~ウェルカム島(とう)~(『夢時代』より)

天川裕司

~ウェルカム島(とう)~(『夢時代』より)

~ウェルカム島(とう)~

 ―――過ぎ去る初春(はる)には冷風(かぜ)が吹き生き、蒼い人見(ひとみ)に残骸(むくろ)が有った。―――厳冬(ふゆ)の許容(うち)から枯渇が忍べて陰府(よみ)の主観(あるじ)を無口に問う時、「幻想(ゆめ)の淡手(あわで)」が結路(けつろ)を開(ひら)ける「無明(むめい)の証」を遠方(とおく)に採った。一女(おんな)の孤独は幻(ゆめ)へ逆らい、未踏(みとう)の自主(あるじ)が肯定して居た…。

 精神(こころ)の交響(ひびき)が寝室(ねむろ)を擦(す)り当て、純心(こころ)の共鳴(さけび)を身塵(みじん)に観るころ無機の柔裸(やわら)へ挙って行った。幻想(ゆめ)の景色が多少に在れども無知の要(かなめ)は原色(いろ)に大きく、精神(こころ)の元(もと)から奇跡を齎す不穏の初歩(はじめ)に往来して居た。初老の爺(じいや)がふらふら独歩(ある)ける夢限(むげん)の生憶(きおく)が生退(せいたい)して活き、虚空(そら)の目下(ふもと)に惜しく漏れ得(う)る嗣業の豪華を売り買いして居る…。未知の幻(ゆめ)から大器が仕上がり凡滅して生く孤渇(こかつ)の自流(モード)は、固く発(た)ち往く概(おお)きな気色の夜味(よみ)に蠢く憂慮であった。白亜(しろ)い気色に人間(ひと)が埋れる無償の〝文言(ことば)〟は自滅に活きつつ、精神(こころ)と純心(こころ)に無謀が合さる旧い自覚(かくご)を廻天(かいてん)させ得た。不当の弾みに一女(おんな)が鳴き止み、男性(おとこ)の活気を美声(こえ)に遣る頃、無限に相(あい)して自滅を相(あい)せる浮浪の〝乞食〟をその眼(め)に観て居た…。無知に引き出す無欲の見定(さだめ)は「明日(あす)」に触れ往く気相(きそう)を紅(あか)らめ、文言(ことば)を相(あい)して向きに手向ける「幻想(ゆめ)の遊女」を素描して居た…。俺の孤独を精神(こころ)に沿わせる浮浪の孤独は景色を連れ去り、夜半(よわ)など上手(じょうず)に識(し)った…。一幻(ゆめ)の孤独に両手を突きつつ主観(あるじ)の定律(おきて)を具体(からだ)に問うのは、ミンクの微動(うごき)に〝夜半(よわ)〟が解け込む不動の精気を一心(こころ)に識(し)った。白紙に成るうち〝白紙(こころ)〟は発(た)たずに、一女(おんな)の自主(あるじ)が無心(こころ)に問うのは、自体(おのれのからだ)に無心(むしん)を灯せる不頼(ふらい)の弄(あそ)びの悶絶だった。…過去の現行(いま)から未解(みかい)が飛び交い人間(ひと)の憂き世が総理(すべて)を象(と)る頃、現行(いま)に培う独人(ひと)の哀れが堂々動かず〝浮沈…〟と寝て居た―――。狭筵(むしろ)に羽ばたく蝶の羽音(はおと)は無音(おと)に失(け)されて白紙(はくし)に気取られ、老婆と爺(じいや)が独房(へや)に居座る「無間奈落(むけんならく)」の同情(こころ)を識(し)った―――。―――自己(おのれ)の生命(いのち)を無心(こころ)に観るうち呼吸を忘れた感覚(いしき)の桟には、分厚(あつ)い展開(ながれ)が労(ろう)を惜しまぬ幻覚(ゆめ)の情緒を行く行く知った…。許容(うち)を識(し)るうち無関(むかん)を通させ、分厚(あつ)い夜霧を合せる宙(そら)の自然(あるじ)の騒動だった。過去に潤う無活(むかつ)の前途は、陽(よう)の自然(あるじ)に全身(からだ)を付けられ、或いは四肢(てあし)を広く牛耳る「不穏の牛歩」を失墜させ得た…。男性(おとこ)と一女(おんな)の精神(こころ)の奥には〝見様見真似〟の自主(あるじ)が納まり、苦しむ姿勢(すがた)の思嵐(あらし)の目前(まえ)では未活(みかつ)に狂える気泡(きほう)が在った…。孤独に迷える無垢の概(おお)くは未知に耐え貫(ぬ)く未定が色付き、不安の定度(ていど)に思嵐(あらし)が収まる浮遊の主観(あるじ)に想定させ得た。駆動(うごき)を識(し)るのも〝一女(おんな)の煽り…〟と一男(おとこ)の仰臥は心底(そこ)に辿られ、未開に即した豪語の主宴(うたげ)は未進(みしん)の孤独に散気(さんき)を知った…。分厚(あつ)く成り生く孤独の主観(あるじ)に一幻(ゆめ)を表す憤怒の女宴(うたげ)は、素人気取りに挨拶して生く無垢に活き得た通り魔だった。小宙(そら)の許容(うち)から木霊が繕い、幻想(ゆめ)の小敗地(アジト)へ葬る代物(もの)には…、問わず語りの旧い労気(ろうき)が前方だけ観て過酷を横切る、不夜を表す上限でもある…。橙色した夜霧の許容(うち)から未己(おのれ)を訝る小唄の輪廻(ロンド)は…、故国に逆らい故刻(ここく)に幻見(ゆめみ)る不動の思嵐(あらし)を絶対まで観た…。

      *

 …エニー太一(たいち)

 悪戯ばかりする子で、幼気(いたいけ)な所は在るが、皆からは好かれて居り、憎むべき点等無い、と言わせしむる程だった。しかし俺には憎むべき点が在った。

      *

 文言(ことば)の巧みに歩幅を合せて幻想(ゆめ)の一通(とおり)を情事(こと)に据えれば、一女(おんな)の髑髏は華を咲かせぬ〝魅惑〟の主観(あるじ)へ煩悩(なやみ)と消えた…。一通相場(とおりそうば)の斬新(あらた)な〝界(かぎり)〟に幻(ゆめ)を保(も)ち生く逆鏡(かがみ)の前途は、文言(ことば)を保(も)ち出す一重(ひとえ)の自主(あるじ)の具体(からだ)を差し替え宙(そら)へと入(い)った…。幻想(ゆめ)の生憶(きおく)に相当して生く人と形(なり)とが可笑しく燃え立ち、曇り空から今日を差し行く一女(おんな)の魔の手が大きく成った。孤踏(ことう)に注(つ)ぎ込む〝夜伽〟の御守りは、未知を肴(さかな)に堂々発(た)ち活き、幻想(ゆめ)に名高い記憶の主観(あるじ)は通底して生く不快を買った…。既憶(きおく)の側(そば)から身重を遅らす〝不毛〟に導く〝夜半(よわ)の証〟は、到底宙(そら)へと一人(ひと)を織り成す不為(ふい)の勇者に散々問い掛け、一人(ひと)に活き着く人物(もの)の進途(しんと)は故意に適わぬ「道標(みちしるべ)」を観た。孤高に併せる優雅の紐から一女(おんな)の条理が易しく流行(なが)れて、丸め込まれた滑稽(おかし)な従者は成果(はて)を識(し)らない無適(むてき)と成った…。虚空の集成(シグマ)を呆(ぼ)んやり観ながら既知を織り成す未活(みかつ)を問い活き、不毛の〝原理〟を可笑しく問い出す故都(こと)の生憶(きおく)を著しくした。分厚(あつ)い空気を夜毎に分け生く老婆の具体(からだ)は一人(ひと)を蔑み、宙(そら)の許容(うち)から豊穣(ゆたか)を練り出す身寒(さむ)い狭筵(むしろ)を滔々編んだ。一幻(ゆめ)の内へと滔々流れる〝生憶(きおく)伝い〟の家畜の人群(むれ)には、旧い夜風が大児(こども)を騒がす〝苦労〟を目にして枯渇を識(し)った。外の身寒(さむ)さを白亜(しろ)さに観て採る不在の真理(しんり)は涼夜(よる)を越え活き、生憶(きおく)伝いに分散して行く〝日当(にっとう)〟ばかりを姑息に問うた…。一女(おんな)の愚痴から〝幻(ゆめ)〟が殺(そ)がれる古い〝身重〟は橙色して在り、一男(おとこ)の過去から勝手が仕上がる〝根暗の主観(あるじ)〟はどんより落ち着き、…小言に身構(かま)える七つの空間(あいだ)は一人(ひと)を綾(あや)せる音頭を執った。幻(ゆめ)に見出す無心の許容(うち)から橙色した具体(からだ)を酔わせる二元の空虚を問答して居る…。

 旧来独語(むかしがたり)を宙(そら)に呼び掛け空気(もぬけ)の合図は絶壁から成り、分厚(あつ)い〝空壁(かべ)〟から旧(むかし)を紐解く夜半(よわ)の界(かぎり)を呆(ぼ)んやり見るのは、枯渇に揮える未進(みしん)の勇者の「陽(よう)を問わず…」の分跡(ぶんせき)さえ象(と)る…。一女(おんな)の既憶(きおく)が宙(ちゅう)に留(と)まれる旧い夜風の相乗効果は、幻想(ゆめ)の家畜にどんどん解(と)け込む幸先(さき)を識(し)らない女頭(どくろ)を射った…。白亜(しろ)い景色に正体(からだ)が倣える無垢を通した未活(みかつ)の相図(あいず)は、無心を通して無言に片付く夜半(よわ)の神話にまったりだった。貌(かお)を知らない滑稽(おかし)な坊主は陰府(よみ)の逆目(さかめ)を主観(あるじ)へ翻(かえ)され、幻(ゆめ)の気憶(きおく)へ〝街〟を奏でる不穏の上気を一杯保(も)った…。〝天下分け目…〟を思想に据え置き身憶(みおく)の情緒へ廻転(かいてん)するのは、夜半(よわ)の流行(ながれ)にすっかり解け込む「旧い脚力(ちから)」の温存だった…。気憶(きおく)に基づく一女(おんな)の甲羅は男性(おとこ)の元(もと)より剛気を気にして、幻(ゆめ)の柔裸(やわら)へその実(み)を寄せ生く私闘・遊戯の発破を掛けた。未信に基づく一人(ひと)の根色(ねいろ)は遜色せぬまま未陰(みかげ)に煩い、安い巨躯から無香(むこう)を相(あい)する「不覚の真夜(しんや)」を上手(じょうず)に採った…。気憶(きおく)の〝柔裸〟に「従者」が立つうち無悔(むかい)の合図は後手(ごて)に静まり、〝併せ鏡〟で逆境(さかい)を牛耳る〝長文〟ばかりの〝縁(えにし)〟を打った…。疲労に突き出た夜半(よわ)の旋律(しらべ)は無意(むい)に幻解(ゆめと)く感覚(いしき)を保(も)ち出せ、明日(あす)の孤独に意気地を失くせる陰府(よみ)の信者は祖にして漏らさず、…浮遊して生く孤踏(ことう)の主宴(うたげ)は「生憶違(きおくちが)い」に王手を打った。未進(みしん)に紐解く宙(そら)の相図(あいず)は、孤独の広さを揚々識(し)った。…釣れる〝正体(からだ)〟は男女(ひと)を紅(あか)らめ、男・女(だんじょ)の区別を相(あい)して吊った…。

      *

 神奈川生れの黒い男が、俺の寝て居た部屋に来てくれて、周りに集って居たいろんな仲間達と会話をして居るが、結局、黒い男は芝居で喧嘩腰だった。そこに出て来たのがエニー太一で、奴は暇在ればゲームをするので、皆からは「ゲームを通して太一を見る」と言う特殊な見解を持たれた。何か、生き残る為のゲーム、サバイバルゲームのような物をして居た。「これ、生き残るの大変なんだよなぁ~~」とか、太一の後ろから覗いて見て居た観客等は、気儘に口を揃えてそう言って居た。黒い男はそう言う場面へ来て、何故か、太一に怒って居た(おそらく演技だが、俺には何処どこか本気に見えた)。太一が、黒い男の真似をして、黒い男の雰囲気を模(かたど)った上、皆の前で黒い男に成り済まして居た事が気に食わぬらしかった。

      *

 幻想(ゆめ)の文言(ことば)に孤憶(こおく)を二重(かさ)ねて〝女性(おんな)〟の具体(からだ)を具に確かめ、〝確認〟ばかりで一男(おとこ)を屈(こご)める感覚(いしき)の永久(とわ)へと男性(おとこ)は入(い)った。明日(あす)の界(かぎり)を感覚(いしき)へ逆巻き幻覚(ゆめ)と輪廻(ロンド)の未知を問う内、文言少(ことばすく)なの一女(おんな)の成果(かなた)は空転(まろび)を灯せる淡さを識(し)った…。白亜(しろ)い言霊(こだま)の紋章等から人山(やま)の運河は絶頂から退(の)き、幻(ゆめ)の感覚(いしき)へ相当して生く遥か彼方の〝銀河〟を識(し)った。苦労ばかりの温厚から観て人山(やま)の目下(ふもと)は八頭(おろち)を象り、悲鳴を上げ往く一人(ひと)の所以(ありか)は鎹から観た可惜(あたら)と成った…。一女(おんな)の四肢(てあし)は循環して活き〝不能〟の私欲(よく)から具体(からだ)を合せる「不明」を見詰めた温知(おんち)を採って、宙(そら)の生果(かなた)へ平々(ひらひら)零れる披露の四肢(てあし)は翳りを観て居る…。起死の上辺(うわべ)を持ち生く間際に幻想(ゆめ)の純白(しろ)さは「泡善(あわよ)くば」を見て、気楼の最中(さなか)に歪曲(ゆがみ)を掌(て)に取る澄んだ景色を上手(じょうず)に象(と)った。一幻(ゆめ)の活命(いのち)を分散して生く単(ひとえ)の気色は橙色(だいだいいろ)して、孤高を切り裂く未知の浜辺は〝地中の海〟へと寄り付き出した…。―――遠い繁茂(しげみ)に〝夜半(よわ)〟を識(し)るうち孤高の進度(しんど)は宙(そら)を掌(て)に彩(と)り、〝有難見(ありがたみ)たさ…〟を上手(じょうず)に画(え)に象(と)る上辺(うわべ)の上気を奮起に置いた。確実から成る幻想(ゆめ)の純白(しろ)さは未活(みかつ)に蠢く孤独の仕種を路頭に真似して、〝真似美(まねび)〟に根付ける二重(ふたえ)の進度(しんど)は暗(やみ)の許容(うち)へと這入って行った。虚構の小春(はる)から老人(ひと)が群れ出し、未解の和春(はる)へと朧が生くのは、虚空を掌(て)に保(も)つ神秘(ふしぎ)の要(かなめ)と性(せい)を冠した気道と識(し)った…。幻想(ゆめ)の柄(え)に見た宝手箱(はこ)の中から輪廻(ロンド)に花咲く無想が窺え、虚空の小敗地(アジト)に一人(ひと)が映れる八頭(おろち)の進保(しんぽ)は寝室(ねむろ)に跳び乗り、文句(ことば)の最後を駆逐して生く不応(ふおう)の独理(ドグマ)を後退させ得た。既知の〝初歩(はじめ)〟を神秘(ふしぎ)に観るうち無許可を相(あい)する精華(はな)が紅(あか)らみ、…大口(くち)を閉ざせる不思議の〝欠伸〟は一女(おんな)を掌(て)にした輪廻(ロンド)を識(し)った。波動を根(ね)に取る打ち出の小槌は暗(やみ)の許容(うち)から協力(ちから)を相(あい)して、人間(ひと)の小口(くち)へと主観(おのれ)を愛する「無許可の相図(あいず)」を早々保(も)った…。

 ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…ちんちら…。

 宙(そら)の夜から陽(あさ)が現れ、紫陽(ひる)の相図(あいず)を早々保(も)った。孤独を審(しん)じる旧(むかし)の笑いが身欲(よく)を相(あい)した独理(ドグマ)に対され、白亜(しろ)い気色の主宴(うたげ)の準備は固陋に愛する真事(しんじ)を知った…。

      *

 …俺はスマホを買って居た。写真を写して機能を楽しんで居た。

 俺は、父親と、ゴルフ番組を観て居た。何時(いつ)も通りの、お約束通りの、大人しく、妙なルール(親父が好きそうな、一件落着ムードのルール)が辺りを支配して居り、実況と解説の声が、微かに遠くでしていた。パー3のコースで、良く良く見れば可成り短いコースで、グリーン周り・向こうは金網で囲まれ、その向こうは海だった。詰り、ギャラリーも、海に囲まれた孤島に居るような光景と成って居たのだ。そして俺と父親は、知らず内に、そのギャラリーの中に紛れ込んで居た。その紛れ込む切っ掛けと成ったのが、俺がゲームをするように、このゴルフシーズンに紛れて打ち、父親に対してびっくり(驚愕・仰天)させた事である。テレビを見て居た筈が、俺はそのテレビの中にすんなり入(はい)れて、ボールを打つ事が出来て居たのである。そして、打った。何時(いつ)か父親か従兄弟の叔父等と一緒にコースを回った際の、パー3コースでのあのぎりぎり惜しかったショットが目に浮かびながら打ち、打った後、もしかするとあの時のような、ピン横二~三メートル程のスーパーショットに成ったかな…、とか、途端に自分のスーパー振りに思いを馳せたが、結果は、シュルルルと前進して行くゴロだった。

      *

 文言(ことば)の人陰(かげ)から無根が跳び出し、一女(おんな)の寝室(ねむろ)を躰に問う内、幻想(ゆめ)の柔らへすんなり解け込む浮浪の坊主を監禁して居た。白紙(こころ)の微動(うごき)に抑圧されつつ朝の懐(うち)から怠惰を取り込め、一々動ける一人(ひと)の優雅は奈落の底へとすんなり延びた…。幻想(ゆめ)の家畜を涼風(かぜ)に追い遣り旧い故意には男性(おとこ)が寝そべり、泡沫(うたかた)ばかりが現世(このよ)に彷徨う不動の安堵を追憶して居た。朝の間近に一体(からだ)を拵え不意を想わす〝売買仮想(ばいばいゲーム)〟は、未知の揺蕩(ゆれ)から宙(そら)へ這い往く「門前払い」を久しく詠んだ。橙色した滑稽(おかし)な老気(ろうき)が泡沫(あわ)に塗る世を暗夜(よる)に認(したた)め、不装(ふそう)の相図(あいず)に堂々巡れる「岡目(おかめ)」を外したmorgue(モルグ)の構図は、一人(ひと)の感覚(いしき)に初歩を観て採る無頼の様子を久しく呼んだ。利口を欲しがる労苦の折りには柔い清閑(しずか)がどんより赴き、幻想(ゆめ)に始まる余程の勇気が〝具体(からだ)〟を欲しがり孤独を呑んだ。揮える〝野原〟は暗夜(よる)の許容(うち)から概(おお)きを丸呑み、幻想(ゆめ)の「夜半(よわ)」へと未亡を徹する憂きの集成(シグマ)へ活性して居た…。分厚(あつ)い記憶を空壁(かべ)に観ながら素人(ひと)の背後は段々明るく、幻(ゆめ)の行李が土下座をして生く「物憂い男児」を興(きょう)に納めた。白亜(はくあ)の生録(きろく)が宙(そら)に減るうち一人(ひと)の背中が大変眩しく、すんなり透れる不惑(ふわく)の強靭(つよ)さは「段々逃れる夜半(よわ)」へと澄んだ。幻想(ゆめ)の気色に余程を観るうち無機を掌(て)に採る不甲斐の四季(きせつ)は、呆(ぼ)んやりして生く寝室(ねむろ)の最後を不意に乞われる心理に識(し)った。分厚(あつ)い暗夜(よる)から〝無頼〟を留(と)め得る概(おお)きな我信(エゴ)には宙(そら)が現れ、不頼(ふらい)に掲げる疲労の調子が〝理(り)を見て活き生く延命(いのち)〟へ、向い合せた段々通れる孤独の心機は没頭して居る…。

 白亜(はくあ)の夜霧(きり)から人間(ひと)が表れ日中(ひなか)を差すうち空転(ころ)がる進理(しんり)は、無下を想わす旧い老化に朗明(あかり)を観たまま散々活きた。

