恋は盲目って、犬に言う
初めて好きな人ができた。電車で席を譲ってもらったことがきっかけだ。たった一回のことだけど。別の日、横断歩道で彼と再会した。ニオイでわかった。
盲導犬のタローも(電車の彼だ)と教えてくれた。タローに頼んで彼を尾行した。着いたところは超能力セミナーの会場だった。通路側にタローを置き、彼の隣に座った。気づかれてはいないようだ。
私は講師の意識をハッキングした。脈略もなく「ペアになるように」と言わせた。彼に「よろしくお願いいたします」と伝え、自然とペアになれた。タローに合図を送ったが、タローは彼の姿が見えてないようだった。
心の中でタローに聞いたら、
(あの男、実はさぁ。姿かたちが見えないんだよ)
(それは透明人間なのかもね、聞いたことあるよ)
(あの男でいいのかよ、見えないんだぜ)
(いいの恋は盲目だもの)
(でもな、愛って見たくないモノも見るってことなんだぜ)
「見えるって素敵なことよ」
と私は思わずつぶやいた。
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