物語の設定
ここでは本編を作るにあたって考えた設定の一部を紹介します。
【物語の日本の歴史】
‣1960年代~1970年代前半
高度経済成長期の終盤、この期間にかけて日本列島の10数か所に突如ダンジョンが出現。最初のダンジョン探検隊が結成され、地域社会や政府に混乱をもたらし、迅速な対応が求められた。
‣1970年代後半~1980年代
ダンジョンがある各自治体がダンジョンから採掘、発見される資源や宝物により急速に発展する。ダンジョン周辺にも新しい産業が生まれる。バブル期とも重なりダンジョン観光も全国的に活発化。
‣1990年代~2000年代前半
日本全体が「失われた20年」を経験する中、ダンジョンがある市は比較的安定した経済成長を遂げる。しかしながらダンジョン資源は徐々に枯渇し始め、先行きは不安な状態だった。ただ観光地としての役割は継続。
‣2000年代半ば~2010年代半ば
全国のダンジョンがある自治体で資源の枯渇により閉山する自治体もでてくる。観光地としても折からの不況により下火になり、ダンジョンがある自治体は大きな逆境に立たされる。そんな中インターネットの普及により、ダンジョンでのクエストやモンスター討伐を配信するダンジョン配信が大きなブームになる。
配信者たちはスリリングな探検やモンスターとの戦闘、希少なアイテムの発見を生放送し、視聴者数が急増。人気配信者は一躍スターとなり、大手企業のスポンサーシップやテレビ番組への出演も果たす。
このブームにより盛り返す自治体も多数出てくる。
‣2010年代後半~現在
配信の内容がマンネリ化し、視聴者数が減少、ダンジョン配信ブームが終了。同時に資源の枯渇でダンジョンを閉山する自治体も相次ぐ。反面、また観光やダンジョン配信に力を入れたことにより資源がほとんどなくても大きな収益をあげている自治体もある。
【備後市の歴史】
‣1970年代
ダンジョンが同市に出現する。
‣1980年代
多くの自治体がダンジョン観光に力を入れる中、備後市は他自治体に比べて豊富過ぎるダンジョン資源に依存し、ダンジョン観光事業を軽視する。
‣1990年代
他の自治体でダンジョン資源が枯渇していく様子をみた備後市は、ダンジョン産業と資源がある環境を保護するために厳格な保護政策や規制を行い始める。
‣2000年代~2010年代
備後市ではダンジョン配信ブームを軽視。特に規制は行わなかったが支援をしなかった。やがて、過剰にダンジョン配者が増えすぎたため規制に着手しようとするも増えすぎたために、法整備が間に合わず現在に至る。
‣2010年代後半~現在
ダンジョン資源の積極活用を政策に掲げる小橋市長が当選。しかし、市の貯金を猛烈に使いすぎてしまった。さらに本人も不祥事を立て続けに起こしたため、議会、市役所職員、市民から猛烈な反感を買い、志半ばで落選し、1期目で任期終了
【備後市で起こっている問題の数々】
・インフラ
ダンジョン資源による収入で、1980年代から1990年代にかけてインフラが整備されたが、2000年代以降の経済停滞により、維持管理が課題となっている。公共交通機関、道路網、インターネットインフラの老朽化が進んでいる。
・経済
若年層の流出:雇用機会の減少により若者が市外へ流出し、労働力不足と人口減少が進行。
中小企業の閉鎖:経済停滞と人口減少に伴い、地元の中小企業が次々と閉鎖。
・教育
学校の閉鎖と統合:少子化の影響で小中学校が統廃合されている。
教育の質の低下:教育予算の削減により、教育環境や設備の改善が進まず、教育の質が低下。
・社会福祉
介護施設の不足:高齢化率が39%に達しているため、介護施設や介護サービスの需要が急増しているが、供給が追いつかない。
医療サービスの負担増:医療機関が高齢者の医療費負担増に苦しんでいる。
・財政
収入減少と支出増加:収入が減少する一方で、高齢者福祉やインフラの維持管理費用が増加し、財政赤字が拡大。
依存財源の割合の増加:国や県からの補助金への依存度が高くなっており、自主財源の確保が難しい。
【備後市のデータ】
瀬戸内海に面した小さな市。
・人口:約6万人
・面積:約200平方キロメートル
・高齢化率:39%
・消滅可能性都市になっている。
・一年間の歳入金額約280億円
うち
自主財源:約101億円
依存財源:約179億円
依存財源のリスト
地方交付税交付金:55億円
国庫支出金:35億円
県支出金:23.8億円
地方債:15億円
ダンジョンモンスター対策交付金:50億円
※ 近隣の自治体に比較して税収は普通の水準である。しかし、税収の大半を国や県からの補助金に近隣の他自治体に比べて過剰に依存している状態が続いている。なお歳入金額は毎年減少傾向にある。
【議会のデータ】
市議会議員: 25名
県議会議員: 2名
市長の年収: 1200万円
市議会議員の年収: 700万円
【市長選の選挙結果】
有権者数:54,000人
投票者数:33,480人
投票率62%
高橋伸二
得票数: 14,190票(約42.4%)
・現職市長や既存の政治勢力に対する不満を抱える無党派層の票が集中したと考えられている。
・また現職市長を支援していたダンジョン探索業者組合や和木ゆず希を個人的に支援している人間がまとめて高橋に着いたことも大きい。
小栗山権三
得票数: 12,060票(約36.0%)
