召喚されたら攻撃力が無さすぎて即追放された俺が最強割合ダメージ持ちだということを【世界】はまだ知らない。

ななつき

第0話 異世界転移

 教室の床が光ったと思ったら次の瞬間見たことない空間に俺はいた。

 すると目の前に何かの選択肢が現れる。


【エクス・バンネット】【インモラル・ローグ】【アレク・ロード】


 3つ名前の選択肢があった。俺は何となくだがと言われている気がしたので、無意識的に【アレク・ロード】を選択する。


 すると次に容姿が浮かび上がってきた。

 くるくるとディスプレイのようなものの中に入っている整った顔立ちのキャラクターが居る。数は3つ。


 ……何となくゲームっぽさを感じるな。


 まあ良いや。俺はその容姿を覗き込む。

【①】……整った顔立ち、所謂イケメン主人公みたいな見た目だ。瞳の色は赤。金髪と赤目と言う何処ぞの英雄王みたいな感じを醸し出している。

 骨格は1m80cmと、本来の俺よりも大体10cmでかい。

 ……こんなマッスルイケメンに産まれたかったと俺は思った。


【②】……さっきのより少し塩顔ではあるものの、ピュアな顔立ちだった。どちらかと言うと可愛い系男子って感じ?瞳の色は紫で、髪色は白色。なんともよく見るセットだと俺は思った。

