第14話

ゆめちゃんが言った。「町だしエレベータがあるかもね」「そ、そうだね」「えれべーたー?」

「あるといいね」

私はゆめちゃんの言っている意味が分かっていた。あれをやるのだなと、少し歩いていたがどうも異様だった目医者が少し多いそのほかにはここも少し霧がかかっているようで遠くの方が見づらい。お腹がすいていたので飲食店を探しながら、ソラちゃんが間違えて押すのを危惧してジャスト10回のビルを探す。飲食店は見つかった。懐かしい感じの定食屋で今時珍しい食券式だった。店員さんに食券を渡して待っていると、当たり前のことに気づく店員さんがいるのだ、駅から一人も見かけることのなかった生きた人間がここに。店員さんが頼んだ定食を持って来てくれた。お礼をいって声をかけた「ここって何なんですか」、すると目を細めて笑い「どこなんだろうね」と一言、「知らないほうがいいよ知ったら戻れなくなる」と言われぞっとすると同時に、写真が飾ってあるのに気が付いた。定員さんは移っていなくて顔の部分が黒い靄のかかった穴のようなものが開いた人が4人映っていた。一人は店長らしい男の人、もう一人はその妻らしい女、あと一人は私たちよりすこしうえくらいにみえるセーラー服の上にエプロンを着た女の子」

「これって何なんですか」

「知らないほうがいいよ」

「この人たち居なくてお姉さん一人ですよね」

「私が来た時すでにこのうち一人しかいなかったよ」

「このセーラー服の女の子、いい子でかわいかったし一緒にいて楽しい子だったなー」

なんて懐かしそうに話す。

「あなたみたいな質問をこの子にしたんだ、したらお父さんとお母さんが突然いなくなったって。そのあとにこの家族写真を見たら二人の顔に穴が開いていて、自分の顔にも開いてたもんだから泣いちゃってね、まあ私も怖くなって一緒に啼いたし、一緒に寝たよね。次の朝起きると一緒にねてたはずなのにいないの、慌てて外に出ると助けてって声がしたのよその声の方が路地裏の方から聞こえることに気づいた私は走ったねそれももちろん全力であの子のことは好きだったし、一人は嫌だったからでも見つけたときには手遅れだったよ。床に穴が開いていたんだけどね溶けていたんだよ、彼女、ドロドロすぎて一瞬理解できなかったよ。でも傍にスカーフが落ちてんのよもう理解するしかないよね。多分誘われるんだろうねその穴に彼女の両親もそこにいる、私もあぶない。今少し行きたくなってるよ。次に会うことはないだろうね。だから君たちも早くこの街を出たほうがいい。一刻も早く。」

「お姉さんも行きませんか。実はここのほかにも別の世界があって今帰る準備をしているんですよ」

「あーダメダメ君たちは同じ世界の住人でしょ私はここの世界の人だからね。やろうとしていることはなんとなくわかるよ。それは私といたら失敗する。もう穴に魅入られちまってるから。いけないごめんね」

なんてことを飄々とした様子で言った。そしてレジにある椅子に座りたばこをふかしていた。

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