第八十話 ベストリア伯爵を確保
屋敷の中では、案の定ベストリア伯爵兵が僕たちを待ちかまえていた。
でも、いちいち相手にしてられないので、ここは強行突破です。
「魔力を抑えたサンダーバレットを放ちます」
「ナオ、私も一緒にやるわ」
シュイーン、ズドドドーン。
「「「ギャー!」」」
僕とエミリーさん、そしてスラちゃんが一斉にサンダーバレットを連射します。
痺れて動けなくなる程度だけど、効果は抜群です。
動けなくなったベストリア伯爵領兵は、次々と軍の兵によって拘束されていきます。
その間も、探索魔法を使って周囲を調べます。
すると、執務室っぽいところに人が集まっているのを発見しました。
他の部屋を開けて確認しても肝心のベストリア伯爵がいなかったので、間違いなく反応のあった部屋にいるでしょう。
ガチャガチャガチャ。
「殿下、やはり鍵がかかっております」
「この部屋に、何かあるのは間違いないな。スラちゃん、やってくれ」
僕の頭の上に乗っていたスラちゃんが、ヘンリーさんに敬礼のポーズをしました。
そして、またもや鍵穴に触手を入れてガチャガチャとし始めました。
ガチャガチャ、ガチャ!
凄いなあ、数秒で鍵を開けちゃったよ。
スラちゃんに開けられない鍵って、もしかしたらないのかもしれないね。
そして、近衛騎士が念の為に魔法障壁を張りながらドアを開けました。
ガチャ。
シュイーン、ズドドドーン。
バシン、バシン!
部屋から魔力が集まっている反応があったんだけど、予想通り相手側が魔法攻撃を放ってきました。
でも、焦っているのか大した威力でもないし、魔法障壁を張らなくても簡単に避けられたかも。
その間に、スラちゃんがすすすっと、音もなく相手に近づきました。
シュイーン、バリバリバリ!
「「「ギャー!」」」
強力なエリアスタンを使って、まとめて相手をノックアウトさせます。
これで、攻撃していた人は全員倒したけど、肝心のベストリア伯爵はどこに行ったのだろうか?
すると、スラちゃんが床に倒れている人をちょんちょんと触手で指していました。
「あばばばば……」
「スラちゃんがまとめて倒した人の中に、ベストリア伯爵が混じっていたんだ」
「小柄だったから、兵の後ろに隠れていて気が付かなかったな」
ヘンリーさんも痺れて動かないベストリア伯爵を見て、思わず苦笑しています。
スラちゃんの電撃で髪の毛はチリチリになっちゃったけど、小柄なのを抜きにしても太った体格っていうのは悪い貴族の特徴なのかな。
ではでは、さっそく鑑定を行いましょう。
シュイーン、ぴかー。
「ヘンリーさん、間違いなくベストリア伯爵です。しかも、邪神教の幹部とも表情されています」
「これで確定だな。軍の施設に連行して厳重に監視するように。明日朝、王都に運ぶ」
「「「はっ」」」
「あばばばば……」
ベストリア伯爵は、痺れたまま拘束されて担架に乗せられた。
そして、家宅捜索が始まりました。
「これは凄いわね。次々と怪しい書類が出てくるわ」
「どうして、怪しいって書類を後生大事に取っているのだろうか」
シンシアさんとメアリーさんも呆れるくらい、大量の不正に関する書類が出てきました。
中には、邪神教に関する書類もあります。
ヘンリーさんも、次々と通信用魔導具で王城に様々な情報を送っていました。
どうしよう、やる事が無くなっちゃったよ。
スラちゃんは、何気に書類探しを手伝っているんだよね。
すると、執務室に軍の兵と共に小さくなったドラちゃんが入ってきました。
「殿下、報告いたします。領内の軍のコントロールを確保いたしました」
「キュー」
「ご苦労。引き続き、警戒を怠らないように」
「はっ」
ようやく屋敷も落ち着きを取り戻したので、僕もホッと一安心です。
なので、僕はドラちゃんのお世話を始めました。
「ガツガツガツ」
「ドラちゃん、美味しい?」
「キュー!」
まだお昼前なのに何回も大きくなったから、ドラちゃんはまたもやお腹ペコペコになっちゃいました。
朝食と合わせて三回目の食事だけど、ドラちゃんは美味しそうにお肉にかぶりついていました。
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