0457:迷宮臭対策

 ということで、絶賛隷属解除の研究中のオーベさんとフリージアさんに呼びだされた。


 二人揃うとなんていうか……結構怖い。


「じゃ、そこで〜迷宮臭を防ぐ魔術を使って〜」


 まずはそういうことだった。フリージアさんの手にはこないだの石版の様なタブレット端末。「印」の話になってしまって、結局データ取り所の話じゃ無くなってしまったのだ。


「では、いいですか?」


「やっちゃって〜」


「いいぞ」


 迷宮で使った通り、イメージをしっかりと固める。


 フィルター。水の濾過と同じ仕組みで、空気をフィルタリング。自分の周り五メートルくらいの半円に細かい目の細かい布で覆い、その布に浄化。それに解呪の術を同時に纏わせて、空気は通すけど、不浄な臭いや呪いの粒子までは通さない……というイメージを定着させる。フィルター部分も光の魔術なんだろうか? そうなると最初にフィルター作成、それに術二つ同時付与だ。


 フリージアさんの顔が曇った。


「えと~この術~ただの光属性じゃない~よね~?」


 うお。そんなことも判っちゃうのか、この石版。すげぇ。


「えーと。こないだ使った迷宮臭を防ぐ術は特殊な浄化と解呪、二つの術を使ってたんですよね。なので、それを同時に発動させました」


「……なんで~それが~できるのか良く判らないけど~それは、こまる」


「困りますか」


「当たり前なのじゃ」


「この魔道具は~術は一つづつしか解析出来ないので~これ、厳密に分けると最初に一つ。そして二つ同時に術発動だよね~そんなバカな魔術にはつきあっていられないの~」


 そんなバカとか酷い。


「そもそも二つの術を完全に同時発動……なんて聞いたことない~オーベちゃん、ある?」


「ありませんな」


「自分が非常識だって認識した方がいいの~最初の術みたいに、まずは一つ目の術、次に~って、二つの魔術を若干前後させて、同時発動しているようにみせるっていうのは~あるんだけど~」


 そうなのか……。


「判りました。どうしましょうか?」


「え~と~しょうがないの~最初に発動する特殊部分は良いとして~その浄化と解呪、これは二つの魔道具を作って~それを同時に発動させれば良いと思うの~同期させる装置が大変そうなの~」


「おお……さすが。なら、まずは最初の術から」


 さっきと同じイメージで発動させる。


「う~ん~とんでもなく複雑なの~なにこれ~なんでこんな細かい術の展開が~できるの?」


「細かいですか?」


「……まず、自分の周囲の円? の範囲の指定が毎回ほぼ同じなの~これはスゴイの。あと、自分を中心に球を描く様に浄化の術? を張り巡らせている感じ~でいい?」


「ええ、そうですね。さすがです」


「こんな緻密で~毎回同じイメージで発動される術なんて見たことも聞いたこともないの~」


「こうしてデータで見せられると……少々怖いモノがあるな……確かに。お姉様の言う通り」


「でしょでしょ~? なにこれ、魔道具なの? って感じ~」


 そんな……でもそうなっちゃうんだからしょうがない。逆に荒い感じに魔術を発動させるってことが出来ないんですが。俺は。


「えっと……これ……この術……魔道具化は出来なくはないけど~大きくなると思うの~」


「どれくらいですか?」


「え~と~これくらい?」


 フリージアさんが広げた両手は一メートル四方。新聞紙を広げた感じだ。


「大きいですね。厚さは?」

「うーん……これくらい?」


 手で示したサイズは……三十センチくらい。デカくて厚い。


「重さは?」


「え~と~う~んと~多分普通だと一人で持てないくらい?」


 それは重い。


「それを持ち運ぶのは……辛いですね……」


「そうじゃなぁ……荷車が必要になるのう……ああ、あの浮遊馬車を使えばなんとかなるのではないか?」


「おお! さすがオーベさん! 素晴らしい! そうですね。迷宮内なら目立ったところで誰がいるわけでもなく。使い放題ですしね!」


「でも~そうすると、浮遊馬車から離れたら~臭くなっちゃう~うーん。できれば、個人で携帯できるくらいの大きさがいいの~」


「そりゃ……そうなんですが」


「超激レアな迷宮産の素材があれば~どうにかなるかも~」


「どんな感じの物ですか?」


「アイゼナハの神経筋とか~グゼルグの内膜弁、オージュハの結晶体……う~ん、現実的じゃないかな~」


「ん? お姉様、多分あるぞ?」


「そうなの~?」


「そうなんですか?」


「モリヤ……お前が奪ってきたこの国の宝物殿の宝……貨幣は返したが、それ以外は残ってのるのじゃろ?」


「ええ、残ってますね。宝箱とか、長持みたいな箱に細々と入ってます」


「その中に、さっきお姉様が言った激レアな素材があると思うぞ? その物ズバリはなくても、代替品はあるじゃろ」


「そうなんですか?」


「当然じゃ。それなりに歴史のある国の宝物殿を一切合切攫ったのじゃ。その辺の素材は元々、珍しいというだけで、使える者も少なかったからな。残っておるじゃろ」


 言われたとおり、フリージアさんに、宝物が雑に放置してある倉庫をあさってもらうと、レア素材が簡単に発見された。


 ということで。臭いに関しては、各自が出力の小さい小型の魔道具を身に付け、さらに、荷物運搬用の浮遊馬車に高出力の大型の物を仕込む方向で決定した。






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