レーテー川の向こう岸より

上野間二万人

序章 終わり、始まる物語

エピローグ、あるいはプロローグのようなもの

 レーテーと呼ばれる川がある。

 忘却の女神の名を冠するその川を渡ると、すべての記憶をなくしてしまうらしい。

 川を渡ること、そして、記憶をなくすこと。

 天秤にかけなくともどちらを選ぶかは明白だろう。

 たとえ向こう岸に、自分の求めているものがあったとしても。

 たとえそれが、渡らなければ二度と手に入らないものだとしても_______

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