートの図面を参考に木を合接しながら屋根を支える柱も組む。屋根の形に整形しながら、上に伸ばす。日本家屋の木材に穴を開けてはめ込んでるのと同じだな。
次に石造壁を作って、屋敷を囲う。均一な厚さになる様に加工するのが一番苦労するんだよな。だがやり切った。次は屋根瓦を石材で作る。作ったらゴブリン族の村人達に手伝ってもらってそれを載せていく。高いところに登るのが怖い人も多いみたいだが、好きな人もいるみたいだ。
ちなみにガラルは高いところが怖いらしく、おっかなびっくりで作業をしていた。リリィはたのしーー!! と言いながら作業をする様子が見えたよ。俺は怖い組だったのでゴブリン族の皆さんに任せたよ。下から、パンツを覗こうとしたら、リリィに笑顔で睨まれ、退散したな。とほほ。
ここまできたら、内装だけだ。2階は寝室が6部屋ほど作ってある。階段は錬金術で木を合接して作ったよ。ゴブリン族の大工がこれくらいはと言っていたので作ってもらった。あとは僕に弟子入りしたいと言って聞かなかったのが困った。
「見事な建築技術、お見それしただ! どうか俺を弟子にしてくれだ!!」
「僕に建築技術はないよ。錬金術でゴリ押してるだけだからな。悪いが他を当たってくれ。」
「トオル様以外にそんなことをできる方はいませんだ!! どうか弟子入りを!! 今ならオラの弟子もついてくるだ!! 」
「いや、いらないよ!! そっちのほうが困るよ!!」
この調子なのだ。僕の錬金術はこの世界の錬金術とは違うし、何より錬金術スキルがない人に教えられるかわからない。困っていると頭の中でミリアの声がする。
『トオルの錬金術スキルはこの世界の魔法に似たものよ。だから魔力があって魔法を少しでも使えるならできないことはないはずよ。おしえてあげてもいいんじゃない?』
うーん、ミリアがそこまで言うなら教えてみるか。自分はガラルとの稽古があるから、空いた時間に教えるよ、というと涙を流して喜んでいた。大げさすぎだろ!!
ちょっとドン引きしているとリリィが呆れた顔でこう言ってきたよ。
「トオル、あのね? 唯一無二のスキルを持った人は普通秘匿して人前で使うことはないわ。そのスキルがあることによって悪いやつに狙われることもあるし権力に縛られる場合もあるからよ。」
「あとね、この世界のスキルは原理さえわかって素質があればユニークスキルでも覚えられる。だから、そういうスキルをもった人が弟子を取るっていうのはほぼ無いの。自分の優位性が薄れちゃうからね。」
なるほど、ここまで説明してもらえれば僕でもわかる。ゴブリン族の大工の人が泣いているのは、異世界ならではの事情があるからだろう。だけど僕は錬金術を秘匿するつもりはないよ。
いずれこのスキルが偉い人にバレたら、僕だけがこき使われることになるだろう。そうなってもいいように弟子も道連れにしてやるのさ。それで自由がなくなるのは嫌だから、他の国に行ったときに弟子をそこで作るのもいいかもな。
そんなことを考えているとまたリリィがニコニコしながら喋り始める。
「それで? トオルはお姉ちゃんには錬金術教えてくれないの? 昨日、寝てる私に〇〇したよね?」
おおいいいい!! その伏せ字はあかんぞ、ていうか、リリィにキスしたことバレてたのか!? ていうか親バカガラルの前でそんなことを言ったら…… そーっとガラルの方を見るとそこには白いオーラを纏った般若がいた。
「てめえ、うちの娘になにしたんだ??? 言ったよなあ、強くなってからじゃないと結婚は認めねえってな!!」
「あわわわわわわわ、僕はリリィにふしだらなことは…… い、いえ言いますよ!!キスをしたんです!! ほっぺに!!」
「うちの娘にキスだと!? 許さん! お前が今から泣いて許しを乞うても許さん!!絶対◯す!!」
「お父さん、まぁまぁ落ち着いて。僕ちゃんはトオルのお姉ちゃんだから、キスくらいするって。それでも許せないって言うんだったら、トオルに、僕ちゃんとお父さんとゴブリン族のみ・ん・なにトオルの錬金術を教えて貰えばいいんだよ。そのあと、トオルとみんなで師匠と弟子の登録をしちゃえば、ウフフ。」
「リリィ、それはいい案だが、お前の大切なファーストキスがこいつに奪われたんだぞ!? いいのか!?」
「僕ちゃんは、トオルにならファーストキスを捧げても……」
「許さん!!やっぱりトオル、てめえを○す!!!」
その後、ガラルがトオルめがけて殴りかかろうとするのをリリィと白いオーラを使える村人達で押し留め、ガラルの1時間にわたる説教の後、許してもらえた。それにしても大事なことを聞きそびれた気がするが…… はて…?
その後、旧屋敷から家具を運び入れて、トイレを石材で仕上げた。水洗式は知識がないため、まだ再現できない。ボットン式だ。ちなみに排泄物の処理をしているのは生まれて間もなく、知性のない幼体のスライムだ。
スライムは何を食べても分解するため、ファンタジーではお約束のお役立ちな存在だ。だが生まれて間もないスライムは知性がないため、野良の獣に狩られてしまう。
それを防ぐためにスライムの長と契約して、知性が育つ前のスライムをもらってきて排泄物の処理に使わせてもらうそうなのだ。保護と実益を兼ねてるため、Win-Winの関係だな。
育ったスライムはいつの間にか分裂し、そこら辺を歩いてる。トイレに幼体を残して。不快に思う人もいるだろが、スライムの異世界を生き抜く知恵なのだ。許してほしい。
後は、セスが調理場で土のかまどを作っている間に風呂をこれまた表面を滑らかにした石材で作った。脱衣所も作ったぞ。これでガラルの屋敷作りは完成!!
びふぉーあふたー。
♫〜♫〜なんと言うことでしょう。
日本の小さめのアパートくらいだった大きさのいたんだ木の家が〜
煙突のある、基礎は石作りの立派な屋敷(日本の一般的な一軒家くらいの大きさ)に様代わりしました〜〜
ちなみに窓ガラスもつけてあります!! 石をサラサラに分解して、再構築して大工さんに木枠を作ってもらってはめ込んだよ!木枠に合う大きさにするのが大変だったよ。
はあ、疲れたし、セスの作ってくれた料理を食べながらみんなと話そう。
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