 孤踏(ことう)の生憶(きおく)を緩く編みつつ無想の空城(くるわ)に一幻(ゆめ)を置いては、孤高の密度に等身さえ観る幻覚(ゆめ)の陰府路(よみぢ)を久しく彩(と)った。孤独の許容(うち)にて数多を幻見(ゆめみ)る「夢想の生準(きじゅん)」を久しく眺めて、一人(ひと)の組織に訣別して生く本能(ちから)の加減を堂々採った。白亜(しろ)い孤独に人間(ひと)を掲げる無機に這い生く無頓を見付けて、青空(そら)の目下(ふもと)が文言(ことば)を紡げる孤独の様子は朗らかなれども、未審(みしん)の進度(しんど)に様子を観て生く不装(ふそう)の主観(あるじ)は可細(かぼそ)く死んだ。無装(むそう)の主観(あるじ)に白亜差(しろさ)を見紛い苦労の規律(おきて)を具体(からだ)に刻むは、人間(ひと)の空気(くうき)に密(みつ)を寄せ生く未踏(みとう)の相図(あいず)は解体され得た。無為を引き寄せ空(くう)へ昇れる不明(ふめい)の真夜(しんや)は女性(おんな)へ寄り添い、男性(おとこ)の胸中(なか)から四季(きせつ)を交わせる本能(ちから)の上面(うわも)は条理を識(し)った。孤独へ酔わせる不為(ふい)の柔らが男女(ひと)を取り添え陽(よう)を計らい、嘆きの糧から安堵を観て生く〝喋る女〟の倦怠さえ問う。無傷に沈める無頼の勇者は不毛の知巡(ちじゅん)を傀儡(どうぐ)に見て取り、一人(ひとり)だけ這う〝独自の空気〟は白亜(しろ)い勝手に寄り添い始めた。無己(おのれ)の本能(ちから)を精神(こころ)に培い言霊(こだま)の最後を後光(ひかり)に観るのは、幻(ゆめ)の感覚(いしき)に間髪入れずの未応(みおう)の性気(せいき)に噴散(ふんさん)して居た…。幼い音頭を紫陽(しよう)に幻見(ゆめみ)て明日(あす)の流行(ながれ)を月夜へ問う頃、精神(こころ)静かに逆鏡(かがみ)に突き出る淡い〝傀儡(どうぐ)〟は女性(おんな)を識(し)った。

      *

 俺はそのゴロを見ながら、いやぁ、こんな狭い所なら、こんなゴロで良いだろう、なんて開き直った調子を見せて居た。父親を始め、他のギャラリー達は良い顔をして居なかった。実況・解消迄を含めて。実況・解説は既に、そうした俺のショットに気付いて居ないような、そんな位の、何か、微かな淋しさのようなものを俺に突き付けて来て居て、俺はこうした実況・解説の弱い(と言うか微かな)反応を少々憎く思えて〝如何(どう)してももっと自分の言動(うごき)に注目させたい〟等と思って仕舞って、何かずっと詰らなさそうに、自分達を含めたギャラリーを擁する孤島の景色をテレビの外から眺めて居た。

      *

 …情事(こと)の概(おお)くを身憶(みおく)に掲げて女性(おんな)の〝上肢〟を解体して生き、曇った「悪魔」を大海(うみ)へ馴らせる「俗世(ぞくせ)の遊戯」を堪能して居た。…堪能して居た俺の「勇者」は黙々黙れる粗行(そこう)を哀れみ、一女(おんな)の四肢(てあし)に真面を付けない男女(ひと)の優雅を乱能(らんのう)して居た。〝乱歩〟を着飾る無敵の勇者は憂慮の術(すべ)から女性(おんな)を仕上げて、真面へ吸い付く固陋の主観(あるじ)を事毎見捨てて大海(うみ)へと逃げた。…第一回目の春、女人(にょにん)を訓(おし)えた桑の出来事、…無秩(むちつ)を抛れる男性(おとこ)の論撃(ろんげき)…。

 砂を見るまま女性(おんな)に近寄り、一人(ひと)の〝児(こども)〟は大化を成せない「不業(ふぎょう)の柔ら」へ呆(ほう)けて往った…。過去の逆生(もどり)へ散々活き着く「乍らの女性(おんな)」は不問に対せて、旧い悪魔の手業(しゅぎょう)の許容(なか)から〝拷問〟ばかりを覗いて行った。過去に棲み生く〝不得手の王子〟は無垢に滴る「延長」から観て、不細工ばかりが男・女(だんじょ)を気取れる仄かな恋へと相(あい)を澄ませた。活性して生く旧い輪廻(ロンド)は身塵(みじん)の許容(うち)より成果(かなた)を相(あい)し、俗世(このよ)の生(せい)から〝四季(きせつ)〟が逃れる不明の音頭を透して行った。女性(おんな)の文言(ことば)が宙(そら)へ活き出し、無言の巨躯から「真理(しんり)」が成るのを、無効を途絶えた一人(ひと)の流行(ながれ)は大きな瞳(め)をして観覧して居た…。既憶(きおく)の成果(かなた)に男女(ひと)が寄り付き、〝意味〟を話せる不思議の両刃(やいば)は、自体(おのれ)の過去から休安(きゅうあん)して生く旧い空間(あいだ)を上手(じょうず)に保(も)った…。自己(おのれ)の〝奈落〟が女性(おんな)に流行(なが)れて旧い夜風がぽつんと出る頃、ロビン・フットの久しき〝魔の手〟は按摩(あんま)の柔らを乏しく保(も)った。虚空に奏でる浮気の労苦は、未知に佇む虚無を取り去り、幻想(ゆめ)の延命(いのち)に重々架かれる一人(ひと)の八頭(おろち)を揃えて行った。幻想(ゆめ)の大樹はどしんと置かれて、虚空の〝大樹〟は逆上(のぼ)せて在って、幻覚(ゆめ)の律儀に一女(おんな)が相(あい)せる一人(ひと)の労途(ろうと)を曖昧にもした。白亜(しろ)い気色に〝女人〟が騙され、安穏ばかりが陽(よう)に散るのは、惨い景色に御殿が生れた人間(ひと)の相図(あいず)に違いを見せない。端正(きれい)な労途(ろうと)に身塵(みくず)が焦がれて「宙(そら)の空間(あいだ)」は器用に在らねど、幻想(ゆめ)の未完(みじゅく)に腿を濡らせる俺を愛した画廊の女は、―――ついつい何時(いつ)しか孤高に身構(かま)える「自体(おのれ)の感覚(いしき)」を孤軍に保(も)った。

 四季(きせつ)の初めに未練が活き付き、無表(むひょう)の主観(あるじ)が孤軍に遭っても、最果て知らずの五月蠅(あわ)い女性(おんな)は「宙(そら)へ還る」を良しとして居た…。苦労の果てから精気が片付き幻身ヶ丘(ゆめみがおか)へ帰路を観る頃、…無幻(むげん)の密かに暗黙(やみ)を見紛う〝悪しき夕べ〟に歓待され得る…。六(ろく)な虫唾が宙(そら)を往く頃、無感の愛図(あいず)が堂々表れ、密(みつ)に束ねる神秘(ふしぎ)の情緒は人の憐れに縋って行った…。孤踏(ことう)に見紛う孤軍の成果(はて)には無己(おのれ)を弾ける生果が表れ、幻(ゆめ)の密(みつ)から温度を気取らぬ無憶(むおく)の同調(シンパ)は一人(ひと)に顕れ、幻覚(ゆめ)の未知から久しく鳴るのは〝女性(おんな)を擡げた伽藍〟と成った。一幻(ゆめ)の位置から未聞(みぶん)を束ねる白亜(しろ)い気配は四季(しき)を訪れ、在る事無い事無い物強請りの虚空の悪魔はびしょびしょにも成り、…旧く語れる集成(シグマ)の〝相図(あいず)〟は元(もと)を正せぬ正直から成る…。身塵(みじん)に帰(き)せ得る良(りょう)への固執は俺の背後を薄(うっす)ら灯(あか)らめ、在る事無い事無い物強請りの母性(はは)を魅せ生く人の労気(ろうき)は、駄弁を講じて寝室(ねむろ)を持たない嗣業を審(しん)じた主観(あるじ)に在った…。

      *

 …そして、その孤島に連なっていた茶褐色の岩山(岩山の形をした、個人には見上げる程の大きな島の一部)が、鯨か鯱か鮫かマンタ(エイ)の巨体が、徐々に動いて行くような光景に気を取られ、取られて居ると、急に恐ろしくなり、その島がずずずーと素早く動き出して「ガゴン!!!!!」と、その景色を、テレビを通して観て居た俺と父親の前で、島の形を変形した、孤島(自然)の驚異を、そのゴルフ場にて感じて仕舞って居た。その孤島の動きは、自然の為せる業(わざ)で、月の引力で潮の満ち引きが在ったり、海の中から道が現れたりするくらい、神秘を見せるものだった。その島が〝ウェルカム島〟と呼ばれる所以だった。その孤島の奇妙な動きにより、父親は、自分達の落ち着く土台が覆されたような表情をして、良い気をして居なかったようだ。

