異能探偵部の事件簿

@kinuta

第1話 異能探偵部への招待

プロローグ

名門私立高校「白鳳学園」。そこには、普通の生徒たちに混じって特殊な能力を持つ者たちが通っている。彼らの力は、それぞれ異なる理由で目覚め、今もまだ完全には理解されていない。そんな中、学園には一つの秘密の部活動が存在した。それが「異能探偵部」である。


第一章

放課後の校舎。教室の一角で、三浦竜也は独り静かに本を読んでいた。彼の頭には、クラスメイトの思考が断片的に流れ込んでくる。読心術。この能力は、竜也にとって祝福であり呪いでもあった。彼は他人の心の声を聞くことができるが、そのせいで多くの友人を失った。


「竜也、また一人で本読んでるのか?」


声をかけてきたのは藤堂真紀。時間停止能力を持つ彼女は、異能探偵部の一員だった。


「真紀か。今日は何か事件でもあったのか?」


「うん、ちょっと面白い依頼が入ったんだ。君も来てみる?」


竜也は一瞬考えた。普段なら断るところだが、今日は何故か彼女の誘いに乗ってみようという気持ちになった。


「分かった、行くよ。」


第二章

異能探偵部の部室は、校舎の奥まった場所にある古びた部屋だった。竜也が入ると、既に数人の部員が集まっていた。透視能力を持つ井上沙織、発火能力を持つ松田優作、そして瞬間移動能力を持つ佐伯京介。


「やあ、竜也君。来てくれて嬉しいよ。」沙織が微笑みながら迎え入れた。


「どうも。今日は何があったんだ?」


「実は、学園の図書館で奇妙な事件が起きてね。いくつかの本が突然消えたんだ。」


「消えた? それは本当に奇妙だな。」


「そうなんだ。だから、僕たちで調査を開始しようと思ってる。」京介が説明した。


第三章

異能探偵部のメンバーは、すぐに図書館へ向かった。現場には警備員が立っており、異能探偵部の活動をサポートするために配置された。竜也は図書館の雰囲気を感じ取ろうと集中した。


「何か感じるか?」優作が尋ねた。


「うん、何か…異質なものを感じる。」


竜也が目を閉じると、頭の中に断片的な映像が浮かび上がった。そこには、何者かが本を手に取り、異次元のような場所に消える瞬間が映っていた。


「この映像…何かに似ている。」竜也は呟いた。


「似ている?」沙織が尋ねた。


「昔、家族が巻き込まれた事件と似ているんだ。」


竜也の言葉に、部員たちは驚きを隠せなかった。彼の過去にはまだ多くの謎が残っていた。


第四章

その夜、部室に戻った異能探偵部のメンバーは、各自の異能を駆使して調査を続けた。竜也は過去の記憶を辿りながら、消えた本の行方を追った。


「これだ、ここに手がかりがある。」


竜也が指差したのは、図書館の一角に隠された古い扉だった。扉を開けると、そこには異次元に通じるゲートが広がっていた。


「異次元のゲートか…これで本が消えた理由がわかった。」


しかし、それは始まりに過ぎなかった。異次元の向こう側には、さらなる謎と危険が待ち受けていた。


エピローグ

「竜也君、君の過去に何があったかは知らないけれど、私たちは君の味方だよ。」沙織が優しく言った。


「ありがとう。でも、これは僕一人の問題じゃない。みんなで解決しよう。」


こうして、異能探偵部の新たな冒険が始まった。消えた本の謎を解き明かすため、彼らは異次元の扉の向こうへと足を踏み入れるのだった。


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