我が連邦、別世界に飛ばされる

阿部久城守谷

プロローグ

プロローグⅠ - 異世界に於ける某連邦

注釈:異世界とゲーム戦記 ザ・リバーシング・タイムズを添削、新たに改変したものとする

Inspired from RIGHT's ゲームの軍隊と異世界攻略 (2014 - 2016)


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現実世界とはまた別の時間軸を辿った惑星地球 ―― かの国はユーレイン連邦国と呼称されていた。



植民地主義が跋扈した時代、かの列強諸国を物量と国単体で有する先進技術で圧倒した上で対等な交渉を行い更に自らも列強の仲間入りを果たしその強さを誇示していた連邦。


第一次世界大戦を通し第二次世界大戦では時を経て強化された先進的な技術やその国力を武器に連合と枢軸双方に肩入れし、陰では永世中立国スイスと共に武器商人や死の商人と揶揄されつつも円満に大戦を終結に持ち込んだ立役者となった連邦。


第二次世界大戦後すぐに発生した冷戦、長らく続いたその時期ではソビエト陣営とNATO陣営両方の架け橋となり全力で核戦争の火種を揉み消し、現実世界ではアメリカ合衆国が「世界の警察」と呼ばれていた一方でこちらでは世界の警察となっていた連邦。


1989年、ソビエト連邦から衛星国群が独立を遂げ残ったロシアがソビエト・ロシア連邦として新たに再スタート。略してソシア連邦と呼ばれたその大国の発起宣言から始まった新冷戦、そこでもユーレイン連邦はPKO活動を含んだ世界中の火種に関与し、世界が冠たる「世界の警察」として代表的な国家のトップに君臨していた連邦。


2000年代後半から頻発した中東アフリカ方面や東欧方面での局地紛争、2010年代に入り発生した第五次中東戦争や第二次日中戦争、2020年代最初の年に起きた大戦争にして国際秩序からソシア連邦が離脱した原因 ―― ソシア・ウクライナ戦争が起きた際もユーレイン連邦は国際秩序の警察機構としてその国力と武力を背景に戦場を闊歩していた。


しかし第五次中東戦争終結後間も無く、ユーレイン連邦国はかつて平和維持を行った国 ―― 大韓民国と対決し・・・・地球上から消滅した。

約二世紀半のも間歴史に介在し続けた超大国 ―― ユーレイン連邦国が消滅した後の惑星地球はどうなったかは敢えて言述しないでおこう。


しかし、当のユーレイン連邦国はと言うと・・・・・・・・。



―――――――――――――――――



[とある世界、どこかの紛争地帯にて]

〔午後の昼下がり〕



惑星地球とは少し細部が異なるファンタジー乙な世界、そんな世界の片隅にも己の力と力をぶつけ合っているいずこの中東国家の如く内戦 ―― いや局地戦争が起きている場所のある国。

その名はベルート社会主義共和国、かつては隣国を合わせて一つの共和国として国家を成していたが案の定クーデターやら内紛などが事有る事に発生し、ついには思想の相違とそれを端に発した対立で解体した国の片割れである。


そんな片割れの中では、どっかのややこしいアフリカ国家の様な ―― 軍閥や武装組織などがひしめき合うなんともカオスな状態になっていた。

そんな国のある都市、真昼間の下がりにも関わらず小規模の武装集団とやっけになった軍隊崩れの集団がドンパチしていた。


「ちっ!奴らどんだけ出てくるつもりだ?!」

「知るかよ!」


半ば瓦礫の山と化した市街地の中で未だその姿を留めている石造建築に立て篭りながら抵抗を続ける武装集団、その二階部分では小火器を持った武装集団のリーダーとその副官が攻撃を食らいつつ状況を愚痴っていた。

建築に立て籠もる武装集団が小銃や軽機関銃などの小火器オンリーで対抗しているのに比べ、某軍隊崩れは少数ながら装軌戦闘車両を保有しており。それらと重火器を併用しボコスカと建物に攻撃を加えていた。


「どうするんですか隊長!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

外の車両から加えられた砲撃のせいで粉塵まみれになった副官が隊長と呼ばれるリーダー格の男にそう叫んだ。


「ユーレインの奴らに救援を求める。」

「!!正気ですか、奴らに・・・・。」

しばらくの沈黙の後そう冷静に言った武装集団のリーダーに、その副官は詰め寄る様にそう叫んだ。


「しかたがないんだヨーゼフ、奴らなら今この状況を何とかできる。」

「くっ・・・・了解しました、おい!!通信手。」

「はっ!」

「近くにいるユーレイン軍に救援を求める様に、国際共通周波数で言ってくれ。」

「はっ、了解しました。」

少々武装集団のリーダーに対し悶着を起こした副官ヨーゼフは何か決心をしたように近くに居た通信手にそう下令し、通信手は己の定位置に戻り無線機に向かい救援を求め始めた。


しばらくすると、通信手はニコニコ顔で戻ってきた。

「近くに居るユーレイン軍部隊がこちらに向かってくれるそうです。」

「わかった・・・通信手、奴らは他に何か言っていなかったか?」

「目標に向かって指示できる発煙弾を投げ込めと。」

「・・・・了解した。」

副官ヨーゼフはそう頷くと横に居た集団のリーダーに同じ事を報告した、

「わかった、発煙弾をやってくれ。」

リーダーもとい隊長がそう告げると下の階で耐えていた分隊に同じ事が伝達され某分隊がスプリング式投射機を用い白色の発煙弾を撃ち込んだ。

発煙弾という事もあり軍隊崩れらは混乱し、しばらく攻撃が止んだ。

「よし、今のうちに状況確認を・・・・。」

「隊長、ユーレイン軍です!」

「何!?」

するとこんな世界に不釣合いな、空飛ぶ軍神ことフェアチャイルド A-10C 攻撃機2機が低空で接近してきた。


キイイィィーーーーン

イィィーーン


そして機首のGAU-8/A 30mmバルカン砲を回転させ、寸分の狂いもなく撃ち出した。


グゴゴゴォォーーーーーーン

グゴォーーン

ドドドドドン

ドドドドドン


発射音より速く撃ち出された30x173mm 対装甲用焼夷タングステン徹甲弾PGU-14/Bは、軍隊某が反応するよりも先に着弾し文字通り彼らをボコボコにした。

さっきまで執念に砲撃をしていた装甲車両はエメンタールチーズの様になり、一部の兵士の躯は四散しほとんどの躯は一部欠損しているのが見て取れた。


キイイィーーン

イーーン


そしてターボファンエンジンを鳴らし、A-10Cは我が物顔で飛び去っていった。

「すごい・・・。」

「流石はユーレインだ・・・。」


するとそんな彼らをよそに、OH-58D カイオワ・ウォーリアー 2機と カモフ Ka-60 カサートカ 2機の4機が低空飛行でやって来て、ロープが蹴り出されると幾人のも灰色の迷彩服の軍人達が地上に降りてきた。

一部は人間の形をしていない ―― 所詮亜人と呼ばれる種族 ―― のも見て取れた。


「ロット義兵団の皆さんですね、大丈夫ですか?」

その軍人集団は隊長達が立て篭もる半壊した建物の近くまで近付き、そう声をかけた。

「ああ・・・・・ありがとう、何と言えばいいのやら・・・。」

少したじろぎつつ出て来た、隊長率いる武装集団改めロット義兵団。その指揮官である隊長は敬礼しそう言った。

「いや、我々も貴人方に会う必要がありましたから。」

「?どういう意味だ?」

「このセクターに居る貴人方および我々が敵としている部隊の制圧はここが最後、で貴人方ロット義兵団にこのセクター総括を依頼する為に来ました。」

「・・・・あんた、俺達の事分かるだろ?」

隊長は少々顔を歪め、そう言った。

「ですが、その前に支援ですね。」


・・・・惑星地球最強の国家にして世界の警察、ユーレイン連邦国は飛ばされた世界でも似たような事をしていた。

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