      *

 幻想(ゆめ)の巧みに御覧を説き伏せ、慄く時には民(たみ)が混じって、人間(ひと)の文言(ことば)を悪(あく)へ失(け)し去る「砦の猛火」は帷子を着た。厚い孤独が天から流れて人の気配は冷める事無く、〝打ち出の小槌〟に幻(ゆめ)を観る程〝無機の独理(ドグマ)〟は小さく成った。幻想(ゆめ)に架かれる独自の〝着の身〟は舗装し終えた毒牙を危(あや)めて、阿修羅の壁(へき)へと追随慄く旧い進化を変革して居た。孤独の盲者(もうじゃ)を迫害するうち一女(おんな)の〝盲者〟は無知を準え、俗世(このよ)の砦を大きく固める一人(ひと)の傘下を熱して観た時、一重(ひとえ)に転がる幻(ゆめ)の白衣(ころも)は小禽(しょうきん)から観て不様であった。一人(ひと)の主観(あるじ)は陽(よう)に従い旧い小道(こみち)を背後にした儘、分厚(あつ)い牙城(とりで)を自ら壊せる強靭(つよ)い両腕(かいな)を天へと挙げた。時の家畜に人間(ひと)が悦び、分厚(あつ)い展開(ながれ)に孤独を観た時、現行(いま)を流行(なが)れる独理(ドグマ)の葦には〝一重(ひとえ)の躰〟が独走して居る…。自己(おのれ)の無垢から文言(ことば)を失い初めて知り貫(ぬ)く盲者の主宴(うたげ)は、暗い一夜(よる)から暗路(あんろ)を覗ける不解(ふかい)の自主(あるじ)と同等だった。一人(ひと)に対する自主(あるじ)の記憶は、四季(きせつ)の外れへ人間(ひと)を摺(す)り寄せ、現行(ひま)の正義を掠め奪(と)る儘〝向日〟の日に経つ容姿を見出せ、幻想(ゆめ)の目下(ふもと)は感覚(いしき)を失う「不毛の輪廻(ロンド)」が展開され得た…。文句(ことば)の節(ふし)から現行(いま)が削られ、一人(ひと)の輪廻(ロンド)が人煙(けむり)へ往くのは、一人(ひと)の端から俗世(このよ)を見送る「恥じた一人(ひと)」への追悼だった。無限の日蓋(ひぶた)を落しながらも陽(よう)の清閑(しずか)は一人(ひと)へ降(お)り出し、分厚(あつ)い日長(ひなが)を分業(ぶんぎょう)させ得る孤高の毒蛇(どくじゃ)を素描して往く…。無為に蔓延る毒牙の両眼(まなこ)は無機に散らばる辛酸から成り、分厚(あつ)い展開(ながれ)へ〝気色〟を見て取る「不毛の神話」を久しく問うた…。文言(ことば)の許容(うち)から連呼が佇み、女性(おんな)の生憶(きおく)に男子が在れども、宙(そら)の成果(はて)から〝久しく芽の出た小宙(こちゅう)の粗茂(あらも)〟は絶壁から成り、一人(ひと)の「神話」へ乏しく這入れる〝未想(みそう)の景色〟は寓話を捥いだ。見本公書(テキストグラフ)の哀れの許容(うち)から男性(おとこ)の精神(こころ)が大児(だいじ)を連れ生き、果てを知らない滑稽(おかし)な既憶(きおく)が〝未来(さき)〟を連れ去り春嵐(あらし)を乞うた。非道に片付く無形の従者は陰府(よみ)の許容(うち)から心を打ち込み、分厚(あつ)い調べに生果を観て往く「アシラ」の孤独を、文言(ことば)巧みに久しく呑んだ…。瞬間(ときのあいだ)に厚い日差しが〝宙(ちゅう)〟を改めすんなり通し、孤独の許容(うち)から文言(ことば)を打ち込む〝魅惑の幻(ゆめ)〟には奇怪が落ち着き、…女性(おんな)の両眼(まなこ)に宙(そら)が見得るは必ず気色の中央(まんなか)だった。奇怪の孤独は未知を見出せ女性(おんな)の背後へ臆面さえ敷き、限りを魅せない「不毛の信仰(まよい)」は必ず豪華の幻惑にも在る。孤独の老体(からだ)が未知を引き連れ早い四季(きせつ)に信仰(まよい)が在らねど、未知の目下(ふもと)へ男児が転ぶは〝憂き世〟の精華(はな)から凄惨だった…。四季(きせつ)外れの無垢の許容(うち)から新野(しんや)を目指せる憂きが逆昇(のぼ)って、陽(よう)の空間(すきま)へ挨拶して生く人間(ひと)の四季(きせつ)は巧みを煩い、孤高の四季(きせつ)へすんなり落ち着く見様(みよう)の行為は清閑(しずか)に煙れる…。無垢の大口(くち)から無頼が引き出て幻覚(ゆめ)の広さに男児を識(し)る頃、遠くの界(かぎり)に女性(おんな)が佇む稀有の景色は寸胴(ずんどう)から成り、幻(ゆめ)の感覚(いしき)へ「不毛」を織り成す〝十(じゅう)の人形(かたち)〟は問答から成る。労苦のの内より女性(おんな)の景色が陽(よう)を紡いで現行(いま)に降(お)り立ち、月日(つきひ)を越え生く〝身重〟の主(あるじ)は陽日(ようび)を照らさず感覚(いしき)を省み、分厚(あつ)い記憶に展開(ながれ)が在るのは人間(ひと)の粗行(そぎょう)の生気に寄り付く…。文言(ことば)の端から陽日(ようび)の空(す)かれて人間(ひと)の記憶は瞬時に飛び去り、幻想()ゆめの白亜へ人体(からだ)が生くのは無思(むし)の記憶の成果と成った。運び込まれた現行(いま)の気色に一女(おんな)の素顔が散々息衝き、男性(おとこ)の既憶(きおく)が御殿を観るのは、旧い生憶(きおく)に基づく人の寝室(ねむろ)んぼ粗行(そぎょう)から成る。幻想(ゆめ)の景色に御託が生くうち無効の記憶は散々活き貫(ぬ)き、人間(ひと)の哀れと供託して生く不毛の八頭(おろち)を露わに保(も)った。宙(そら)の高嶺は一人(ひと)を見下ろせ、幻(ゆめ)の行方を孤高に観る時、自己(おのれ)の向きから素人(ひと)が遠退く不解(ふかい)の霰が天(てん)から降りた…。

