デート?①
神谷さんと約束をした土曜日になり、身支度を済ませ、公園へ向かう。
時間は9時半で、約束の30分前だ。
公園に着くと、神谷さんの姿がそこにはあった。
何時から待っていたのだろうか。
少し驚かそうと思い立ち、そーっと近づく。
肩を叩き、振り向きざまに私の人差し指が神谷さんの頬に軽く刺さる。
「わ、び、びっくりしたぁ」
「ごめんなさい、つい、驚かせたくなって」
思ったより驚かれた為、素直に謝ることにした。
それにしても、驚かせがいがある人だ。
「びっくりしたけどいいよ。というか・・・恵ちゃん来るの早いね。まだ30分前なのに。」
いやいや、30分前より前に来てる人が何を言っているんだと思うが、多分きっと楽しみだったのかななんて思うと気持ちが分からなくもない。
「神谷さんだってそれより早く来てますよね。そんなに楽しみだったんですか?」
「楽しみだよ。だって、一緒にお出かけとか、嬉しいから。
恵ちゃんも楽しみにしててくれた?」
こちらの顔を覗く神谷さんは少し心配そうな顔をしていた。
「そんな顔しないでください。私も、楽しみだったので。
誰かと一緒に出掛けるのも久しぶりだし」
「それなら良かったぁ。じゃあ、少し早いけど行こうか」
どこに行くかなど聞いていないが・・・場所を知らずに出かけるというのもいいのかもしれない。
「お腹空いてない?」
時間は10時を過ぎた所であり、言われてみれば確かに少しお腹が空いた。
「少し、空いたかも、です」
じゃあ少しお茶しようかと自分1人では入る事のないカフェでお茶をする事になった。おしゃれすぎて1人だと入る勇気のない店だったので、なんだか少し楽しみだ。
「う、なんか全部高い・・・さすがおしゃれなだけある・・・」
メニューを見ると1番安いジュースが900円と自分には高いものばかりだった。
これに何か食べるとなるといくらになるのだろうか・・・
「じゃあ・・・オレンジジュースで」
メニューの中で一番安いものを選ぶ。
「じゃあ私はコーヒーと、この・・・パンケーキ1つ」
オレンジジュースなんて子供っぽいと思われただろうか。
コーヒーにすれば良かったかもしれない。苦手だけど。
お待たせしましたと店員さんが商品をテーブルに持ってき、こちらのパンケーキは?と聞かれると、神谷さんは私の前に置くように店員さんへ話をした。
「え、私は頼んでないですよ」
「もしかして、パンケーキは嫌いだったかな?ここは私が出すから、もしよかったら食べてね。あ、でも嫌いだったら私が食べるから・・・!」
「嫌いじゃなくてむしろ好きですけど・・・神谷さんも食べませんか?半分ずつ」
流石に全部は多いのと、自分だけ食べるのも気が引けるため、提案をしてみる。
「嫌いじゃなくてよかった・・・じゃあ私ももらうね」
あーんしたら顔を真っ赤にしそうだな。まぁ、そんな恥ずかしいことはできないけど。
「あの、その・・・恵ちゃん?見られてると恥ずかしいんだけど・・・」
どうやら無意識に見ていたようで、顔を真っ赤にした神谷さんがうぅと唸っている。
「あ、ごめんなさい。からかいがいがあるなぁと思ってたらいつの間にか見てました。」
あまりからかわないでと怒られてしまった。面白いのに。
パンケーキを食べ、飲み物を飲み、一息ついた後、カフェを出て次の場所へ行くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます