魔法使いの初恋

 魔法使いとは因果な稼業だ。何が因果って、魔法使いは、種族・出身・家名・卒業校・師匠で人生が変わる。自力でできることっていえば、結婚して家名を変えるぐらいだ。とにかく、良い家柄の嫁を手に入れるには、金だ。


 俺は、魔法使いのなかでも、3K(暗い・怖い・かっこ悪い)と言われるダンジョン採掘で働くことにした。ダンジョンはキツイが金になる。レアな鉱石が出れば、人生一発逆転なんてこともある。俺は採掘隊とはぐれ、下層に迷い込んだ。


そこには、デカいドラゴンが。人生終了を覚悟した。だがなんだか様子が変だ。「なぁ、オラ旦那っ子欲しいんだ。地上で探してくんロ」と。俺はドラゴンに小さくなる魔法をかけて、地上に連れ帰った。


 俺だって独身なのに。地上でもとのサイズに戻る魔法をかけたつもりが、習ったばかりの呪いを解く魔法をかけてしまった。ドラゴンは人間に。名家でも美人でもないが、どうも気になる。これが恋ってやつなんだなと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る