【完結】豪華客船の中で繰り広げられる、謎と恐怖のミステリー!果たして、名探偵コンビは秘宝の真相を暴けるのか?

湊 マチ

第1話 出発の前日

「わぁ、すごい!」涼介の歓声が私の耳に届く。まるで小学生の遠足のようにはしゃぐ彼を見て、思わず笑みがこぼれる。目の前には、白亜の豪華客船「スターオーシャン号」。その威容はまさに海の上の城だ。


「これが今回の舞台か……。豪華客船なんて、ドラマの中だけかと思ってたよ。」涼介は目を輝かせている。


「うん、確かに豪華ね。さて、荷物を部屋に置いて船内を見て回りましょう。」私は彼に微笑みながら応じた。


涼介はスキップでもしそうな勢いで船内へと進んでいく。私はその後をゆっくりと追いかけた。


船内に入ると、目の前に広がる豪華なエントランスホールが目に飛び込んできた。大理石の床、きらめくシャンデリア、そして壁一面に広がる壮大な絵画。思わず「おぉ……」と感嘆の声が漏れた。


「香織、見て見て!このシャンデリア、きっとダイヤモンドの粒がいっぱい入ってるんじゃないかな!」涼介は大興奮だ。


「それはちょっと大げさじゃない?」私はクスリと笑った。


「いや、ほんとだって!見て、この輝き!」涼介はシャンデリアの下でくるくると回りながら言った。


「まぁ、確かに綺麗だけど、私たちには他にも見るべきものがたくさんあるわ。」私は涼介を落ち着かせるために言った。


エントランスホールを抜けると、私たちの前には船内の案内図が広がっていた。豪華なダイニングルーム、広々としたラウンジ、きらびやかなカジノ、そして最新の映画が楽しめるシアター……。どこもかしこも贅を尽くした施設が並んでいる。


「どこから見ようか?」涼介が興奮気味に尋ねる。


「まずは部屋に荷物を置きましょう。その後でゆっくり回ることにしましょう。」私はそう提案し、部屋の番号を確認した。


私たちの部屋は船の中でも特に眺めの良い場所にあった。大きな窓からは青い海が一望でき、ふかふかのベッドが二つ並んでいる。


「やっぱり豪華客船ってすごいなぁ。ベッドがこんなにふかふかなんて!」涼介は早速ベッドにダイブした。


「涼介、少しは落ち着きなさいよ。」私は笑いながら彼を見た。


「だって、こんな経験滅多にないんだから!」彼はベッドの上でごろごろと転がりながら言った。


「確かにそうね。でも、忘れないで。私たちはここに休暇に来たんじゃないのよ。」私は彼にそう言いつつも、この瞬間を少しだけ楽しむことにした。


部屋を出て、再び船内を見て回る。ダイニングルームではシェフたちが腕を振るっている姿が見え、ラウンジではバーテンダーがカクテルを作る音が心地よく響く。カジノではスロットマシンの音が鳴り響き、シアターでは新作映画のポスターが目を引く。


「ここ、ずっと住みたくなるね!」涼介は目を輝かせながら言った。


「確かにね。でも、私たちには休暇というわけにはいかないわ。」私は彼にそう言いつつも、楽しそうな涼介の姿に微笑んだ。


「うん、そうだよね。でも、ちょっとくらい楽しんでもいいよね?」涼介はウィンクしながら言った。


「まぁ、少しだけならね。」私は笑って彼に答えた。


エントランスホールに戻ると、招待客たちが次々と集まってきた。著名な顔ぶれが揃い、それぞれが華やかな衣装に身を包んでいる。作家や評論家、映画監督など、著名人がこのクルーズに招待されているのだ。


「香織、あの人見てみて。あの映画監督、有名な作品をいくつも作ってるんだよ!」涼介が指さす先には、有名な映画監督・天野秀一が立っていた。


「確かに興味深いわね。彼の映画にはいつも驚かされるわ。」私は軽く微笑んで、天野監督に挨拶をした。


その後、船が港を離れ、クルーズが正式に始まる。香織と涼介は船内のイベントやオークションの準備を見て回りながら、招待客たちとの挨拶を続ける。


「香織、明日は何しようか?」涼介が嬉しそうに聞いてきた。


「まずは、乗客の中に面白い人がいないか調べることにしましょう。」私はそう言いながら、明日の予定を考えていた。


「了解!探偵コンビの大活躍だね!」涼介は元気に答えた。


私はそんな涼介を見ながら、このクルーズがただの楽しい旅では終わらないことを感じていた。


次回、「謎が深まるスターオーシャン号」。私たちの捜査はさらなる展開を迎える。お楽しみに!

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