ツチスナといっしょ けもフレ3編

とがめ山(てまり)

第1話 ツチスナ・七夕(上)

ツチノコとスナネコは、探検隊から七夕のお祭りに招待された。


今度のお祭りにはドレスコードがあるということで、スナネコとツチノコは着ていく服を考えるべく、集まって話をしている。



「どれどれ。『事前にピーチパンサーと打ち合わせしていたフレンズさんは、織姫衣装でご参加ください』とあるな」


ツチノコは七夕祭りのフライヤーにざっと目を通し、織姫衣装の画像サンプルを見つける。


「へぇ。いいデザインだけど、おしゃれメダル何枚なんだろうなあ。毎度のこと、がめついんだから」


「あ、この衣装ならボク作ってもらいましたよ」


横で見ていたスナネコが、織姫衣装のイメージを指差して言った。


「え!? いつの間に!?」


「うーん……覚えてないですけど、2、3年前だったでしょうか」


「どういう経緯で仕立ててもらったんだよ」


スナネコはきょとんとしている。


「忘れました」


「そっかぁ……そうだよなぁ。羨ましいなァ〜」


「ツチノコは持ってないんですか?」


「持ってないのが普通なんだよ。私が仕立ててもらった服って、収穫祭のドレスと、バレンタインの鎧とかだぞ」


「鎧で行ったらいいじゃないですか」

「この炎天下に私を殺す気か!?」


スナネコは、いいじゃないですかぁ〜と言いながらツチノコの肩に頭を擦り付ける。

スナネコの頭を撫でながら、ツチノコはフライヤーの続きを読んだ。


「『織姫衣装を持っていないフレンズさんには、当日浴衣をお貸しします』だとさ。オレはこれだろうなぁ」


「『ユタカ』って、どんな服ですか?」


「あぁユカタってのはだな、日本ってチホーの古い服の種類でな……」


ツチノコは、スナネコに自分の知識を披瀝する。

スナネコはあまり聞いておらず、ツチノコの住まいの壁に貼られたメモやスケッチを眺めている。



「まぁ、普通に織姫衣装を持っていないフレンズでも参加できるんだろうな」


「じゃあ、それで行きましょう。ツチノコは『ユタカ』を借りるんですね」


「『ユカタ』だよ。お前はせっかく衣装持ってるんだから、それに着替えて行くといいな」


そのまま着替えに帰るかと思いきや、スナネコはそのままツチノコの顔を覗き込んだ。


砂漠の天使とも評される、あどけない美貌に至近距離で見つめられたので、ツチノコは顔を赤らめ目をそらす。


「ボクの織姫衣装姿、見てみたいですか?」


「早く着替えてこい!」


スナネコを押しやろうとした手を軽々と避けて、スナネコは部屋の出口に立った。


「ふふ。楽しみにしててくださいね。そしたら、待ち合わせの時間に」



スナネコが着替えに帰った後、ツチノコは一人悶々とした。

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