黄泉国物語。
猫野 尻尾
第1話:幽体離脱。
黄泉国ものがたり(よもつくにものがたり)
俺の名前は「
職業は商業デザイナー。
友人が、古民家カフェをオープンするというので、地方紙に乗せたいと
お店の広告デザインを頼まれて、岡山行きの電車に乗るため今、駅に来ている。
チケットを買ってからホームのベンチに座って自販機で買ったコーヒーを
飲んでいた。
すると、どこからともなく、一人の女子?・・女の子?が俺の隣に・・・
一人分開けてベンチに座った。
見たところ学生服を着ているから、彼女は女子高生だと思った。
そして女子高生は、人の顔をうかがうように俺のことを見てる。
それが、なかなか可愛い・・・いや、見つめられると恥ずかしいくらい
可愛いのだ・・・。
俺は、知らんぷりをしたが、少し気になって、ちら見すると女子高生は、
まだ俺の方を見ている。
女子高生にまったく興味がなかったわけじゃないが普段、女子高生となんか
知り合いになれる訳もないし、そんなチャンスもない。
三十路の独身男なんか、女子高生はまず相手にしない。
だから俺は無視していた。
そしたら女子高生は、いきなり立ち上がると俺の前まで来て、そこに
しゃがむと俺の顔を、下から覗き込んだ。
俺はびっくりして、ちょっと身を引いた。
そしたら、女子高生は顔がくっつくんじゃないかってくらい自分の顔を
俺の顔に近づけてきた。
「ちょ、ちょっと・・・なにやってんの?」
「やっぱり」
「あの・・・私が見えるんですね?」
「は?・・・何言ってんの?」
「見えるんですよね・・・」
「ちゃんと見えてるよ、変なこと言い出す子だな」
「よかった〜もう誰も私のことなんか見えないのかと思ってたから
まじ嬉しいかも・・・」
(なんか、馴れ馴れしい子だな・・・)
(近頃のJKってみんなこんなに、人見知りしないのか?)
「だから・・・何言ってるの、君は?」
「あ、私、「
「あしや?・・・まりん?・・・まりんちゃって言うのか、君」
「真凛のまは真実の真にりんは凛々しいって書きます」
「真凛ちゃん・・・君、どうみても女子高生だよね・・・」
改めてよ〜く見ると、ほんとに可愛いじゃないか?
髪は肩くらいで色白で目がぱっちりデカくて笑うと八重歯が可愛かった。
「 君、今、何年生?」
「桜ヶ丘東商業高等学校、二年生、まだお誕生日がきてないから16才です」
「へ〜そうなんだ・・・」
(じゅうろくさいってか?・・・それじゃ〜まだ幼児体型だな)
「悪いけど・・・俺さ、君とのんびり話していられないんだ、これから
電車に乗らなきゃいけないからね」
「行っちゃうんですか?」
「そうだね・・・仕事だから・・・」
「え〜私のこと、唯一見えた人なのに?・・・行っちゃうんだ」
「そのさ、見えるとか見えないとかって?・・・なに?」
「あなたは見えるんです、私のことが・・・」
「え〜と・・・」
「
「あ・・・阿部さん・・・あなたは私が見えてるんです」
「だから、その訳わかんないことの理由を言わないとダメでしょ」
「あ、そうですね・・・」
「実は私、幽体離脱してるんです」
「幽体離脱だって??」
「って思うんですけど・・・」
つづく。
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