 骨格は165cmとさっきより小柄ではあるが、顔も相まってとても良い雰囲気を醸し出している。

 ……まあ悪くは無いが、別に俺の性格にこんな見た目は合わない。


【③】……地味。顔のパーツは均等に割り振られているものの、驚く程に地味だった。アセットと言うか基礎顔と言うか。髪は黒髪、瞳の色は澄んだ青色。

 骨格は170cm。まあ平均的な日本人男子と同じくらいか。ただあまりにもモブ、主役にはなれない顔をしていた。

 ……なるほど。


【①】【②】【③】とそれそれ適当に見たあと、俺は改めて今見た物の中からひとつを選ぶ事にした。と言うかと急かされている気がして仕方なかったのだ。


 なので俺は、を選んだ。

 何故かと言うと俺はただ単に、この瞳の色が気に入ったからと言うだけだ。


 すると足元が光り始め……そして、聞きなれた声が沢山する所に俺はいたのであった。


 ◇


「ようこそお越しくださいました異世界からの来訪者殿!!」


 目を開けた途端、そんな声が耳に入ってくる。どこからかと思って辺りを見回すと……あまりにも整いすぎた顔立ちの奴らがうじゃうじゃいた。


「……あ、いたじゃん」


 それらを得体の知れないものを見るような目で俺は見ながら、声の主を探す。するとその姿は割と直ぐに見つけられた。


 そいつは流暢な日本語をペラペラ喋りながら、自分達の世界がいかに危機的状況であるか、そして俺たちを異世界から呼び出した理由などを熱く語っていた、らしい。


 ……何故らしい、と言ったかと言うとそれはもちろん俺は眠過ぎて半分ぐらい聞いていなかったからである。

 苦手なんですよね、校長先生の長話とかあー言った系列の奴。


 で、どうやらそんな俺に気がついたらしい隣に座っていた整った顔立ちの女が小腹をつついてくる。


「(ちょっとちょっと!!アンタこんな状況でよう寝れるなぁ?!……剣持った奴らもおるっちゅうに

 ……何アンタ寝とるんや!?)」


 小声で耳元で喋られた。俺はゾクッとして目を覚ます。すると確かに騎士達の一人がこっちを見ていた。なるほど殺気って奴か危ねー。


 俺は隣で自分を起こしてくれたやつに謝意を述べる。

「(すまん、助かった……ところでお前は誰だ? 俺は君みたいな整った美人を知らんのだが?)」


「(良いってことや! んな事よりあたしやであたし!……神田 いつき や!)」


「(まじでいつきなの? まるで面影がねぇけど?)」


 そう言ってから俺はかつての いつき の姿を思い出す。

 神田 いつき ……俺と同じ高校の二年生と言うかクラスメイト。関西出身で喋り方は兵庫県寄りの関西弁だ。

 あっちではやや明るめの茶髪をポニテにして、ピンク色の瞳をした、明るく爽快な女の子だ。ちなみに身長は162cm、結構デカめである。


 それが今目の前では、金髪にポニーテールで瞳の色はピンク色……そこは変わらないのね。

 身長もおそらく変化していないのだろう。だがあまりにも顔立ちが変化しすぎだと思う。


 モデルかと見間違えるほどに美人美形。しかも彼女の元々の性格と合わせて途方もなく魅力的な女性になってしまっていた。まあ俺は興味無いんだが。


「(そっかいつきさんはそんな風にしたんだ。……あれ俺とよくわかったねそう言えば)」


「(何となくや。あんたの出すオーラっちゅうんかな?それがどーにも分かりやすかったんや……まあアンタにしても地味にし過ぎやろ。前と何も変わらへんや無いかい!)」


「(そうか?あまり目立ちたくなかったしこれでいいかと思っていたんだけど。……にしてもここは本当に異世界なんだな)」


「(まあせやな、最初聞いた時は何言うとるんやとは思ったけどな。なんかガチっぽいしまあ顔も肌質も全部変わっとるからま、事実なんちゃうんか?)」


 と、俺たちが話を聞いていないことに気がついたのか、王様がコホン。とわざとらしく咳払いをした。ので俺たちは慌てて王様のどうでも良さそうな話に耳を戻す。


 ……にしても退屈だ。と言うかそんな話すことある?ってレベルでずっと王様話してるじゃん。

 なんか今話逸れたし、本筋からどんどん逸れてるし……あ、気がついた。

 ってまだ自分語り始めるんか?

 ……嘘だろ流石に15分近くどうでも良さげな話をしてくる校長先生型の人間が異世界にもいるとか嫌すぎるんだが。


 まあその後10分程追加で話をした後、王様はお姫様?かな見た目的に。

 それに交代したのであった。


 ◇


「それでは皆様、お待たせいたしましたわ!私はここ【スプリング共和国】の第一王女【スプリング・クロエ・フリオーソ】ですわ!……皆様異世界人の管理と選別を任されておりますの。どうぞ本日はよろしくお願いいたしますわ!」


 真っピンクの化身が現れた。髪から瞳まで全部真っピンク。まあ所々に緑がアクセントで入ってはいるが、まあ目に刺激がすごい人だと俺は思った。


「……あの、選別って何をやるんですか?」


 どうやらクラスメイトのひとりがそんなことを尋ねた。案外勇気ある人がいるものだなぁ……王女とか絶対怖いじゃん。


「そこの方、お名前を告げてくださいませ?」


「え、えっと小林……」


「違いますわ。そんなでは無くて、この世界で生きていくための名前の方ですわ」


「……【リクセン・ガイル】です。……」


「ではリクセン殿、良い質問をなさいますわね。……当然ではありますが、皆様は我々の国の貴重な戦力でございます。もちろん魔物や魔族といった化け物退治から、騎士達のお手伝いまで……様々な事に携わって頂く運びとなりますわ!


 ですから当然ではございますが、自分のや……それからこの世界に降り立った際に獲得している……まあ私たちはギフト……等と呼ぶそれを確認する作業を行うのです」


「……そのギフトってのはなんだ?」


「貴方は?自分のお名前を名乗りあげてから言ってくださいませんこと?」


「ちっ、……【リグゼラ・グルム】だ!……そのギフトってのはどういうものだ?」


「リグゼラ様、それはもちろん……この世界をより楽に生きるための特別な力……そういったものですわ……そしてそれは人によって強さが異なります。それこそ山を破壊できるほどの強力なギフトもあれば、何の役に立つのか分からないギフトもございますわね」


「……つまりチート能力を持ってる可能性もあるのか」


「チート?とやらは何かは存じ上げませんが」


 だがその言葉に即座に男性達が反応を示した。

 まあ歓喜の表情で、ではあるが。


 要は異世界転移からのチート無双、そういったものをみんなは期待しているのだろう。早とちりしすぎてそのうちの一人は興奮からか鼻息荒くヨダレまで垂らしていた。

 えぇ……怖何あの人たち。


「……すみません、【ランカ・リリ】と申しますが……そのギフトというのはどうやって確かめるのでしょうか?何か装置があるとか……それこそステータスオープンと言うとかでしょうか?」


「……名乗っても構いませんが、喋ってどうぞと言うまでは喋らないでいただきたいのですが。まあいいでしょう。……やり方は至って簡単……と言うかこの後それをするために皆様を案内しようと思っていたところなのですわ」


 不遜な笑みを浮かべて王女は歩き出した。それに合わせて俺たちはついて行く。


 なんか昔言ったUS○のハリー○ッターエリアの中ってこんな感じだったよなぁ、と俺は思いながら進む。




















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