第30話 この恩知らずども、また会おう

冷小婵が怪物を粉々にした後、地面には輝く砂だけが残った。楚歌はその砂をじっと見つめて首をかしげた。「ねえ、師姐、これさ……もしかして、すっごく高価な素材とかだったりしない?」


冷小婵は冷ややかな視線を送りながら答えた。「そう思うなら拾えばいいだろ。私は興味ない。」


「よーし!」楚歌は嬉々としてしゃがみ込み、砂を手ですくい上げた。「うわぁ、これすごい!キラキラしてるし、絶対何かに使えるって!例えば――」


しかし、その瞬間、砂が突然「ポフッ」と煙を上げて消えた。楚歌の手には何も残っていない。


「えっ……?」楚歌は呆然と手を見つめた。「な、なんで?さっきまでここにあったのに!」


冷小婵は眉をひそめた。「お前、また何かやらかしたんじゃないの?」


「そんなはずないよ!」楚歌は必死に砂があった場所を探り始めた。「もしかして、消えるタイプの素材?それとも……僕が拾おうとした瞬間に反応したのかな?」


すると、砂があった場所から微かな声が聞こえてきた。「……イタイ、イタイ……」


楚歌と冷小婵は驚いて顔を見合わせた。「おい、今の聞こえた?」


次の瞬間、砂が小さな流星型の生き物に変化して、地面から飛び上がった!キラキラと輝くその姿は、さっきの怪物よりもずっと小さく、むしろかわいらしい。


「な、なんだこれ!?」楚歌は叫んだ。


小さな流星生物はぷるぷる震えながら楚歌を指差し、「お前だ!お前のせいでこんな姿になった!復讐してやる!」と、甲高い声で叫んだ。


「えぇぇぇぇ!」楚歌は後ずさりしながら叫ぶ。「僕、何もしてないよ!師姐が粉々にしたんじゃん!」


冷小婵は腕を組み、無表情で言った。「お前が余計なスキルを使わなければ、そもそも出てこなかったんだろうけどな。」


小さな流星生物はキラキラと輝く砂を撒き散らしながら、楚歌に向かって突進してきた。楚歌は慌てて叫ぶ。「待って待って!話し合おう!こういうのは平和的に――『ショックスタン!』」


しかし、小石がまた微妙に震えただけで、小さな流星生物には全く効果がない。


流星生物は思い切り頭突きをかまし、楚歌の額に「カンッ!」という音が響いた。


楚歌はその場に崩れ落ちながら呟いた。「……師姐、僕、今度から物理攻撃スキルも考えるよ……」


冷小婵は肩をすくめ、小さな流星生物に向かって拳を振り上げた。「私の『ソリッドキャリッジ』で、今度こそお前も消してやる。」


流星生物は「ヤメテ!ヤメテ!」と叫びながら、突然空に向かって飛び去っていった。そして消え際に一言。「この恩知らずども、また会おう!」


楚歌は倒れたまま空を見上げて呟いた。「……次に会うときは、もっと優しくしてくれよ……」

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