第4話 召喚された勇者達

〜Side斎藤光一〜

 光一は自分の部屋へと案内された。

「はぁ大変なことになっちゃったな。いきなり勇者だなんて。まだあんまり実感わかないや」

そんなことをぼやいてはいるが、実際のところかなり浮かれていた。なぜなら、光一は普段から異世界物の小説を、読み漁っていたので正直なところ今の状況は正に夢のシュチュエーションなのだ。

「まぁ困ってる人達のことを見捨てるはちょっと気が引けるし魔王も皆で協力すればなんとかなるでしょ。ゲームとかでも勇者はいつも魔王に勝ってるし」

光一は何処かゲーム感覚で楽観的に考えていた。戦争で自分や友達が死ぬかもしれないなど微塵も考えていない。

「そういえば、ミハイルさんは大丈夫なのかな?急に異世界に飛ばされて僕たちと違って知り合いも一人もいない状況で不安も大きいだろうな」

そんな杞憂とも言える心配をしていた。

「それでも人を助けるために協力してくれるんだ。でもこれから仲間になるわけだし色々サポートしてあげないと」

そんなことを考えながら光一はベッドに横になり、眠りにつくのだった。


〜Side寺島龍之介〜

「おー!やっば!部屋めちゃくちゃ豪華じゃん!やっぱ王様の城なだけあっていいとこ住んでんだな〜」

「それでは私は失礼致します。何かあればこちらのベルでお呼び下さい」

「おう!ありがとな!」

こうして侍女が下がると

「ベッドもでけーな。てかめっちゃふかふかじゃねーか」

こつちは光一よりも重症だった。元々頭が足りてない上に普通ならありえない現象に興奮しており、歯止めが効かなくなっていた。

「いやーこんなに高待遇なら魔王倒した後こっちに移り住むのもありだな。魔王を倒した俺たちは英雄扱いされるだろうしぜってーちやほやされんだろ。まぁ日本に未練ゼロかっつーとそういうわけじゃねーけど帰れねーならしかたねーしな」

と、完全に取らぬ狸の皮算用なのだが龍之介の中では既に魔王を倒した事になっており、その先の事まで考えていた。

「ま、明日から訓練なんだろ?楽勝だろうけど取り敢えず今日はもう寝るか!」

と、すぐにいびきを掻きながら寝始めた。


〜Side小鳥遊雫〜

「ふぅ、疲れた。というか驚きのほうが大きいけど」

雫はベッドに倒れ込む。

「やっぱり少し不安ね。急に魔王と戦えだなんて。本当に大丈夫かしら」

本来ならば雫は普段暴走しがちな光一と龍之介のストッパーの役割をしているのだが今回は止める間もなく光一が了承してしまったので断れる雰囲気ではなくなってしまい、光一に流される形で同意してしまったのだ。

「ん?あれはお風呂かしら?助かるわね。正直シャワーだけでも浴びたいとは思っていたし、取り敢えず一度入って気持ちを落ちつけましょ」

シャワーを浴び、寝間着に着替えると、「コンコン」と扉が叩かれる音がした。

「はーい今開けまーす」

雫が扉を開けるとそこには、

「あら?千晶ちゃんじゃない。どうしたの?」

そこには寝間着姿の千晶が立っていた。


〜Side斎藤千晶〜

部屋に案内された千晶は不安だった。正直兄にも危ないことはあまりしてほしく無かったし自分だって本当は戦いたくなんてない。しかし、兄は異世界の人の為に戦うと言っている。

それならせめて兄のことを近くで支えよう、そう考えたのだ。それでもやはり怖いものは怖いのだ。

「少し前まではこの先も4人で過ごす何の変哲もない平凡な毎日が続くとおもっていたのに…」

「お父さん…、お母さん…」

広い部屋に一人静かな空間にいることで孤独に感じ益々不安になってくる。

「一人でいたらどんどん暗い気持ちになっちゃうな…雫さんに話、聞いてもらおう…」

こうして千晶は雫の部屋へ向かうのだった。



ーあとがきー

はじめまして!この度初めて投稿させていただきました。

読者の皆さんここまで読んでいただきありがとうございます!

ここで一つ謝罪させて頂きたいのですが、斎藤千晶の年齢なのですが当初16歳だったのですが物語の構成上13歳に変更しました。ご迷惑おかけします。



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