おもひで

狼男

第1話 大学時代1

 僕は、そのサークルの一員であることを誇りに思っていた。ところが、いつからか、それが憎しみに変わるようになった。好きの反対は無関心だそうだ。

 そのサークルに入った理由は、コロナ禍であったにも関わらず大学が唯一、対面で活動していたからだ。入部三日目で、本格的な活動に参加した。

 最初は、少人数だった。少ないメンバーで密に楽しくやっていた。その頃、友達ができた。エースとしておく。その子にサークルの話をしたところ、入りたいと言って、サークルに勧誘した。皮肉にも自分が退部する前兆となる。

 そのサークルの顧問の先生も熱心だった。学生と密に関わっていた。

 自分は、その先生に怒られることが多かった。部長は優しかった。あんまりきつく言われることはなかった。とある事情で新歓祭にでなかった。それは、顧問の先生も了承済であった。

 サークルに所属していて、就活のことを頭に入れていた。集団生活でコミュニケーション能力を鍛えるという目的があった。

 2年生になり、後輩、特に女子が増えた。後輩とそれなりにコミュニケーションをとるように意識した。同期の中で、サークル活動に精を出すばかりに、後輩にきつい言い方をして、恐れられている部員もいた。同期が積極的に、女の子とご飯に行こうと誘いをかけていた。みんなで、イベントの準備をしているとき、数学に興味を持つ後輩と、微分の問題を出し合っていた。はたからみれば、サボりである。みんなで、看板作りをしていると、女の子から、「先輩の学部はどこですか?」と聞かれた。

 「〇〇だよ」と答えた。そこで会話は途切れた。

後日、その女の後輩たちが、僕のリュックにつけているコアラを触っていた。これは、僕がオーストラリアにホームステイしたときに、ホストファミリーからもらったコアラのぬいぐるみだ。大学生になってから、つけるようになった。それが女の子たちは

気に入ったようだった。コアラの文字のI LOVEオーストラリアのところを音読していた。

 イベント当日準備から、準備に参加していないことをエースから咎められた。そこから、しっかり参加するようにしたら、サークルの内容が楽しかった。この時はイベントリーダーではないのもあって、顧問の先生から怒られることはほとんどなかった。マイクで呼び込みを行った。顧問の先生から「あいつら、遊んでいるだけだから」と耳打ちされた。

 その時くらいから、同じサークルの部員エースと問題をおこしていた。彼が、僕を呼び出し放置するこだが増えた。何回か似たようなことがおきた。

 サークルのイベントでグループに分かれて制作をするようになった。自分がリーダーになった。力量をうまく発揮できず、顧問の先生から怒られ、シュンとすることが多くなった。同じ部員と愚痴を言うこともあった。遊びにいったとき、サークルのしんどさを話した。エースとも仲が悪いことを話した。

その時に、友達が車でダーツに連れて行ってくれたのだが、その帰り、コアラを車に置き忘れてしまった。後日、友達が忘れ物として届けてくれた。

そのサークルのメンバーでバーベーキューをすることもあった。僕はある女の子のことが好きだった。バーベーキューの日に、エースから、電話で呼び出されて、放置された。その場で怒ると、雰囲気を壊してしまうから、後日しかりつけた。そうして絶好することになった。別の日に、その子と自分を含む男子2人、女子3人で映画に行った。友達の男の子が寝坊した。前日に寝坊するなよとラインをしていた。まさかフラグを回収するとは思わなかった。

その日はご飯やボウリング、ゲームセンターで楽しんだ。好きな女の子と席が隣だった。

その子と、いっしょに二人でオンラインゲームをした。カッコ良いところを見せられなかった。

いよいよ、部員とのトラブルと責任の重さに耐えかねて、サークルを辞めた。勝手に辞めた。

やめた日、一人で家で泣いていた。アルバイト先に電話し、休ませてもらった。

すると、しばらくは勝手ながら戻りたいという気持ちになった。サークルのメンバーと話をすることもあった。引き留められて、戻ることにした。エースとも仲良くすることを求められた。エースと仲なおりをし、メンバーにも謝罪をした。復帰してからは、一人でがんばっていた。自分は、学業よりもサークル活動にのめり込んでいた。サークルの集まりのときに、その日提出締め切りの期末レポートにとりくんでいた。授業も何個かはブッチした。オンライン授業も多かった。だからこそ、部活と両立できた。復帰してから、好きな女の子とよそよそしくなった。以前のように会話する機会に恵まれなかった。友達の部員もサークルに顔を出さなくなった。理由は、エースと仲直りして、エースとその子の関係が悪化していたのもある。

エースとは、プライベートでも遊ぶものの、遅刻は相変わらずだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る