 嗣業に基づく感覚(いしき)の要に、人間(ひと)の感覚(いしき)がひっそり浮き立ち、幻想(ゆめ)の好(よしみ)へ不感を相(あい)せる無痛の既憶(きおく)が生くのは男性(おとこ)の高利の成果であって、茶色い姿勢(すがた)に自然を知り往く無形の温度が静かに挙がる…。孤独の有利は未然に冷たく人間(ひと)の感覚(いしき)は流石に名高い…。自己(おのれ)の発破を孤高に射止める現行(いま)への記憶は男女(ひと)に優しく、不義を装い進理(しんり)を解(と)くのは無限に極まる生憶(いしずえ)だった。破門に了(おわ)れる未知のの道標(しるべ)は無形に佇む男・女(だんじょ)を織り成せ、不明の感覚(いしき)に具体(からだ)を刈るのは幻(ゆめ)の感覚(いしき)の無情でもある。分厚(あつ)い天気に道標(しるべ)が活き発(た)ち素行(すこう)の感覚(いしき)が人間(ひと)に在っても、男性(おとこ)の生憶(きおく)は男児に降り立ち女性(おんな)の不毛は有利に咲いた。破門の発声(こえ)から律儀が見出せ一幻(ゆめ)の音頭に感度を識(し)る頃、無限の巧みに吟味(あじ)を連れ去る無感の落度は遂落(すいらく)して居る。不倖(ふこう)の暗(やみ)から女性(おんな)が這い擦(ず)り、食傷(しょくしょう)され行く未知の調べは、小宙(そら)の間(あいだ)に浮途々々(ふとふと)咲き得る未聞(みぶん)の恥へと姿勢(すがた)を化(か)えて、明日(あす)の髑髏を一女(おんな)へ預ける未定の進化を暗算して居た。既憶(きおく)の曲がりに相(そう)を観るうち孤奏(こそう)の寡は天瞬(てんしゅん)から成り、厚い気憶(きおく)が固陋を看破(みやぶ)る司春(ししゅん)の烈火は日(ひ)に日(ひ)に止んだ…。孤独に這い擦る思春の柔らは滑稽(おかし)な既憶(きおく)を矢庭にした儘、小庭(にわ)の目下(ふもと)に分厚(あつ)く送れる悲壮の文化はむくむく成った。精神(こころ)の気憶(きおく)に素顔を識(し)るうち無想の深化は虚空へ割け落ち、未活(みかつ)の一幻(ゆめ)から路途(ろと)を識(し)り貫(ぬ)く疲労の両腕(かいな)は矢庭に下げられ、不当の上肢に轍を織り成す旧(むかし)の進化を上々観て居た。

 孤独の両刃(もりは)は矢庭に削げ落ち、生憶(きおく)の網理(もうり)に生気が在っても、日々に発(た)つのは無進(むしん)の相図(あいず)で、日々に解(と)け入(い)る人間(ひと)の〝相図(あいず)〟は、八倒しながら悶えて行った。孤高の条理へ日傘を貫(つらぬ)き未開の進化が薹に立っても、分厚(あつ)い展開(ながれ)に孤独が活き貫(ぬ)く無理の利解(りかい)は日に日に落ち着く…。不快に哀しむ男女(ひと)の正義は、未進(みしん)に片付く感覚(いしき)に活き出せ、日々の網羅を人間(ひと)に見て行く疲労の気色に輪廻(りんね)を捨て置き、孤独と従者が獣に発(た)つのは、無快(むかい)に息衝く同調(シンパ)の界(かぎり)と、不快に堕ち着く人体(からだ)に依った…。彷徨して生く常緑(みどり)の生気は無限に片付く延命(いのち)に活き着き、〝旧巣(ふるす)〟を見縊(みくび)る不和の宿から不正にを見抜ける悪魔が発(た)った。人間(ひと)の生憶(きおく)と主観(あるじ)の葦とが〝生気〟の狭間を散々飛び交い、自己(おのれ)の〝向き〟へとその名を射止める「日々の連呼」が早々直れる…。紺(あお)い差別が人間(ひと)に息衝き不毛の論者を的に射る頃、幻想(ゆめ)の無傷が明日(あす)へ棚引く不倖の信途(しんと)は結果を観て居た。孤独に息衝く不当の論理に一人(ひと)の精気はがらがら成り立ち、日々の概(おお)さに直ぐさま成り立つ不孝の小敗地(アジト)は小禽(とり)を呼び付け、煙たい両眼(まなこ)に男女(ひと)を統(たば)ねる未黙(みもく)の論者は過去に託け、明日(あす)を彷徨う神秘(ふしぎ)を匂わす不明の撤廃地(アジト)を悠々知った。精神(こころ)の白亜へ未信が生くころ徒労を着替えた旧き一眼(まなこ)は、幻想(ゆめ)の扉へ真面に羽ばたく「未解(みかい)の神秘(ふしぎ)」を重々紐解き、精神(こころ)の櫓へ斜交いにて咲く無機の輪廻(ロンド)を天命(てんめい)にもした。

      *

 鎌倉生れの天然を知る嫌な男が、何か妙にハッスルして居り、妙に顰めた顔をしながら、ライブで〝ルンバ、ルンバ、ハッハッ〟と歌って居た。俺は誰か気持ちの良い素人に、この〝ハッハッ〟の箇所(フレーズ)を教えて居る。そうしながら、俺は〝ウェルカム島〟の事(所在)を調べようと、ウィキペディアを見て居た。しかし、幾ら探しても、機械(敷設しきせつされたサービス)の不備が目立って見付からないで、俺は好い加減諦めて居た。その見て居たテレビに内蔵された一局だけ映るBS番組に、「もしかして〝ウェルカム島〟な事を何かする…?」とか期待したものが在ったが、落ち着いて見るとてんで期待出来なさそうな代物だった。

 そこ等で目が覚めた。



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~ウェルカム島(とう)~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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