第3話 素晴らしい水分補給方法
このエッセイの連載は始まったばかりですが、うちのイモリちゃんはこの頃、いつになくトラブル続きです。
イモリは生き物ですから、飼い主がどれだけ頑張っても、トラブルというのは起きるものです。
人間だって、どれだけ予防をしても、
イモリちゃんを飼い始めて四年目になりますが、試行錯誤の日々は終わりません。
でも、それこそが、生き物を飼うということなのだと思います。
(ちなみに今更ですが、このエッセイでは大まかに、『イモリ』=一般的なイモリ、『イモリちゃん』=筆者が飼っているイモリ、を意味しています。)
さて、そのトラブルというのは――。
第二話で水を換えたというお話をしましたが、その水が、すぐに白く
そして、水面になんか白い膜が張る!
自分なりに考えた原因は二つあります。
一つめは、水替えや水温の変化によって、水槽に
二つめは、イモリちゃんが何らかの要因で、皮膚からいつもより多くの粘液を出していたこと。
原因はどちらなのか、どちらもなのか、他にあるのか、他にもあるのか、はっきりとは分かりませんが、水が汚れたままでは衛生的に良くありません。
うちの子は水替えが嫌いですが、仕方ありません。
飼い主は泣く泣く、換えたばかりの水を再度換えました。
しかし、次の日にはまた白く濁ってきて……泣
ここ数日は、水を換えたり、砂利や陸を取ってみたり入れてみたり、様子を見たりしていました。
そして、その間に、もう一つトラブルが。
イモリちゃんが脱皮を始めたのですが、途中でやめちゃう……!
イモリは定期的に脱皮をするのですが、うちの子の場合は一度脱皮が始まれば、休まずに最後まで脱ぎきります。
脱皮にかかる時間を正確に計測したことはありませんが、お顔にぶわんと浮き上がってきた皮(灰色の、柔らかい膜のようなものです)を壁や砂利にこすりつけて脱ぎ始めてから、お腹の辺りまで脱いだ皮を口にくわえて、しっぽの部分の皮をつつーっと抜くまで、体感としては数十分から一、二時間ほどでしょうか。
気付いたら脱ぎ終わっていた、ということがほとんどですから、かなり短い時間です。
少なくとも、日をまたいで、脱ぎかけの皮をお腹に装着したまま、なんてことはありません。
この、脱皮の皮が残っている状態ですが、イモリちゃんにとっては良くないようです。
私は獣医さんではないので、イモリちゃんを飼育していく中で身に着いた感覚になりますが……。
イモリちゃんの場合は、長い靴下を上から下に
これでは苦しいでしょうし、血の巡りも悪くなりますし、次に脱皮が起こったときに、古い皮に邪魔されて、新しく
そして、イモリの体から離れた皮は、長時間水の中に放置していると
脱いだ皮を体にまとわりつかせておくのは、物理的にも、衛生的にも良くなさそうです。
ということで、割り箸で、
水が汚れたり、環境が何度も変わることがストレスだったのでしょうか。
しかし、水はなかなか綺麗にならないし、脱皮もうまくいかないしで、飼い主はずっとハラハラです。
今まで、こんなことはなかったのに……。
しかし、とりあえず今は、イモリちゃん、落ち着いております。
今は、砂利を抜いてみるというやり方を試しているのですが、現在のところは、水がすぐに白く濁るという現象は起こっていません。
どうやら、数年使い続けていた砂利が原因の一つだったようです。
近々、新しい砂利を買ってくるからねー。
それか、砂利なしで飼育してみようかしら。
ただ、そうすると、糞が砂利の隙間に入り込まずに舞い上がるので、水替えの回数を増やす必要があるのです。
うちの子、水替えは嫌いだからなぁ……。
うーん、考え中。
ひとまず、今の状態で落ち着くことを祈ります。
しかし、やっぱりうちの子は、新しいお水がお気に召さないよう。
水を換えた昨晩から今も、ずっと陸に上がってむすっとしておられます。
――まあ、イモリちゃんの表情は私にもよく分からないのですが、そう見えるのです。
ええ、つまり、イモリちゃんはほぼ一日中陸に上がっているわけですが。
干からびる心配はありません。
なぜかって。
イモリちゃんは陸の上から、しっぽだけを水に下ろして、水分補給をしているからです。
しっぽの表面から全身のお肌に水が染みていくのか、しっぽの皮膚から吸収した水を使って粘液を作り、それを全身の皮膚から分泌して湿らせているのか。
原理はどちらなのか、どちらもなのか、他にあるのか、他にもあるのか、これも分かりませんが、イモリちゃんは体の一部が水に浸かっていれば、お肌を頭の先まで、つやつや、ぬめぬめ、しっとりと、潤すことができるようなのです。
しかし、しっぽを水に浸けておくだけで水分補給をするなんて、ズボラというか、天才的というか……。
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