・小栗山三吉は長年市議会のドンとして君臨し、保守層から強い支持を得ていた。
・現職市長への反発票も彼に集まったが、予想外の高橋の出馬により票が分散した。
小橋義男
得票数: 7,230票(約21.6%)
・現職市長であるものの、市民からの支持は低かった。市政に対する不満が高く、有力な支援者が選挙中に離反したことが響いた。
・しかしながら、現職ということで行政に関する知識や経験を評価する一部の層からは一定の支持を得た。
【ダンジョン探索業者】
ダンジョン内で探索を中心とした業務を行う業者の総称。ダンジョン配信者(配信業者)もこの中に含まれる。
以下がその一部。
なお、備後市には配信、駆除、狩猟、資源採掘の4業者しかない。旅行業は発達しておらず、調査業者は国の委託を受けて市外からやってくる場合が大半。
ダンジョン配信業者
概要:
ダンジョン内での冒険やモンスター討伐、宝物の発見などをライブ配信し、視聴者に提供する業者。
主な収入源は視聴者からの投げ銭(スーパーチャット)、広告収入、スポンサー契約など。
仕事内容:
ライブ配信:ダンジョン内での探索をリアルタイムで配信し、視聴者と双方向のコミュニケーションを図る。
動画編集:ライブ配信のハイライトや重要なシーンを編集して動画としてアップロード。
視聴者対応:配信中やSNSでの視聴者からのコメントや質問に対応し、ファンとの関係を築く。
スポンサー契約:企業とのタイアップや商品レビューなど、スポンサーからの依頼を受けて活動。
イベント参加:ファンミーティングやオフラインイベントに参加し、視聴者との交流を深める。
ダンジョン狩猟業者
概要:
ダンジョン内で特定のモンスターを狩猟し、その素材などを民間企業や公的機関に提供して収入を得る業者。
モンスターの討伐に特化しており、素材の取引が主な収入源。
仕事内容:
モンスター討伐:市の依頼を受けて特定のモンスターを討伐し、その素材を収集。
素材取引:討伐したモンスターから得た素材を市場や取引所で売買。
ダンジョン駆除業者
概要:
ダンジョン内で特定のモンスターや害虫などを駆除し、ダンジョンの安全を保つ業者。
市からの定期的な安全管理業務の請負や、市や他の業者からの駆除依頼が主な収入源。
仕事内容:
モンスター駆除:ダンジョン内で害をなすモンスターや害虫を駆除。
防衛策の設置:ダンジョン内にトラップや防御設備を設置し、モンスターの侵入を防ぐ。
安全パトロール:定期的にダンジョン内を巡回し、安全を確認。
緊急対応:モンスターの暴走や急な侵入に対する緊急対応を行い、迅速に駆除。
報告書作成:駆除作業の詳細を報告書として提出し、市や依頼者に説明。
またトラップの解除などを請け負う事もある。
ダンジョン調査業者
概要:
ダンジョン内の地形やモンスター、生態系などを調査・研究する業者。
主に学術研究機関や政府機関からの依頼を受けて活動。
仕事内容:
地形調査:ダンジョン内の地形や構造を調査し、地図を作成。
モンスター研究:モンスターの生態や行動パターンを観察し、報告書を作成。
環境調査:ダンジョン内の環境変化や資源の状況を調査。
データ収集:各種データを収集し、研究機関や政府機関に提供。
調査報告:調査結果をまとめた報告書を提出し、関係者と情報共有。
ダンジョン資源採掘業者
概要:
ダンジョン内で資源(鉱石、宝石、希少植物など)を採掘する業者。
また、宝箱からアイテムを収集することも仕事の生業の1つ。
主にダンジョン内で得られる貴重な資源の採掘と販売が収入源。
仕事内容:
資源採掘:ダンジョン内で鉱石や宝石、希少植物などを採掘。
資源管理:採掘した資源の品質管理と市場での販売。
アイテムの売買:収集した宝箱やモンスターが保持していたアイテムを市場で販売。
採掘計画:効率的な採掘方法と採掘場所の選定。
個別の依頼人からの依頼でアイテムを代行して収集する場合もあり
ダンジョン旅行業者
概要:
ダンジョン内を観光や教育目的で案内する業者。
主に観光客や学術調査団体を対象に、安全にダンジョンを巡るツアーを提供。
仕事内容:
ツアーガイド:観光客や調査団体を案内し、ダンジョン内の見どころや歴史、モンスターの生態などを説明。
安全確保:ツアー中の安全を確保するために、予防策や緊急対応の準備を行う。
ツアー企画:季節やイベントに合わせた特別ツアーの企画と宣伝。
教育プログラム:学校や研究機関向けの教育プログラムを提供し、実地体験を通じて学術的な知識を提供。
顧客対応:ツアー前後の顧客対応やフィードバックの収集、ツアーの質向上に努める。
【備後市ダンジョン探索業者組合】
目的:
ダンジョン探索業者の利益を守り、経済活動の活性化を図るための組織。備後市だけではなく物語の日本のダンジョンがある自治体にはどこでも存在する。
活動:
業界全体の発展と技術向上を目指す。
他地域のダンジョン配信者との交流
行政に対する働きかけや提案。
業者間の情報交換と連携。
共済や共同購買、販売の実施。
ダンジョン探索に関する規制や法律の遵守と改善提案。
備後市、ダンジョン探索業者組合の組合長は和木ゆず希。ただし組合内部も一枚岩ではない。しかしながらゆず希が強引に全員を1つにまとめており、表立って逆らう人間はいない。
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