/* おしのれい */

黒糖はるる

第一章

第1話 無戯星ルゥラ・1


【自己紹介】迷える星々の導き手だよ【無戯星むぎぼしルゥラ】

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〇Rule ch./無戯星ルゥラ

 チャンネル登録者数■■■人

 ■■回視聴 20■■/■■/■■



 漆黒を背景に一人の二次元少女が映し出される。

 その全身はグレースケールを基調としており、赤と青の虹彩異色オッドアイとドレスに刻まれた虹色レインボーが異彩を放つ。

 頬の電子回路模様、銀色に輝くヘッドホン、そして集積回路ICチップ型のブローチ。各部位には近未来的な機械マシン、あるいはサイバー空間を彷彿ほうふつとさせる意匠が取り入れられている。

 身じろぎする度に走るブロックノイズ。

 少女は語り始める。


『見つけてくれてありがとう』


『ボクの名前は無戯星ルゥラ』


『電脳世界の深淵、渦巻く混沌より生まれたんだ』


『孤高にして唯一無二、何ものにも縛られない個人勢』


『流行り廃りに目もくれず』


『配信するのはお悩み相談ただ一つ』


『君達迷える星々を、導くことがボクの使命』


『どんな悩みも大歓迎さ』


『ボクに全てを打ち明けてほしい』


『憤怒も悲哀も絶望も、余さずこの身で受け入れよう』


『この出会いこそ救済の第一歩』


『未来は必ず切り拓かれる』


『絶対に後悔させないよ』


『チャンネル登録、待っているからね』


 くすりとささやくような微笑を漏らし、彼女の口元は三日月に歪む。

 暗転。

 わずか三十秒の動画が終了する。

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